大ヒットの「さわって!ぐでたま」の開発元に聞く“IP活用の秘訣”- 株式会社グッドラックスリー インタビュー –

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今回は地方でアプリを開発されている企業に向けてのインタビュー、福岡編。「さわって!ぐでたま」シリーズで人気を集める”株式会社グッドラックスリー”の代表取締役CTO大崎様、CMO/プロデューサーの前山様(※以下敬称略)へお話を伺って参りました。それでは早速ご覧ください。

ー 本日はよろしくお願いします。まずは担当している業務内容を教えてください。

大崎:現在は大型新タイトルの開発ディレクションと、CTOとして開発の全般を見ています。

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ー 御社の開発されたタイトルはどれくらいありますか?

大崎:ホームページに出ていないものも含めて10タイトルくらいです。直近でサービスしているのは「さわって!ぐでたま」と続編である「さわって!ぐでたま しょうゆましまし」ですね。

前山:私は運営フェーズに入っている「さわって!ぐでたま」シリーズのプロデューサーと、マーケティングセクションの統括という形でCMOも兼任しています。Webやリアルに関わらず自社マーケティング全体を見ています。

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ー マーケティングに関してWeb・リアルでどちらの比率が多い等ありますか?

前山:アプリゲーム事業に関していうと現時点ではWebマーケティングが中心になっています。リアルマーケティングはアプリの成長度に合わせて組み合わせていくものと考えていますので、今後のコンテンツの成長度に合わせて取り入れていくつもりです。弊社は映像芸能事業でドラマ制作なども手がけているのですが、ときにはTVCMを作る側になったりもしますね。

スマートフォンアプリをリリースした理由

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ー どのような経緯で、スマホアプリ「さわって!ぐでたま」はリリースされたのでしょうか?

大崎:きっかけは、版元のサンリオさんとアニメーション制作会社であるギャザリングさんが「ぐでたま」というキャラクターを使って何かできないか、という相談を受けたことからはじまりました。その際に、社内で「ぐでたま」が好き、という人からヒアリングしたときに「触ることでぐでたまと仲良くなる」というコンセプトが生まれました。

そのコンセプトを元に改良を重ね、「ぐでたま」を好きな人に、違和感なく
「ぐでたま」ってこういうキャラだよね!と感じてもらえるようにゲームシステムをまとめていきました。

ー IP活用についてハードルの高さを感じませんでしたか?

大崎:ぐでたまというお台があったのでそこまで感じることはありませんでしたね。

「さわって!ぐでたま」はリリースまで大きなピボッドを2回していた

ー 社内テストを重ねて改善を重ねていった形でしょうか?

大崎:そうですね。「さわって!ぐでたま」に関しては開発中に大きく2回作り変えています。

前山:ゲームはプレイされるお客様にとって当然楽しいものであるべきなのですが、一方でビジネスとしては、決められた予算で開発し利益を出していくことが求められます。この両立のジレンマがどのデベロッパーさんも多かれ少なかれあると思います。しかし弊社の場合は「ぐでたま」という他社様のキャラクターをお預かりしている立場として、「ぐでたま」の何がお客様に楽しんでいただけるのかを考えたときに、企画の段階では良いと思っても、作っていく過程の中でこれじゃないというのはどうしても発生します。そこを絶対妥協しないのが弊社の特徴です。

よくあるIP活用したゲームとして元々あるゲームシステムにとりあえずキャラクターを乗せてみましたという作り方は多いです。これは現実的なビジネスとして私も決して悪いことだとは思わないのですが、弊社ではそういうことはやりません。ちゃんとキャラクターの何が愛されているのかを考えて、それに適したゲームシステムは何かというのを試行錯誤しながらじっくりと作っていきます。なので2回もベースとなる基本システムの見直しをかけています。

大崎:昔はタップするのも「ぐでたま」じゃなかったんです。「ぐでたま」を作る加工機があってそれをタップする仕様だったのですが、やっぱり「ぐでたま」を触らないと!となって作り変えたりしました。

