x
100,000人のスマホアプリ利用状況がわかる「App Ape Analytics」

ここでしか見れない、アプリ市場の調査結果をお届け。

丸亀製麺アプリの企画から推進まで1人で立ち上げたキーマンにアプリ成功の秘訣を聞いてきた

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
丸亀製麺アプリの企画から推進まで1人で立ち上げたキーマンにアプリ成功の秘訣を聞いてきた

丸亀製麺で有名な株式会社 トリドールホールディングス。グループ全体で約30の国と地域に1,000を超える店舗を出店し、丸亀製麺以外にも20以上のブランドを持つ企業です。

中でも丸亀製麺だけで、中国、インドネシア、タイ、台湾、ベトナム、ロシアなど、12の国と地域で150店舗以上を展開しています。

marugame-map

Note

  • 丸亀製麺公式HPより引用

グローバルに事業を展開している丸亀製麺、そのスマホアプリが「神アプリ」として驚異的な人気を集めていることをご存知でしょうか。

2016年6月、クーポン機能をリリースすると、ネットで「神アプリ」として注目を集め、1日で20万以上のダウンロードを記録しました。その後も人気は衰え知らず。10月23日時点で累計240万ダウンロードを突破しています。

約5か月間の短期間で大成功を収めた丸亀製麺アプリ。その成功の秘訣についてインフォメーションテクノロジー部部長、経営企画室次長の村上 卓也氏にインタビューしました。(青字の質問は全て筆者。回答の敬称は略させていただきます)

images-01

一番大切にしていることは商品の価値を提供すること

ー 現在の担当業務を教えてください。

村上:2014年10月にトリドールの経営企画室に入社し、ちょうど1年ほど前からIT部を預かるようになり、それと同時にIT部でデジタルマーケティング機能を担うようになりました。

現在は顧客満足度の向上にさらに力を入れていくために、顧客情報を定性と定量の両面で分析する専門部署“グロースアナリシス課”を新設し、分析の専門家2名に参画してもらい、さらに採用を強化しているところです。(こちらで採用しているようです)

彼らの参画まではデジタルマーケティングの推進担当はIT部では私1人でしたが、丸亀製麺アプリについては、関係する全ての部署からお力を借りてなんとかリリースできました。

ー 丸亀製麺アプリのサービス提供開始はいつからですか。

村上:2012年12月からサービスを提供しています。当時のアプリは自分の写真に天ぷらを載せたりする面白コンテンツと店舗検索機能で一定の人気を得ていましたが、まだアプリが販促には繋がっているとまでは言えず、改善の余地がありました。

今年リニューアルしてリリースしたアプリは「お客様により商品の価値を知っていただくことで、お客様のよろこびを最大化する」という狙いがあります。

クーポンを提供することで丸亀製麺のより高い価値の商品をご利用いただくきっかけを作り、お客様の会員情報をいただくことでさらにサービスを向上させていくことが最大の狙いです。

ー 人気が爆発した秘訣に迫りたいと思います。App Ape Analyticsによると2016年6月8日にDAUが急上昇しています。この時期にクーポンのサービスを開始したのでしょうか。
dau-june

Note

  • [データ元: App Ape Analytics (国内約3万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
  • DAU (Daily Active Users): そのアプリの対象期間における、日間アクティブユーザー数であり、1日に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数

村上:クーポン提供は2016年の6月2日から開始して、6日後にネットでバズりました。6月7日までの累計インストール数は17~18万回でしたが、バズった6月8日には41万回、1日でインストール数が倍増しました。

その翌日以降もインストール数は毎日10万回くらいずつ増えていき、120万回を超えたあたりで落ち着きが見えましたが、その後も1日1万回くらいのペースでインストールが増えています。

ー App Ape Analyticsによるとバズった後に所持ユーザーの男女比は女性が逆転しています。
gendar

Note

  • [データ元: App Ape Analytics (国内約3万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
  • 男性(女性)比率:  そのアプリの対象期間における所持ユーザーに占める男性(女性)の割合

村上:全体で見れば、やや男性が多い程度でほぼ同じ男女比率です。例えば、意外と都心のオフィス街ではランチを軽く済ませたい女性の方にもご利用いただいています。

もし目標達成しなかったら店頭で自らビラ配り

images-03

ー ここまで成功する確信はありましたか。

村上:正直、ここまで成功するとは思っていませんでした。目標としては初月に20万インストール、それを下回ってしまうと、お客様から提供いただいたデータの分析が難しくなると考えていました。

そのため、目標を下回りそうなら自ら店頭でビラを配って成功店を作りに行こうかと考えていました。実際は無事成功したため、ビラ配りの必要はありませんでした。クーポン機能リリースからバズる前の段階で、目標達成の手応えがあったので、安心していました。

