「未来を予測してユーザーとゲームの橋渡しをする」Game8のコンテンツ制作から見えるメディアの未来

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スマホゲームアプリ関連のゲームメディアが急成長しています。ゲームの内容や攻略情報を発信する既存の性格だけでなく、コンテンツ面でゲームとユーザーをつなぐ役割や、新たなニーズを見越したユーザー体験の提供に対応。ファンを着実に獲得しながら成長曲線を描いています。

メディアの中心で舵を取る現場のトップランナーは、コンテンツをいかに作り上げ、ユーザーの心をつかもうと日々取り組んでいるのでしょうか。

今回はスマホゲームアプリの盛り上がりとともに成長し続けるゲーム攻略メディア「Game8」でコンテンツ制作を手掛けるキーパーソンにご登場いただき、メディアのコンテンツ制作や運営の実際を伺いました。

Game8とは?

[Game8トップページより]

Game8は日本最大級のゲームユーザー向けゲーム総合情報Webサービスです。「ゲームをもっと楽しくする」をコンセプトに2014年夏、β版としてスタートしたGame8は、月間2億5000万PV、2000万UUが訪問。ゲーム情報や攻略wikiはもちろんのこと、後ほどインタビューで登場するゲームとユーザーをつなぐコンテンツを積極的に提供。ユーザーからの支持を集め続けています。

ユーザーからの支持が今もなお高まり続けているGame8のコンテンツは、どのようにして生まれているのでしょうか? Game8のコンテンツプロデューサーを務める鈴木友也さんと、コンテンツディレクターの麻生達郎さんにお話を伺いました。(以下、敬称略)

株式会社ゲームエイト
鈴木友也氏
Game8コンテンツプロデューサー
株式会社ゲームエイト
麻生達郎氏
Game8コンテンツディレクター

ーーまずは貴メディアの中での役割を教えてください。

鈴木:SEOのルールメイキングや、コンテンツの全般統括を担当しています。
どのゲームを攻略するかから、技術指導、コンテンツ内容に至るまでのすべてに責任を持っており、コンテンツ編集担当の約50人を統括しています。

麻生:主にライターへの記事の書き方の指導などコンテンツのディレクションを担当しています。    

参戦するのは「未来に伸びるゲーム」

ーー圧倒的な数のゲームの中から、人気のゲームを見極めたり、記事にする決断をしたりする判断は、どうやって下しているのですか?

鈴木:実は職人的な経験値が重要になります(笑)。でも、それでは全然ロジカルじゃないので、ちゃんと説明しますね。

とはいえ、企業秘密の部分もあるのであまり詳しくは教えられないのですが、ゲームの運営形態や、会社の特徴、タイトルのTier(階層)、運営の充実度合い、各ゲームのメディアでのPVなどに関する独自のデータリストのようなものを実は持っています。このデータリストと、リリース後の動き、独自の知見を掛け合わせて総合的に判断し、決断を下しています。

例えば、予算が少ないゲームは最初にプロモーションなどでブーストをかけてユーザーを集めますし、予算が多いところは3年間などの長期で計画していて、最初の時期はテストマーケティングで知見を貯めて継続ユーザーをしっかり確保するといった具合に、ある程度の傾向がリリース後に見えてきます。

リリースした後の動きを見て、予算があるか、ゲームにどれくらい力を入れているかを確認し、データリストの傾向と独自の知見を照らし合わせ、どの程度記事で展開するかを決断しています。

ーー取り上げるゲームの選定の際に特に重視していることはありますか?

鈴木:参戦していくゲームは、今よりも未来に伸びていくであろうゲームを狙うことを重視しています。

そういった意味で狙いがぴったりとはまったのは、「逆転オセロニア」でした。大展開すると決断したタイミングとゲームの成長がピタリと動きがハマったのです。動きがピタリと当てた根拠は、蓄積するデータリストからの動きでした。

一方で、競合メディアが力を入れているところは、こちらも力を入れなければならなりません。一点突破でここだけは負けないというコンテンツを常に作っています。

競合メディアが高いシェアを取っているゲームにあえて全部取りに参戦していくつもりはなくて、未来志向で、将来ヒットするゲームとはなんなのかを常に考え、データと照らし合わせながら選定しています。企業秘密の部分も多々ありますが、大枠はそんな感じですね。

「正確性」「情報の速さ」を大事に

ーーコンテンツ作りで大切にしていることは何ですか?