ー 色々な苦労があって現段階の仕様になっているのですね。

前山:今の「さわって!ぐでたま」は3度目の正直になりますね。

ー リリースされるまでに試行錯誤を重ねる、キャラクターに対して誠実な姿勢が御社の特徴ですね。

「さわって!ぐでたま」リリース当初の反響

ー 実際に「さわってぐでたま」がリリースされたのが2015年11月からAndroid、iOSでリリースされました。集客の面で苦労されたことはありますか?

前山:集客の面でいうと、IPに助けられたという所が大きいです。初期は大きなプロモーション予算を投入しなかったので無料ゲームダウンロードランキング100位以内をウロウロしたら嬉しいな、と思っていたのですが、サンリオさんの努力もあっていきなりダウンロードランキングで2位になりました。実際に数十万のDAUが出てきたときに、正直焦りました。笑

加えて、お客様にこれだけ愛されているけど、1週間くらいすれば人が減っていくかもしれないという不安もありましたが、開発チームの努力のお陰でリテンションも良い数字が出ました。この時点で弊社内で本格的な運営に関して話し合いました。

ー その時点でのお客様の比率はどうでしたか?

前山:圧倒的に女性のお客様が多かったです。ただしゲーマーではなく一般女性が多いのであまりストレスを与えるようなガチャ課金のような仕掛け方はぐでたまのような癒やしキャラクターの世界観や遊び方には合わないと考えました。

とは言ってもビジネスなので稼がなくてはいけないという時に答えが見つかったのが動画広告でした。広告CMをお客様に視聴いただくことで、実質有料ポイントが手に入るという形にしました。弊社としてはB to Bで収益を上げつつ、お客様は事実上無課金で有料ポイントを獲得できるという理想の形でした。当時、「ぐでたま」のような巨大IPで動画広告をゲーム性のなかで組み込んでいるものがなかったらしく、関連パートナー様にも喜んでいただけました。

懸念していたお客様からの広告へのクレームもほとんどなく、お客様からの評価も高く得られています。「ぐでたま」のブランドを守りつつ、ターゲット層にマッチしたマネタイズを仕掛けられたんじゃないかなと思っています。

ー リリース時点でのマネタイズポイントはどう考えてらっしゃたのですか?

前山:普通に有料ポイントを課金いただいて「ぐでたま」の拡張レシピを購入いただくのと、アドネットワークでの広告収益の2点で考えていました。

ー そこの開発も柔軟に対応できるのも御社ならではですね。

前山:そうですね。元々のゲームのベースがしっかりしていたのでアップデートはしやすかったです。

アプリ運用時に設定したKPIはリテンション

ー アプリを運用開始するにあたって設定していたKPIはありますか?

大崎:リテンション(ゲーム継続率)をいかに上げるかを一番重要視していました。そのために、「ぐでたま」のターゲット層に多いライトなお客様に、「このゲームなら遊べる!」と感じてもらえるようUI/UXを丁寧に設計しました。

前山:当時開発側ではぐでたまをつついたときの「ぷにぷに感」を大事にしていました。1回触るとまた触りたくなる、という所は大崎中心にこだわって作った部分です。

大崎:BGMやアニメーション、サウンド等のディティールは現場の運営ディレクターが細かく詰めてくれましたね。

前山: リテンションは30日で10%を当初目標KPIに設定していましたが、結果今でも15%を維持していてます。(2016年11月時点)

ー 御社のプロジェクトにかける細かい努力が実ったということですね。

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「さわって!ぐでたま」はMMORPGの思想で運営されていた!

