「ヒットゲームの5年後生存率は12%」長期ゲーム運営の秘訣③PLチューニング〜超長期ゲーム運営サミットから〜

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グリー株式会社とファンプレックス株式会社が東京都内で開いた「超長期ゲーム運営サミット」。大きな一発のヒットタイトルを狙う「開発」から、ヒットとなったタイトルをいかに長く遊んでもらうかの「運営」へとモバイルゲーム業界の焦点が移行しつつある中、5年以上もの長期にわたりヒットを維持し続ける「超長期運営タイトル」の運営の実際に、業界の注目が集まり、会場は超満員となりました。

ユーザーに長く愛されるゲームの秘訣を連載で探る3回目は、PLチューニングの視点から見た運営の実際に迫ります。

<連載記事まとめ> 
第1回「マーケティング戦略」 
第2回「ユーザーリレーションシップ」
第3回「PLチューニング」
第4回「5年後生存率向上へ」

「
売上はHP、コストはダメージ、利益は残HP」

[ファンプレックスの佐藤氏]


ファンプレックス株式会社執行役員の佐藤洋祐氏は、リリース5周年以上のタイトルを10本運営してきた中で培ったPLづくりについて解説しました。佐藤氏は「
売上はHP、コストはダメージ、利益は残HPだ」とRPGゲームになぞらえた独自の表現で説明。同社に運営移管してきたゲームの売り上げやコスト、PLの改善事例を紹介しながら、残HPを維持してサービスをより長く続けるための方策を示しました。

[佐藤氏の登壇スライドより]
[佐藤氏の登壇スライドより]

佐藤氏はゲームの長期運営にとって欠かせない要素として①KPIチューニングによる売上の改善(HPの回復)②クオリティを損なわない効率運営(コストコントロールによる防御力の強化)ーーの2点を強調。

[佐藤氏の登壇スライドより]
[佐藤氏の登壇スライドより]
[佐藤氏の登壇スライドより]

KPIチューニングのポイントは「日常的に、定常的に、誰がやるのかを決めて、ユーザー推移やアイテム別売上、イベントKPIといった日常のKPI管理をすること」と指摘。朝会のような形でプランナー、デザイナー、全員がいる中で実施することが重要としました。

アイテムは「供給したらきっちり使ってもらう」

KPI管理でもっとも重視すべき項目として、佐藤氏は「アイテムの需給管理」に言及。「ゴミのようなアイテムを配り続けて供給過多になってしまっては価値がない。価値があるのは、需給のバランスを整えることだ」としました。

さらに、需給調整で重要なポイントとして「アイテムの供給を減らすのではなく、例えば50億のアイテムを供給した際には、供給した50億をきっちり使ってもらえる施策を打ち出し、需要の創出によってバランスを整えることだ。日常的にアイテムボックスを見て、『なんでこのアイテムが溜まっているのか』といった事象をチェックするべき」と提起しました。

[佐藤氏の登壇スライドより]

離脱を抑えるための分析の重要性も佐藤氏は指摘。「どこが離脱ポイントか、何がトリガーかを一つ一つ分析して見ていくことが大事だ」としました。

[佐藤氏の登壇スライドより]

KPIチューニングで同社が大切にしていることとして①必要な情報が即時手に入ること(負荷軽減&スピード重視)②全員で行うこと(同じ意識を持つ)③習慣化して日々続けること(何かあってからでは遅い)ーーの3点を提示。仕組み・体制・習慣化を組織文化として定着させることが肝要としました。

効率的な運営は「組織でたゆまず」

[佐藤氏の登壇スライドより]
[佐藤氏の登壇スライドより]

クオリティを損なわない効率運営を実現する施策として、佐藤氏は「ファインディング∞(まるまる)」と呼ばれる全社プロジェクトを紹介。日々の業務改善への気づきをポイント化し、提案するだけでポイントを追加。実際に改善したものはポイントボーナスを付与し、期間内のチームポイントや個人賞を競うものです。「全員が運営の『あるべき姿』をイメージし、そこへ向けた連続改善を習慣化するのが狙いだ。ゲーミフィケーションを取り家、取り組みやすいようにすることも重要だ」と強調。具体的な事例として、AIによる表記ミスの削減試験などを紹介しました。

[佐藤氏の登壇スライドより]

効率化で大切にしていることとして佐藤氏は①クオリティ改善につなげること(優先事項をぶらさない)②組織的に運用すること(会社の資産として蓄積する)③習慣化して日々続けること(「特別なこと」にしない)ーーの3点を紹介。「超長期運営は、結果的に超長期になっていたというもの。たゆまず組織としてやっていくことが大事だ」と訴えました。

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次回は登壇者によるセッションをお届けします。どうぞお楽しみに。

<連載記事まとめ> 
第1回「マーケティング戦略」 
第2回「ユーザーリレーションシップ」
第3回「PLチューニング」
第4回「5年後生存率向上へ」