麻生:作っている立場でお話をすると、「正確性」「情報の速さ」を大事にしています。Game8はゲーム攻略メディアなので、攻略に関する情報は自社でしっかりプレイして、信頼できるライターが書いています。従って「やりこみ」による情報の正確性については担保されています。一方で掲載までの速さは、これはゲームを頑張るしかないんですね。なので、それぞれのライターの得意、不得意を考えながら、助言や道筋を立てていくことを心がけています。

ーー攻略記事を書く前提でゲームをするのって、どんな気分なんですか?

麻生:そこ聞きますか(笑)。

ーーすみません、興味があったのでつい(笑)。

麻生:もちろん、楽しみながらゲームをやっています。ただし、記事を書くことを意識して、自分が気になった点や「ここ、後で重要になる」というポイントをゲームをしながらメモするようになりました。特に時系列のメモをとることが大事だといつも感じています。

「さっきあの気になるポイントがあったから、あそこに帰っていこう」という感じで、瞬間のプレイというよりも、時系列で継続的にプレイすることが、ゲーム攻略記事を書くためには重要です。

ゲームを進めていく中で、スマートではありませんが、例えばRPGで道具を取り直すイベントがあれば、このアイテムを先に取っておけばゲームを楽しく、早く進めることができるといったポイントを記事の中で伝えるためにも、気になる場所や行動の時系列での記録・メモは欠かせません。

ーーゲームをユーザーに楽しんでもらいたいという思いがあるからできることですね。そんな中で、  Game8のコンテンツの強みは何ですか?

鈴木:僕たちはゲーム攻略メディアですので、情報のクオリティは他社には負けません。ただ、ここで差別化を図るのは、結構難しいんです。なぜなら、ゲームの攻略の答えは、基本的に一緒です。それが早いか、遅いかというのはありますが、各社ともに非常にクオリティが高いので、差が生じにくいのが現状です。

そんな中でも特色を出していくため、ゲームとゲームのアイドルタイムのリテンションを生み出すコンテンツをGame8は大事にしています。例えば、「ファイアーエムブレムヒーローズ」では、育成した「推しキャラ」をユーザーに投稿してもらう「うちの子コンテスト」などを開催し、ユーザーと一緒にゲームを盛り上げています。Game8があるからゲームが楽しいと言ってもらえる要素だと思います。

[Game8「うちの子コンテスト」より]

あとは、他のメディアが扱っていない、これから流行りそうな面白そうなゲーム攻略の掲載を重視しています。これは最初の話に通じますが、「未来に流行りそうなゲーム」を狙っています。

ユーザーの思考に先回りをして記事を作る

ーーコンテンツの検索順位を上げるためにどんな工夫をしていますか?

一番大事なのは、ゲームプレイの動きから次にくるクエリを予想しながら記事を作成することです。これ、かなり大事です。記事を書いても、必要とするユーザーに届けなければ意味がありませんからね。情報を必要とするユーザーの思考に先回りをしてクエリを生み出し、記事を書いています。

ーーどうやって予測するのですか?

鈴木:いろいろやり方はあります。例えば、他社の運用から見えてくる部分があります。このゲームちょっと力入れてるなとか、このゲームはこういう視点で見ているのかとか。加えて、ネット上のさまざまな指標も参照します。グーグルトレンドキーワードプランナー、ヤフーサジェスト、ツイッタートレンド、この4つはマストですね。他にもいくつか見ています。

ーーSEOの予想の元となる指標は毎日見ているのですか。

はい、しかも手動で見ています。

ーーえ!クローリングとかで自動化したり、ツールで集めたりとかではないんですか?

鈴木:はい、実はそうなんです。もちろん、自動化も試しましたが、個人が手動でやったほうが早いというのがまずやっているうちに分かりました。

さらに、未来に流行るであろうクエリを先行して予測するには、先行クエリを検索して調べる「習慣」が重要なんです。結構職人的な感覚やアイデアをベースにワードを叩いたりとかするんですが、自動化するとそういった感覚は養われないんですね。

もちろん、自動化は便利ですが、逆に、自動化、便利化で人間の属人性の排除をした結果、個々のスキルや情報への感度、思考力は下がって行ってしまったんです。

そこをあえて人がやるというところに、今のところは意義と必要性を強く感じています。

SEOは「ユーザーが求めているものを求めている形で提供するのに尽きる」

ーー検索順位をあげるためのSEO対策の肝は何ですか?