ー 御社のカジュアルゲームアプリの特徴的な所を教えてください。

前山:運営目線で述べさせていただきますと、私は元々PCオンラインゲーム畑の出身でして、MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG) の運営を10年以上やってきました。そこで培ったノウハウとしての特徴は「細かい更新をやり続ける」という点なのですが、それをカジュアルゲームに持ち込んだのが独自な点だと考えています。

ー それは意外ですね!理由をお聞かせください。

前山:その理由としては、サンリオさんのIPはキティちゃんを代表するように多くの人に長く愛されているものが多いです。今回ぐでたまというサンリオさんのキャラクターを預かっている以上、長く遊ばれるものを作ろうという思いから、カジュアルゲームだけれどもMMORPG運営のように頻繁にアップデートをしていくという手法を取り入れました。
そこに、中毒性のあるぷにぷに感が掛け算となって高いリテンションが保てているのかと思っています。

大崎:前山が運営計画を立ち上げる前は、特にアップデートをかけず出し切りで良いという考えでアプリを設計していましたが、運営で勝負しようというように決まってから、リリース前にアプリ内の設計も修正を加えました。

前山:カジュアルゲームであったとしても遊ぶ度に変化があることがユーザーさんから評価をいただいている一因だと思います。

ー 開発サイドと運営サイドで密にコミュニケーションが取れているのも御社の特徴のようにお見受けします。

前山:そうですね。実はそこが弊社の良い所だなと感じているのですが、どの職種もフラットな関係を築ける雰囲気を経営陣側で作っていただいています。開発だから、運営だから、広報だから、CSだから、という枠なしにアプリを良くするためにどうすれば良いかを全員で議論できる環境があります。この業界ではかなり珍しいパターンなのではないかと思っています。

ー より良いコンテンツを作る環境があるのは素晴らしいことです。

グッドラックスリーに続け!IP活用の秘訣とは?

ーIP活用にあたって気をつけている点・工夫している点はございますでしょうか

大崎:元々キャラクターがどんな人に愛されていて、どんな想いでそのキャラクターが作られているか、という流れに乗ることです。

ーそのために具体的にすることはありますか?

大崎:まずはそのキャラクターを徹底的に好きになることだと思います。そうすることで真の意味でそのコンテンツを理解することに繋がりますし、そこがいい加減だとお客様には見抜かれちゃいます。なので、「ぐでたま」のグッズを買いに行って、遊んでみることからはじめました。
付け加えて、元々「ぐでたま」を好きだった人から、どこが好きなのかをヒアリングして理解できるまで聴くようにしています。

ー スマートフォンアプリゲームの利点はどのように感じていますか?

大崎:弊社は「モバイルアミューズメントパーク構想」を掲げていまして。様々なコンテンツをモバイルの中でリンクさせていって世の中に届けようという意志があります。
キャラクター(IP)というコンテンツで繋げていくと素敵な世界を作れると思っています。
リアルパークでの体験も含めてゲームの中だけは味わえない深い体験。圧倒的な体験を組み込めるIP展開を進めています。

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「モバイルアミューズメントパーク構想」イメージ図

ー 追加を予定されている機能はありますか?

前山:ゲーム内イベントを既に実施していまして、アニメの中でコラボ内容のアニメを1週間放送していただきました。コラボ内容が、キャラクターものの食玩を作っているリーメントさんが販売展開しているぐでたまの食玩である「ぐでたま旅館」をテーマとしたコラボでして、そのアニメーションをぐでたまアニメ制作をしているギャザリングさんが担当して、弊社は「ぐでたま旅館」のゲーム内イベントを実施しました。

今後は、ぐでたまのライセンシーである企業との横連携、クロスメディア展開をどんどん増やしていこうと考えています。ゲーム内単体で考えて機能を追加していくのでなく、「さわってぐでたま」がぐでたま関連の商品やサービスを拡げるお手伝いをしていけたらと考えております。「さわって!ぐでたま」の最新作ももちろん開発検討していますよ。

