「ヒットゲームの5年後生存率は12%」長期ゲーム運営の秘訣①マーケティング戦略〜超長期ゲーム運営サミットから〜

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グリー株式会社とファンプレックス株式会社が5月10日に東京都内で開いた「超長期ゲーム運営サミット」。大きな一発のヒットタイトルを狙う「開発」から、ヒットとなったタイトルをいかに長く遊んでもらうかの「運営」へとモバイルゲーム業界の焦点が移行しつつある中、5年以上もの長期にわたりヒットを維持し続ける「超長期運営タイトル」の運営の実際に、業界の注目が集まり、会場は超満員となりました。

サミットで明示された超長期のゲーム運営力を支える①マーケティング戦略②PLチューニンング③ユーザーリレーションシップーーの3つの視点に基づく長期タイトル運営者の講演から、ユーザーに長く愛されるゲームの秘訣を連載で探ります。

<連載記事まとめ> 
第1回「マーケティング戦略」 
第2回「ユーザーリレーションシップ」
第3回「PLチューニング」
第4回「5年後生存率向上へ」

超長期運営タイトルとは?

[グリー株式会社の馬場氏(超長期ゲーム運営サミットで)]

今回のサミットで定義する超長期運営タイトルとは「リリースから5年以上が経過し、継続的に良好なコンディションを維持できているタイトル」のことです。

超長期ゲーム運営サミットで責任者を務めた、グリー株式会社の馬場貴之氏は、リリース直後のヒット創造の成功体験をもたらす「開発力」に加え、「ロングヒットの成功体験をエンドレスに続ける『ゲーム運営力』が、超長期運営タイトルにとって重要になる」と指摘。超長期のゲーム運営力を支える主要素として①マーケティング戦略②PLチューニンング③ユーザーリレーションシップーーの3点を提示しました。

[超長期ゲーム運営サミット・馬場氏スライドより]

ゲームアプリの5年後の売上トップ100生存率は12%

[フラー株式会社の岡田氏(超長期ゲーム運営サミットで)]

超長期運営の実現は大きな困難を伴います。

Google Playの売上げトップ100に入っていたアプリが5年後も同様にトップ100に残っている確率は12%、月間利用者数(MAU)ランキングベースでも14%ーー。ショッキングな数字が次々と出され、会場はどよめきました。

[超長期ゲーム運営サミット・岡田氏スライドより]

サミットの議論の出発点として、アプリ分析プラットフォーム「App Ape(アップ・エイプ)」のデータから導き出したゲームアプリの「市場生存率」を紹介した、フラー株式会社コンサルティング本部長の岡田雄伸氏は「非常に厳しい戦いだ」として、長期運営の難しさをデータから指摘します。

「釣り★スタ」運営11年を支えるマーケティング戦略

[ちなみに11年間で釣り上げられた魚の数は275億匹とのこと(高松氏登壇スライドより)]

厳しい状況の中でも、長期タイトルを実現する運営の実際の取り組みはどんなものなのでしょうか。

サミットでは、2007年5月24日に世界初のモバイルソーシャルゲームとしてリリース以降、11年に渡り運営を続けるグリー株式会社の釣りゲームアプリ「釣り★スタ」のマーケティング戦略にまずスポットを当てました。

[グリー株式会社の高松氏]

定期的なテレビCMの放映とSNSのGREEからの流入でグロースしてきた「釣り★スタ」。直近2、3年間はさらなる成長に向け、運営はアプリ版のプロモーションに注力し、App Store・Google Playでのユニークユーザーの増加を図ってきました。

6代目プロデューサーを務める高松亘平氏(グリー株式会社)は、「段階的なWebプロモーションにより、MAUの推移を見ても釣り★スタは再成長軌道だ」と強調します。

[高松氏登壇スライドより]

