「エコシステムの変化を捉え、コミュニティ活かし変化の波に乗る」パラレルマーケター・エバンジェリスト小島英揮氏・App Ape Award2017セッションレポート①

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最新のアプリマーケットに関するセッションを多数開催したApp Ape Award2017。「クラウド以降の技術トレンドとアプリビジネスの不可避な関係」をテーマに講演したのはパラレルマーケター・エバンジェリストの小島英揮氏です。サービスの拡散の土台となるエコシステムの変化をいち早く捉え、コミュニティの力を活かしながら変化の波に素早く乗る重要性を提起しました。

今回の講演スライドを小島氏が SlideShareで公開しました。こちらをご覧ください→https://www.slideshare.net/hide69oz/20180207-app-apeawardojimav2

登壇テーマ:「クラウド以降の技術トレンドとアプリビジネスの不可避な関係」

プロフィール:1969年2月3日生まれ 高知県出身。 明治大学卒業後、PFU、アドビシステムズを経て2009年より2016年まで、AWSで日本のマーケティングを統括。 2016年にコミュニティマーケティングを考えるコミュニティ = CMC_Meetup を立上げ。 2017年より、決済(Stripe)、AI (Abeja)、コラボレーションツール(ヌーラボ)等の国内外の複数のスタートアップで、 マーケティング、エバンジェリスト業務を「中のヒト」してパラレルに推進中

クラウド以降の「不可避」な流れ

小島氏は「AI、VR、ARといったスマホアプリ業界のキーワードがトレンドとなっている背景にあるのは、エコシステムがエコシステムを産む、クラウド以降の『不可避』な流れだ」と指摘。

クラウドの発達以前は、何かモノやサービスを作る時には初期投資が必要で、大企業、大資本しか挑戦はできなかったものの、クラウドの発達により「欲しい時に瞬時にコンピュータリソースやサービスを手に入れられるようになったことで、中小の多くの会社がアイデアを形にして成長することができるようになった」と小島氏は強調しました。

VR、ARが可能になった要因として、「WEB視聴、アプリ課金、ジャイロセンサー、VR用拡張デバイス、ジャイロセンサーがスマホに入り、クラウド以降のモバイルからビッグデータに至るまでのスマホのモバイルエコシステムが完成したからだ」と強調。「注目すべきなのは、技術の変化ではなく、『エコシステムの変化』だ」として、新しいエコシステムが既存のエコシステムの上位にいるのかを見極めることができれば、新しい技術に資源を投下する際に失敗することが少なくなることを提起しました。

エコシステムから外れると…

一方、エコシステムから弾き出された事例として、Adobeの「Flash」を小島氏は提示。「生産性、なめらかさは素晴らしかったが、iOSのエコシステムからフラッシュがはじき出された結果、テクノロジーはあっという間に死に絶えてしまった。エコシステムの不可避な流れに逆らうと、相当な困難を伴う」と強調しました。

川の流れに乗ったアプリ、新たなビジネスも誕生へ

さらにアプリの場合、エコシステムの大きな流れに乗って大量に出てきたことを小島氏は指摘。「大量のビジネスアイデアがアプリになることで、新しいビジネスも始まっている」として、クラウドファンディングやレストラン予約時の事前決済、Slackなどサブスクリプション(定期支払)モデルなど、モバイルエコシステムが生み出す新しいビジネスモデルが加速している事を紹介しました。

日本に来たインバウンド向けのサービスも注目が集まっていることを指摘しました。「今まではクレジットカードで決済というのが一般的だったが、ApplePayやアリペイなど新しいお金の流れとして生まれている。新しいエコシステムで決済の形も変わってきており、お金の回収のモデルは、新しいエコシステムによって加速している」としました。

決済のUX向上が鍵

特に小島氏は「これからは決済の変化、つまり、お金の流れの変化に対応したエコシステム、テクノロジーが普及していく。C2Cなど決済の変化に対応したテクノロジー、決済周りのエンジニアもUXに直結で、重要になる」と強調。「アプリの世界でも、今すぐ使いたいのに、課金をするためのUXが悪いと、非常に厳しいことになる。サブスクリプション(定額課金)してもらいたければ、素直なUXを作らなければならない。そうなると、決済周りの整備も重要になる」と提起しました。

人口減社会の成長エンジンとは?