ー クロスメディアのIP活用の理想形が描けていますね。素晴らしいです。こういう取り組みがあるからこそ、リテンションにも繋がっているのですね。

新作「しょうゆましまし」について

ー アプリをアップデートするのではなく、「しょうゆましまし」という形で続編を出された理由を教えていただけますでしょうか。

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前山:はい。これには2つの側面があるのですが、まずは先程もお話した通り、1作目の「さわって!ぐでたま」は大変ありがたいことに、こちらの想定以上にファンが集まったという経緯があります。そのため細かいアップデートやイベントを仕掛けたり、動画広告やガチャ機能など後付けでの増築を繰り返しました。そのためベースとしている機能はしっかりしていましたが、やがて少しづつゲームバランスに無理が出てきました。アップデートという選択肢もありましたが、新アプリとして完成形から入って新しいものを提供した方がよりお客様を楽しませることができると考えました。

もうひとつの理由としては、広告収益面で考えると、お客様のプレイ接触時間が増えることで収益性が上がることもあります。そこで1作目と2作目に連動要素を設けることで、せっかくこれまで遊んでいただいた1作目も、新しい2作目も両方遊べるよう工夫しました。

地方での開発・働き方について

ー 続いて地方での開発についてお聞きします。福岡に開発拠点に置いている理由・利点を教えてください。

大崎:ご飯も美味しいですし、女性も綺麗ですね。笑 住環境が整っているのも働く上で魅力です。人柄も日本人らしい人が多くて付き合いやすいです。

前山:私は東京での生活が長かったのですが、一番驚いたのは家賃が半分になったのに、部屋が倍の大きさになった所です。笑 しかもオフィスから徒歩10分のような理想的環境です。東京での狭いマンション暮らしと電車通勤に慣れていただけに、これも同じ日本なのかと正直思いました。笑

ー 福岡には働くにあたってストレスフリーな環境があるのですね。

大崎:ものづくりには向いた環境だと感じます。東京でカツカツの状況でやるよりも、福岡では新しいチャレンジができる土壌があると思いますね。反面、地方はプロモーターやファイナンスに長けた人間が少ないので、そういう人間はどんどん増えていって欲しいとは感じます。
福岡でクリエイティブなことをしようと思う人に対して弊社も受け皿のひとつになれればと思います。

前山:ものを生み出す力のある人が地方でも活躍できる場を作りたいという思いがあります。弊社だけが成長すれば良いとは思っていなくて、福岡・九州がそういう場所になって世界に届けられれば良いな、と考えております。福岡は空港が近いのもあって東京との移動もそんなに苦ではないですし。

ー ちなみに地方ならではのエピソードはありますか?

大崎:人がいい意味でも悪い意味でもまったりしていて暖かい人が多いですね。弊社では、一人ひとりの感性や知性を最大限に作品に反映させる事を良しとする開発文化なのですが、そうやってクリエイティブな成果をあげるためには、色んな余裕が必要で、そういう意味では地方の方が有利な部分はあるんだろうなと感じてます。

ー 御社の今後の展望と人材募集があれば教えてください。

大崎:現在作っている大型新タイトルが世に出たときが弊社にとって大きなポイントになるのですが、ゲーム作りというチームプレイにおいてコミュニケーション能力は非常に重要だと考えており、人間力や組織の利益をおろそかにしないクリエーターさんを強く求めています。
技術者といってもひとりよがりにならずにチームのために自分が何をできるかを考えられる人が良いですね。

グッドラックスリー採用ページ

ー ありがとうございます。貴重なお話を本当にありがとうございました。

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ミーティングルームに掲げられたメッセージからもコミュニケーションを重要視している所が分かりました。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今後IP活用を検討しているアプリ担当者にも非常に興味深い内容となったのではないでしょうか。
カジュアルゲームの中に、オンラインRPGの思想を持ち込んだお話など特に印象的でした。
ものづくり精神を大切にし、福岡からクオリティの高いサービスを提供するグッドラックスリーさんの今後の活躍にも注目です!

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