「若者のLINE離れって本当?」実際の利用データを元に徹底検証してみました。

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若者の車離れから、酒離れ、恋愛離れまで叫ばれる昨今、コミュニケーションツールとしてデファクトスタンダードになっているアプリ「LINE」に関しても「若者離れ」が最近報じられています。

しかし、若者のLINE離れは果たして本当に起きているのでしょうか。LINEの最新の利用動向を、アプリ分析プラットフォーム「App Ape」の実利用データから読み解きます。

若者の「LINE離れ」が進んでいる??

1月18日の読売新聞デジタル版「YOMIURI ONLINE」に、LINEに関する興味深い記事が公開されました。

なぜ? LINEからも逃げ出し始めた若者たち

記事では、以下のように指摘しています。

「全年齢層に広く浸透しているものの、意外にも中年以上の層が半分近くを占める一方、20代以下は3割強にとどまる・・・20代以下の人口が減っていることも影響しているだろうが、それだけではない可能性もある。少しずつとはいえ、利用者が「高齢化」する一方、若者の「LINE離れ」が進んでいるかのように見える」(引用:読売新聞オンライン版「YOMIURI ONLINE」1月18日付「なぜ? LINEからも逃げ出し始めた若者たち」)

この記事はSNSを中心に大きな拡散をしていますが、違和感を覚えたのは私だけではないと思います。

実際、マーケティング界隈では話題に上がっており、こんな反論記事も紹介されました。

算数できない人はマーケット記事書いちゃダメ。若者はLINE離れしているのか → してねーよ

YOMIURI ONLINEで指摘する「若者のLINE離れ」は本当に起きているのでしょうか。

「割合」が減ればユーザーも減る??

記事では、「若者のLINE離れ」の根拠として、以下のようなデータを示しています。

調査会社・マクロミルの17年7月のインターネット調査(15歳以上のユーザーが対象)によると、LINEユーザーのうち、40代が22.5%、50代以上が23.8%。一方、15~19歳は10.3%、20代が20.7%だ。全年齢層に広く浸透しているものの、意外にも中年以上の層が半分近くを占める一方、20代以下は3割強にとどまる。

16年1月の同調査では、40代が17.4%、50代以上が18.4%だったのに対し、15~19歳が11.6%、20代が24.8%だった。この時点での「国内登録者数」は約6800万人。20代以下の人口が減っていることも影響しているだろうが、それだけではない可能性もある。少しずつとはいえ、利用者が「高齢化」する一方、若者の「LINE離れ」が進んでいるかのように見える。(引用:読売新聞1月18日付「なぜ? LINEからも逃げ出し始めた若者たち」、太字は記者加筆)

その後、LINEの若者離れの理由として、文章でのやり取りの面倒くささや、企業の広告の増加を挙げ、

筆者は、LINEを利用しすぎたために、逆に窮屈になったのかもしれないと考えている(引用:読売新聞1月18日付「なぜ? LINEからも逃げ出し始めた若者たち」)

としています。

実際の数字を見てみると…

テキストから画像、動画まで様々なコミュニケーションアプリがしのぎを削る中、老舗となったコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」の利用者は、実は今も伸び続けています。

全体の所持者数をみると、18年1月には前年同月比で0.9%増とわずかながらも増加傾向にあります。高水準で安定している上に、着実に利用者を積み上げていることが、所持者数から伺えます。

[データ元: App Ape(国内数万台のAndroid端末を分析)/所持者数はApp Ape 推定による ]

さらに、LINEの年代別の所持者数を最新の2018年1月と前年同月で比較したのが以下のグラフです。※実数は伏せています。

[データ元: App Ape(国内数万台のAndroid端末を分析)/所持者数はApp Ape 推定による ]

このうち、20代以下の若者を見ると、所持者数、アクティブユーザーともに微増となっています。もし若年層が極端に少なくなっていれば、若者のLINE離れと言えますが、実態はむしろ増えているのです。

App Apeのデータから導き出す限り、LINEを利用する若者は減っておらず、高齢者を含む利用者全体の母数は増えています。

今回の記事の場合、筆者がユーザーの「割合」と「実数」を混同した上に、当該箇所を新聞の編集担当やデスク、校閲も見逃してしまった結果、実態とかけ離れた数字を根拠として、記事を書き進めることになったのではないでしょうか。

若者の利用頻度も高い

若者の利用頻度が他の年代に比べ極端に低ければ、記事中で指摘する「若者の『LINE離れ』」と言えるかもしれません。

そこで、App ApeのデータからLINEの年代別の月間利用率をまとめたところ、以下のような結果となりました。

[データ元: App Ape(国内数万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による]
[LINEアプリ所持ユーザーを1とした場合の月間利用率を算出]

前年同月に比べ10、20代の利用率はむしろ上がっており、他の年代も利用率が上昇していることが分かります。若者の「LINE離れ」は起きておらず、むしろ、ラインの利用頻度はますます高まっているということになります。

LINEは「若者向けアプリ」ではなく、「インフラ」だ!

記事の筆者はこう言います。

「LINEも今や、若者にとっては、あまり親密ではない人とも連絡を取れるインフラの一つになっているようだ。利用はするものの、一時ほどの「熱狂」はほとんど見られなくなった。」(引用:読売新聞1月18日付「なぜ? LINEからも逃げ出し始めた若者たち」)

一方、LINEは、ミッションとして「世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めること」を明確に掲げています。引用:LINE株式会社HP

LINEは若者向けのツールで、流行り廃りに敏感な若者のアプリと位置付ける当該記事の筆者の考え方と、LINEが掲げるミッションとの認識のずれが、「若者のLINE離れ」という分かりやすい言葉を生み出してしまったのかもしれません。

LINEがコミュニケーションアプリのデファクトスタンダードとしての地位を確立していることを鋭く指摘しているだけに、「一時の熱狂」という先入観のもとで、データの根拠に乏しい内容の記事になってしまいました。

App Ape Lab編集部は、スマホアプリの実利用データを基にした確かなエビデンスを根拠に、今後も記事を発信し続けます。お楽しみに!

(追伸:次に記事を執筆される際はぜひ、App Apeのデータをエビデンスとしてご活用いただければ幸いです。)