別の視点から見た「不可避」な大きな流れとして、日本の人口減社会の到来について小島氏は言及しました。

「これまでと同じことを続けると、毎年ビジネスが縮小するのが不可避の流れになる。これをもし変えたければ、ターゲットを変えるしかない。解決策は、越境して国外の人に使ってもらうか、日本にきたインバウンドに使ってもらうかになる」と小島氏。「エコシステムの変化を素早く捉えることは、アプリビジネスにとっても重要になる。エコシステムの流れを見ることは、サービスやニーズを見つけることにつながる。しっかり目利きができて、変化を捉えた対応ができる」としました。

新しい課題、参入スピード、プラットフォーム…エコシステム捉えるために重要な3要素

エコシステムの法則を念頭においた、新たなビジネスを発展させるための重要なポイントについて、小島氏は①今のエコシステムが生み出す新しい課題を見つけること②参入スピード③既存のプラットフォームを生かすことーーの3点を提起。事例として、ワンファイナンシャル株式会社のクレカ決済アプリ「ONE PAY」を紹介しました。

[「ONE PAY」公式サイトより(https://onepay.tokyo/)]

ONE PAYは16歳で1億円の資金調達をしたCEOの山内奏人さんが開発。①課題:スマホだけでキャッシュレス(クレカ決済)を可能に②スピード:構想1週間、開発1ヶ月、これ鉄則(本人談)③プラットフォーム:決済機能はStripeを利用。(StripeはAWSをインフラに利用)ーーの3つの視点から、エコシステムを生かした新たなビジネスの先行事例として紹介。「アプリ開発を皆さんもする時に、山内さんの手法を参考にして開発会議をしてみるのがいい」と呼びかけました。

[小島氏講演スライドより]

テクノロジーが「口コミ」にパワーを

マーケティングの「不可避な流れ」として、「口コミ」の力の増大にも言及。「お隣さんの誰々がやっているからうちもやろうというのは、井戸端会議の時代は拡散に相当な時間が掛かったが、今は違う。この瞬間も、皆さんがSNSに情報を拡散しているように、一人一人が『マイクロメディア』なのだ。これを活用すれば、急速に情報が拡散し始める」としました。

コミュニティができるとさらに「口コミ」が強力に

口コミが進化・発展した先にあるものとして、小島氏は「コミュニティ」の形成を指摘。「コミュニティは単に集まるだけでなく、参加者が「いいよね」とか「便利だね」と外向けにアピールしていくことが特徴だ」とした上で、「マス・マーケティングは、アンケートやサンプルベースで類推したターゲットに〝リーチ″するまでだが、コミュニティ・マーケティングは、適切なタイミング、適切なメディアにリーチするだけではなく、メディアに合わせた適切な〝コンテンツ生成″すらもコミュニティの参加者によってなされる」と強調しました。

成功するアプリビジネスの構築のために

最後に小島氏は、成功するアプリビジネスの構築のために必要な以下の3点を紹介。

①エコシステムの連鎖を理解する:
技術ではなく、エコシステムの波で、乗るべき波かを評価する。

②「巨人の肩」は利用する:
今更アマゾンと同じプラットフォームを作ろうという人はいない。勝負が付いているところで車輪の再発明はしない。ただし、ビジネスのコアは自分がコントロールできるようにする。

③コミュニティの力を再評価する:
マスがなくなっている。個々のファンを中心に顧客が、コンテンツと新規顧客を作り出す。

「『今日のビジネス環境というのは、大きいものが小さいものに勝つのではなく、速いものが遅いものに勝つ』。ユニチャームの高原社長の言葉だ。今、みんなが等しく勝てる可能性がある。そのためにも、速く動いて勝つことが重要なのだ」と小島氏は締めました。

記者はこう見る

プラットフォームというエコシステムの変化、人口減少という不可避な流れ、そしてコミュニティへとマーケティングのフォーカスが変化していく中、アプリビジネスが今後意識するべきは、「スピード」と「変化への柔軟な対応」であることを小島氏は講演で何度も強調していました。日々の業務や目の前の仕事に忙殺される中、これらの不可避な大きな流れをしっかりと捉え、未来へとつながるプロダクトやサービスをいかに展開できるかが、今後のアプリビジネスで生き残りを図る上で重要となりそうです。


今回の講演スライドを小島氏が SlideShareで公開しました。こちらをご覧ください→https://www.slideshare.net/hide69oz/20180207-app-apeawardojimav2

小島氏が主宰する「コミュニティマーケティングについて考えるコミュニティ = CMC_Meetup の活動はコチラをご覧ください。
https://www.facebook.com/groups/552515584953588/