国内配信数2億5千万回、生放送アプリ「ツイキャス」が10代・20代に人気。

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「モイ!iPhoneからキャス配信中」―――最近Twitterを利用していると、動画配信の告知ツイートを見ることが増えた。いくつかの配信を視聴してみると、プロ顔負けの歌声を披露する放送や、道を走る音だけが聞こえるドライブ中の車載カメラの放送、自由気ままなフリートークなどなど実に多くの放送に出会える。

これらはスマホひとつで手軽に映像配信ができるアプリ、「ツイキャス (Twitcasting)」を用いてほぼリアルタイムに配信される放送で、そのユーザー層は若年層が圧倒的に多い。数年前まで見なかった生放送という新たなジャンルにおいて、「ツイキャス」がなぜ若者に支持されるのか。その理由を探ってみよう。

ツイキャスとは?

「ツイキャス」はフィンランド語の挨拶『moi』を社名とする”株式会社モイ”が運営するライブストリーミングサービスで、個人が、好きな時間・好きなジャンルで手軽に配信することができる。配信と視聴は別のアプリになっており、「ツイキャス・ライブ」(以下、「ライブ」)というアプリで配信し、「ツイキャス・ビュワー」(以下、「ビュワー」)というアプリで視聴できる。

それまでテレビで見るだけだった生放送が簡単に行えるだけではなく、「ツイキャス」はTwitterと連動することで視聴者もツイキャス配信者(キャストの主、”キャス主”と呼ばれる)と交流することができるのが特徴だ。つまり単なる一方通行の映像配信ではなく、配信者と視聴者が互いにやりとりできるSNSの延長なのだ。

「ツイキャス」のライブは基本的に30分間の配信で、60分までは無料。それを超える場合はコインを消費して延長することができる。コインはキャス主が課金して購入するか、人気のある放送では「もっと見たい」という視聴者からキャス主にコインが贈られることもあるようだ。

ツイキャスのユーザーは1000万人超え

そんなツイキャスの登録ユーザー数は現在1000万を超え、2010年2月のサービス開始から7年目となる今年には累計配信回数が2億5000万回に達したと発表された。国内におけるライブ配信サービスとしては初の記録だという。
(ツイキャスの累計配信回数が2億5千万回突破、ライブ配信サービスで初)

配信も視聴も、女の子が中心

手軽さ、そして双方向のやりとりの面白さが醍醐味のツイキャスだが、意外なことに配信も視聴も若い女性が多い。
ツイキャスの「ライブ」と「ビュワー」の2つの男女の年代比を見てみよう。

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[データ元: App Ape Analytics (国内約3万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
男女年代別比率:そのアプリの対象期間における所持ユーザーのうち、男女×年代でみたときの各世代の割合

上のグラフが「ライブ」、下のグラフは「ビュワー」を表している。
男女比は「ライブ」「ビュワー」共に女:男=54:46程度とほとんど等しく、10代、20代の女性で利用者のほぼ半数を占め、男性も含めれば20代までの若年層が7割以上を占めていることが分かる。

同時所持アプリから見えるユーザー層

次に、それぞれの利用者が同時に所持しているアプリを見てみよう。

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[データ元: App Ape Analytics (国内約3万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
同時所持:対象アプリと同時に所持されているアプリ

左が「ライブ」、右が「ビュワー」の同時所持アプリのインストール率を表している。
どちらもランキングトップ3までに「ツイキャス」、「フォローチェック for Twitter」、音楽SNSアプリ「nana」が含まれいる。また両者のユーザーにマッチングアプリが利用されている点にも注目だ。

ユーザーは配信者であり視聴者という新しい文化

特筆すべきは「ビュワー」における「ライブ」所持率の高さで、「ビュワー」利用者の9割以上が「ライブ」を利用していることからも「ライブ」と「ビュワー」のユーザー層の類似性が強いことが分かる。

どちらにも含まれている「nana」、「斎藤さん」についても触れておこう。
「nana」は一風変わったSNSで、歌や演奏を録音しシェアしたり、投稿された作品に別パートをダビングすることで一つの作品を創ることができる音楽コミュニティ。生放送ではないが、自分の声や演奏を誰かに視聴してもらうという点ではツイキャスと似ている。