ー ネットで話題になったクーポンですが、他社のクーポンとの違いはどんなところですか。

村上:まず、普通の外食チェーンでは半額クーポンはあまり配布していませんが、弊社ではアプリのインストールをきっかけに今まで丸亀製麺に行ってなかった人にもご利用いただきたいという思いから新規ダウンロード時に半額や無料のクーポンを提供しています。

そして一番大切にしていることは割引施策ではなく、お客様に商品価値を伝えるきっかけを作ることです。クーポンの割引対象商品は単価が高い商品もありますが、クーポンをきっかけにその商品価値を知ってもらいたいと考えています。

例えば多くのオフィス街ではランチ価格は抑えても800円を超えることが多いと思います。でも丸亀製麺なら、仮にオススメのフェアメニューに一番高い天ぷらをセットにしても700円台に抑えることができます。

実際に800円で豪華メニューを食べることができるのか、試してみました。
11月2日から販売が開始された「肉たまあんかけうどん」に「かしわ天」を付けて、天ぷら50円引きのクーポンを使うと670円!
lessthan800
さらにレシートのQRコードをアプリで読み込むことで、次回天ぷら50円引きクーポンを獲得しました。QRコードのクーポンはハズレなし!必ずクーポンが貰えます。

lessthan800-2-2

知らないと損!無限ループでクーポン取得

images-02_1

ー 丸亀製麺アプリでは顧客データの収集はどのようにしていますか

村上:レシートのQRコードを読み取っていただいた際に、事前にいただいているお客様の会員情報と会計情報をリンクしています。この際、同時に次回お使いいただけるクーポンをご提供しています。

まだ浸透しきっていませんが、毎回QRコードを読み取っていただいて、期限内にご来店いただければ、ずっとクーポンが切れることがありません。

無限ループクーポン体験記事はこちら
– 丸亀製麺アプリの無限ループクーポンを1週間使ってみた –


ー天ぷら100円引きなど、かなりお得なクーポンを提供していますが、売上は増加しているのでしょうか。

村上:客単価は若干影響を受けていますが、全体の売り上げは増加しています。アプリが注目されることで丸亀製麺の露出が多くなり、今まで丸亀製麺にご来店いただいていなかった方にもご利用いただけるようになってきています。

ー App Ape Analytics で同業他社と比較してみると、朝の8時台にアクティブ率が約7%と非常に高くなっています。
active

Note

  • [データ元: App Ape Analytics (国内約3万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
  • 時間帯別アクティブ率:一日にアプリを起動したユーザーのうち、各時間帯に起動しているユーザーの割合。平日、休日別で月間の平均値を示しています。

村上:ランチで利用される方が多いため、ランチまでに携帯を見るタイミングは通勤・通学の時間帯が多いため、朝8時にプッシュ通知を送っています。今のところ、プッシュ通知の最適化はあまり考えていません。

アプリも接客の一部ですので、早朝にはプッシュ通知を送らないことや、あまり機械的に自動化を進めないなど、お客様に嫌われないように気を付けています。

ー 丸亀製麺アプリのリリース以前、顧客データはどのように収集していましたか。

村上:現金でポイントをチャージする丸亀製麺カードを一部店舗で実施していましたが、来年3月末でサービスを終了します。独自のカードサービスも結構なのですが、果たしてお客様にとって利便性が高いかというと必ずしもそうとは言い切れないかと考えます。

チャージしたお金は使い切らなければなりませんし、お財布の中にカードを入れることに抵抗感がある人もいます。

その点、スマホアプリは忘れることもないですし、財布がかさ張ることもありません。持っていてオシャレ感があるブランド力があればカードも喜ばれると思いますが(笑

ー 短期間でここまで成功していますが、苦労した点はありますか。

村上:アプリとしてはそれほど目新しい機能はありませんが、店舗の負荷を最低限にための工夫を試行錯誤しました。

丸亀製麺では回転が早い店舗では30分で100人のお客様の注文に対応しています。普通だと会員カードのバーコードをレジで読み取ることが多いですが、丸亀製麺の場合、そのオペレーションに割く時間は許されません。

お客様がレジでクーポンを提示する→時間がかかると接客に影響が出る→お客様も店舗側も使いたくなくなる、という悪循環をどうしても避けたかったんです。

そのため、会計後にお客様ご自身でレシートのQRコードを読み取っていただき、会計情報と会員情報をリンクし、お客様にはQRコード読み取りのお礼と次回のご来店のきかっけとして、新しいクーポンを差し上げています。

ちなみに、レシートのQRコードを読み込んでいただいていて、会員情報をご登録いただいているお客様は、全体を通すとお得なクーポンが届く頻度が多くなっています。

実際にららぽーと柏の葉店で、釜揚げうどんが半額になる「釜揚げうどんの日」(毎月1日)の12時過ぎ待ち時間を計測してみました。
01
先客が既に15人並んでいる状態で会計が終了するまでの時間は5分7秒。1人当たり約19秒、100人当たり約32分。多くの人がクーポンを使っても短時間で会計を済ませることができました。