麻生:SEO対策は、ユーザーが求めているものを求めている形で提供するというのに尽きますね。GAのサーチコンソールなどのこれだけはやっていけないを徹底する+ユーザーにとっていい記事を作るのを一身にやっています。

検索アルゴリズムが改善されればされるほど、順位は基本に忠実になります。つまり、グーグルのガイドラインは神であるという立場です。

なので、これからSEO対策をしっかりやっていきたいという人は、ぜひグーグルのガイドラインを読み込むことをおすすめします。これに尽きます。

それに加えて、記事の読みやすさは、人の心理学的な部分、コピーライティングの基本、ユーザーにとってキャッチーなものを心がけています。

実はSEOのノウハウは言語化が難しいなと最近感じています。LPの滞在時間、回遊が高いということは、ユーザーがサイトを使いやすいと感じてくれている証拠ですし、簡単に言えば、ユーザーにとって使いやすいサイト、ヒートマップで見た時、回遊率がキーになるかなとは思いますが、なかなか言語化が難しいです。

鈴木:実は、これらの知見はマニュアルが存在しています。でも、それは過去の知見であって、培ってきた答えでしかないんです。僕らが日々行っているプロセスについて、どう伝えていくかは今の大きなテーマです。マニュアルにできるのは、あくまで言語化が可能であった部分だけです。結局はそれぞれの中でPDCAを貯めて行って、知見を貯めていくしかないんではないかなと思います。

暗黙知の部分は、感覚で掴むタイプにこれは正しいと思うことを半年全部やって、しっかりと肌で感じてくれという指導をしています。なので、同じような人材の量産は難しいし、属人性の排除はできないという一種の悟りはあります。でも、そこにこそ個性が生まれるのかもしれませんね。

ーーところで、記事の作成はどんなエディターやツールを使っているんですか?

鈴木:聞く内容が細かいですね(笑)。

ーーすみません、いいエディターがあったら教えてもらおうと思って(笑)。

鈴木:なるほど(笑)。バックグランドで読者の方々にはあまり関係のない話にはなるのですが、弊社はエディタそのものを内製しています。このエディター、手前味噌です非常に簡単に操作ができて、末端作業が圧倒的に楽なんです。

なので、ライターや我々編集担当は純粋に記事を書く、情報を取るところのみに力を入れられる環境が整っています。コンテンツを作り込む上でのストレスフリーな部分に他の会社にはない強みがあると自社ながらも感じています。

ーー素晴らしいですね!そんな会社で働けたら最高でしょうね…!

鈴木:ありがたいことに、実は「ライターになりたい」という志望者から毎月かなりの数のコンタクトがあります。メディアの認知度の高まりを感じるのと同時に、働き方がどんどん変わっていく中でウェブメディアやITへの志向が強くなっているのを感じますね。

新作で優先するのは初心者向け記事

ーーゲームごとのコンテンツの量の調整はどのように行っているのですか?

鈴木:コストの問題で全部一気には作れないので、新作ゲームローンチ後の優先度としては最初にユーザーの大多数の初心者向けの記事を作ってもらっています。ライター自身はゲーム上級者ですが、最初のローンチ段階では、数は教えられませんが、結構な人数でやっています。

ーー初心者向けの記事は、どの記事から作るのですか?

麻生:新規タイトルまずゲームの進め方、ストーリーを最初に書きます。さらにアプリの場合、リセマラ情報も書きますね。その後、時系列でデータ系を書いていきます。

新作ローンチ当初はゲームをやっていたら、気がついたら徹夜していたということもありますね。遊びじゃないですよ!楽しいけど、仕事です(笑)。

ゲームとユーザーの橋渡しを

ーー今後のメディアとアプリの関係性はどうなっていきますか?

鈴木:アプリゲームは、今後もずっと重要で欠かせないパートナーです。ゲームとユーザーの橋渡しをして良好な関係を築けるからこそ、ユーザーにもメーカーにも喜んでもらえますし、自分たちもビジネスができますから。これからもゲーム会社、ユーザーとウィンウィンの関係をしっかり維持して、一緒にゲーム界隈を盛り上げていきたいと思います!

インタビューを終えて

ユーザーのためのメディアであるため、情報のスピードと正確さを追求しているのはもちろんのこと、届けたいユーザーにリーチできるようにするための、未来を予測して新たな検索クエリを生み出す営みはクリエイティブそのもの。さらに、検索クエリを見出すためにあえて手動で検索する職人的な気質は、強い個性と時代の半歩先を見る人材を育成しようというメディアの矜持を感じました。Game8がより精度の高い「時代を読む目」をどのようにして養っていくのか、注目したいと思います。

Game8公式サイト https://game8.jp/