「斎藤さん」は全国の斎藤さんと通話ができるというコンセプトのアプリで、利用者は匿名(全員が斎藤さん)で、24時間有効な連絡先を用いて、見知らぬ誰かとお話することができる。こちらも若い女性に人気のアプリだ。

これらのことから「ツイキャス」利用者は言うなれば『人の輪を広げたい』という人や、アーティスト志向の人の利用が多いと言えるだろう。

寝る間も惜しんで配信・視聴

利用者に若年層が多いということは分かったが、「ツイキャス」の利用される時間帯にはどんな特徴があるのだろうか。

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[データ元: App Ape Analytics (国内約3万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
時間帯別アクティブ率:一日にアプリを起動したユーザーのうち、各時間帯に起動しているユーザーの割合。平日、休日別で月間の平均値を示しています。

上が「ライブ」、下が「ビュワー」。
主に利用される時間は夜で、当然のことながら「ライブ」も「ビュワー」も利用される時間帯はほぼ同じ。ピークが21時~0時にかけてというのも共通している。
配信がなければ視聴もされず、視聴がない時間帯に配信しても見てもらいたいという目的にそぐわないからだろう。
全体的にはおおよそ20時ころから盛り上がりを見せ深夜3時にはほとんど閉店してしまうのだが、こんなに夜更けまで利用されているのが驚きだ。

配信が盛り上がって、ついつい遅くまで配信・視聴し続けてしまうのだろうか。
深夜まで利用率が高いのは、体力のある若者ならでは――と言えなくもないのかもしれない。

夏休み・冬休みは配信シーズン

最後に月ごとのMAU(Monthly Active Users)を見てみよう。

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[データ元: App Ape Analytics (国内約3万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
MAU (Monthly Active Users):そのアプリの対象期間における、月間アクティブユーザー数であり、月に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数

上が「ライブ」、下が「ビュワー」のMAUだ。「ライブ」は月ごと、というより季節によって若干の変動がある。またそれに伴い、緩やかではあるが「ビュワー」も追随する形をとることが分かる。
もっとも変化が顕著なのは、「ライブ」の8月の上昇だ。8月といえば、学生にとっては夏休み。クラスメイトとは離れるが、イベントが盛りだくさんで配信するネタには事欠かない。ちょっとした寂しさを紛らわすにはちょうど良いのだろう。

また全体的には夏の利用率が低い、というより冬の利用率が高いと見るべきだろう。その理由はズバリ、寒いからだと推測する。配信者は部屋でぬくぬくしながら放送して、見る人は部屋でゆったりと視聴する。そんな模様が目に浮かぶようだ。

おわりに

ライブストリーミングサービスといえば、有名なものにユーストリーム、ニコ生などもあるが、「ツイキャス」はこれらのサービスとはうまく棲み分けが出来ているように思える。ユーストリームは現在では法人向けの有料サービスであり、世界規模ではあるが利用料は安くない。ニコ生は知名度は高いが有料会員登録が必須で、寄せられる匿名のコメントには心ないものも少なくない。

「ツイキャス」はその点において、TwitterなどのSNSアカウントと紐付けられており、匿名ながらユーザーの身元が明示されているため誹謗中傷も少ない。また手軽なことも相まって、まさにTwitterの延長と感じるのかもしれない。心理的なハードルが低いことは、若年層が多いことと無関係ではなさそうだ。

また、スマホの性能や通信回線がこういったライブストリーミングに堪えられるようになるほど進化したことも忘れてはならない。「ツイキャス」サービス開始の頃の一般的なスマホ性能と3G回線では、今ほど映像媒体が身近ではなかったのは事実だ。
これらの技術的時代背景に丁度よく合致したスマホ・ネイティブ世代だからこそ、生放送という新時代的なSNSとは親和性が高いのかもしれない。

今回の調査で用いたApp Ape Analyticsでは、各アプリの男女年代比率、MAU、DAU、時間帯別アクティブ率…等を調べることができます。 Free版(無料)もございますので、是非お気軽にお試しください!