村上:レジのオペレーションも工夫しています。他社のサービスではクーポンの番号をテンキーで入力していますが、丸亀製麺はクーポン番号がレジキーの位置座標になっています。例えばクーポン番号が「D12」だとすると、レジのDのタブの中の1番上の左から2番目のキーを押すといった感じです。

クーポン番号をレジキーの位置座標にすることで、誤って変なボタンを押してしまうことを防げますし、レジ担当者も操作が簡単になっています。できるだけ「50円引きならどの種類のクーポンキーでもいいじゃない!」と思われないよう、正確なお客様の情報を得るため工夫もしています。

今後のアプリの機能について

ー 今後、アプリに新規機能を追加する予定などはありますか。

村上:コンテンツの追加を検討しています。例えば、天ぷらテイクアウトするお客様向けに天とじ丼のレシピを公開するなど、アプリを起動することによってクーポン以外にもお得な情報をお客様に提供していきたいと考えています。

また、マーケティングオートメーションをもっと本格的なものにしていき、さらにお客様が使いやすいサービスにしていきます。アプリも接客の一部。もっと使いやすく、丸亀製麺をアピールできる場所にしていきたいです。

AIや機械学習を取り入れて効率化するというよりは、接客の延長としてお客様の目線を大切にしながら、無機的な感じがしないように効率化を目指していきたいです。

ー マーケティングオートメーションによるお客様のメリットとはなんですか

村上:色々なお客様のニーズに合った提案が可能になります。家族で来店して最後に会計する主婦と、毎回1人で来る男性客では欲しいクーポンが違ってきます。幾つかのパターンのニーズを想定し、そのお客様に合ったクーポンを提供できるようにしていきたいと考えています。

また、現状ではクーポンは入手した順番に表示されていますが、お勧め順に表示するなど、今よりももっと丸亀製麺を好きになってもらえる提案が可能になると考えています。全てはお客様のご来店時に「より高い価値を感じていただくために何ができるか」を追求します。

ー 今後もバズマーケティングを狙っていますか

村上:こうすればバズるのではないかという仕組みを考えています。今後は小規模・中規模のバズがお客様に対する露出の1つの軸になっていくのではと考えています。

丸亀製麺は他の飲食業と比べて客単価が高くはないので、デジタル広告を出すことは効率が良くありません。例えば、中古車販売会社と大手検索エンジンのバナーを取り合うことには無理があります(笑

そのため、独自のコンテンツを持ちながら、弊社のお店に高い期待を持つ方をいかに作り、いかに届けるかが重要かと考えます。

インタビューを終えて

東京、大崎にある株式会社トリドールホールディングスの東京オフィスはショッピングモールで目にする「丸亀製麺」のイメージとは程遠いものでした。ロビーの壁には世界地図と現地の時刻が表示され、大きなディスプレイにはグローバルに展開している飲食事業の紹介映像が流れていました。
02

オフィスの中にはオシャレなカフェスペースもあり、とても近代的で活気のある職場でした。
03

「競合他社はあえて意識しないようにしています。」と断言する村上氏。
「クーポンもただのツールで、いかにご来店いただき商品の価値を知っていただくかが大切」だと何度も熱く語っていただきました。

こちらのIT部では顧客満足度の向上にさらに力を入れていくため、デジタルマーケティングの推進と定性・定量分析を担当するグロースアナリシス課を新設し、採用をさらに強化しているとのこと。(こちらで採用しているようです)

村上氏が丸亀製麺アプリの企画だけでなく、デジタルマーケティングの企画と推進を1人で担当されていることに驚きましたが、体制が強化され、かなりアグレッシブなネタが引き続き飛び出してきそうな予感がします。

「バズるネタはあります」と語ってくださった矢先に大人気ゲーム “ファイナルファンタジー”シリーズ最新作「ワールド オブ ファイナルファンタジー」とのコラボ企画が11月2日から始まりました。

インタビューでは、まだまだネタを用意しているような口ぶりで、今後も丸亀製麺アプリから目が離せません。
%e4%b8%b8%e4%ba%80%e8%a3%bd%e9%ba%bax%e3%83%af%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%83%88%e3%82%99-%e3%82%aa%e3%83%95%e3%82%99-%e3%83%95%e3%82%a1%e3%82%a4%e3%83%8a%e3%83%ab%e3%83%95%e3%82%a1%e3%83%b3%e3%82%bf

今回の調査データについて

フラー株式会社が提供するApp Ape Analytics(アップエイプアナリティクス)では、アプリを所持するユーザ数、1日にアプリを起動したユーザー数、アプリを所持するユーザーの男女年代比などの情報を複数のアプリで比較することもできます。 Free版(無料)もございますので、是非お気軽にお試しください!

App Ape Analytics Youtube

app ape analytics

App Ape へのお問い合わせや商談依頼、質問等はこちら

service@appa.pe

ライター:

カテゴリー: インタビュー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加