2016年以降の超長期運営を支えるマーケティング戦略の重要ポイントとして、高松氏は①ウェブ広告運用②リブランディング③休眠特化型施策ーーの3点を掲げます。

①ウェブ広告運用

[高松氏登壇スライドより]


ウェブ広告運用によるユーザー獲得の方針として釣り★スタは、新たな可能性を常に模索する『新規』と、インセンティブをもたらす『休眠』の両方へのアプローチを重視。Web広告出稿のKPI(重要業績評価指標)は一般的なROAS(広告費用対売上)で判断します。

[高松氏登壇スライドより]
[高松氏登壇スライドより]

その上で、相性の良い広告素材と媒体をそれぞれチェック。広告出稿する媒体内でCPI(費用対インストール)とROASの良し悪しを素材ごとに確かめ、 CPI、ROASともに良好なものはパターンを増やして継続させます。

さらに、媒体によって素材の相性が異なることから、個別に相性を見ていくのです。高松氏は「相性のいい素材と媒体を組み合わせることが大事。ROASの傾向は媒体ごとに違うので、個別に見ていく必要がある」と指摘します。

[高松氏登壇スライドより]

②リブランディング

マーケティング戦略で釣り★スタがリブランディングを重視した理由について、高松氏は「ゲーム内部の長期運営をひたすら頑張るだけでは、世間から忘れ去られてしまう。勝手に良い印象になることはまずない。したがってイメージ作りを工夫する必要がある」と説明します。

釣り★スタの場合、既に認知度は高いため、認知の形成ではなく、認知の再形成が重要との認識から、リブランディングに取り組みました。

釣りゲームというこれまでのイメージから、懐かしい思い出と今訪れても居心地がいい場所というイメージを実現しようと、釣り★スタのプレイ経験のある40、50代をターゲットに、リブランディングCM「父と娘の10年」を作成しました。

結婚して娘が生まれ、釣り★スタをとともに人生の階段を歩んでいく父娘の姿をパラパラ漫画動画で表現。ユーザーの心に刺さり、再生回数は100万再生に達し、休眠ユーザーからのコメントも多数受けられました。

[高松氏登壇スライドより]

「釣り★スタの場合、10年間という歳月を経て、ターゲットのライフステージに変化が生じている」と高松氏。釣りスタの10年と、40〜50代の男性のストーリーを時代背景とともに重ね合わせることで 「ゲームの存在を『自分ごと化』し、過去にゲームをやっていた人に届けることができた」と高松氏は強調します。

③休眠特化型施策

[高松氏登壇スライドより]

休眠特化型施策は、ユーザーのプレイ歴に対し感謝と還元をするのが狙いです。
具体的には、釣り★スタを長くプレイしていたことをプラスに思ってもらえるよう、これまでプレイ期間の長さに応じた特別チケットを提供。CPAとROAS両面で効果を発揮しました。

[高松氏登壇スライドより]

さらに、釣り★スタは、ゲーム運営年数が長くなるほど発生する竿やカードなど、過去アイテムを保有するユーザーに対し、「リサイクル」キャンペーンを展開しました。

[高松氏登壇スライドより]

過去に人気を博した竿を「11周年サオみくじチケット(ガチャ)」と交換し、最新の需要がある竿に生まれ変わらせることができると、web広告だけでなく、OOH(交通広告、屋外広告)やPRイベントなど多方面からアプローチ。「もしかしたら持っていたかも」というユーザーの心をつかみ、キャンペーン期間中、ユニークユーザーは爆増しました。

高松氏は「一定の休眠が発生することを前提とした休眠特化型施策も、超長期の運営をする上では重要になってくる」と提起しました。

[登壇の最後に、長期運営の心得をまとめて紹介した(高松氏登壇スライドより)]

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次回以降も超長期ゲーム運営のノウハウに迫ります。お楽しみに。

<連載記事まとめ> 
第1回「マーケティング戦略」 
第2回「ユーザーリレーションシップ」
第3回「PLチューニング」
第4回「5年後生存率向上へ」

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