アプリと広告のプロが見たVOD市場の可能性 〜VODアプリの利用率は17%、1年前の1.3倍〜電通デジタル×フラー調べ

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株式会社電通デジタルとフラー株式会社はこのほど、今後大きな成長が見込めるVOD(ビデオ・オン・デマンド)アプリ市場の実像を浮き彫りにするため、3万モニターを対象としたVODアプリ市場に関する調査を共同で実施しました。

VODアプリ市場の実態と可能性について、本調査にたずさわった電通デジタルとフラーの担当者が、データを基にざっくばらんに語りました。(敬称略)

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株式会社電通デジタル
中村智彦氏
広告事業アカウントプランニング部門スマートデバイス事業部データグループマネージャー

プロフィール:2013年よりスマートフォンアプリアナリティクスツールを活用したコンサルティングを得意領域とし、アプリマーケティング全般を支援。電通デジタルには2016年に入社し、オンオフ統合のデータ分析や、アプリ領域におけるソリューション開発などを行っている。

フラー株式会社
岡田雄伸氏
コンサルティング本部長

プロフィール:大手ネット専業代理店で西日本事業部のアプリ営業責任者、ユニットマネージャーを歴任。アプリからECまで様々な企業のアプリマーケティングを中心に担当。2015年フラー参画。アプリの最新の市場動向の提供から戦略立案、リサーチまで幅広く手がける。

岡田:VODの共同調査、お疲れ様でした。中々に興味深いデータが出て面白かったです。今日はこちらのデータを掘り下げてお話ができればと思います。お話の前に、中村さんが普段どんなお仕事をされているか、簡単にお伺いしてよろしいでしょうか?

中村:私が所属するグループは、スマートデバイス事業を成功させる上での市場調査からデータ分析、施策実施までワンストップでサービスを提供しております。また、事業成長を加速させるためのソリューション開発も行っております。会社全体としても、アプリマーケティングを含むデジタル領域に注力しています。
岡田さんはどんなお仕事をされてるのですか?

岡田:私はアプリの市場分析ツール「App Ape」のご紹介をメインに、アプリ関連の企業の市場のリサーチをお手伝いさせていただいております。今回のメインとなるVOD関連の企業からゲーム、O2O、メディア関連など様々な企業に関わらせていただいております。

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「VODアプリの1人あたり所持数は意外に少ない」

岡田:早速調査の内容について見ていきましょう。まずはVODアプリ市場の規模を実際に調べてみて、どんな所感を持ちましたか?

中村:そうですね。1ユーザー当たりが所持するVODアプリ数が平均1.2個というのは意外と少ないなという印象を持ちました。
一方で、利用率は前年に比べて1.3倍に増えているわけですから、ニーズが高まっているのにもかかわらず1人当たりの所持アプリ数は少ないということですよね。市場として考えると、これから急成長が期待できる分野なのではないでしょうか。

岡田:パワーがあるアプリが多い印象だったので、1.2個って肌感覚で少ないですよね。そういう意味ではこれからパフォーマンスが大きく伸びていくんじゃないかなと僕たちもデータを分析していて感じました。

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「休眠ユーザーが利用ユーザーより多く、どちらの層も30、40代が多い」

岡田:利用層と休眠層の比率にも、今後の伸びを示唆する特徴がありましたね。VODアプリを所持しているユーザーの割合は40%を越える一方、利用は15%ほどにとどまることから、明らかに潜在的なユーザーが多く、高いパフォーマンスが期待できる分野であることを示しています。

中村:たしかにそうですね。所持しているユーザーは多いのですが、実際の利用者は意外と少ない。つまり、この分野は潜在層が多いということですね。

岡田:さらに特徴的だったのが男女共に30、40代の比率が高かった事ですね。

中村:休眠ユーザー、利用ユーザー共にその年代の比率が最も高かったですね。獲得施策、リエンゲージメント施策共にまずはこの層をターゲットにして検証していくと良さそうですね。
コンテンツ目線で言うと、30、40代に刺さるリバイバル路線のコンテンツを投入すると効果が期待できそうです。

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10代に刺さるのは「リアルタイムなつながり」と「学割」

岡田:一方で、10代は意外と少ない結果になりましたね。

中村:たしかに、意外と少ないですよね。そもそも今の10代は何をしているんですかね??

岡田:弊社のデータから分かる事ですが、10代が良く利用しているアプリはVODではなくモンスターストライクやTik Tokといった「人とシェア」できるアプリですね。加えて、Tik Tokを筆頭にライブストリーミング系の利用も増えていますね。

中村:年齢と共に徐々に薄れていく「リアルタイムな繋がり」を求めている傾向がありそうですね。

岡田:10代に潜在的なユーザーが多いとの仮説が立てられるかと思うのですが、10代のユーザーをVODに集めるにはどうしたら良いですかね?

中村:恐らく10代は他の層に比べて「価格」に敏感なんだと思います。今回色々なVODアプリのサービス仕様を調べていて気付いたんですけれど、キャリアや音楽系のサブスクリプションサービスは若者向けの料金体系を導入している一方で、この分野はあんまり「学割」のような若年に訴求するようなサービスはないんですよね。

岡田:確かにそうですね。

中村:実はその枠組みはこの分野でも使えると感じていて、スマホネイティブである10代の市場が拡大する起爆剤になるのではないかと思うんです。

岡田:10代の利用の少なさは、市場の成長余地の裏返しですからね。

中村:あとは、作品を「シェア」してリアルタイムでコメントし合えるようなことができればより10代に刺さるんじゃないかと思います。30、40代はコンテンツに対して一人で楽しむだけで満足するユーザーは比較的多いと思うのですが、10代になると友達はもちろん、人がどういうふうに考えているか気になる世代ですしね。

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VODユーザーはゲーム・コミックよりもニュース・SNSを好む

岡田:VODアプリユーザーがどんなSNSやニュースアプリを使っているのかを調べたら、かなり面白い結果になりましたね。SNSはTwitter、Instagram、Facebook、ニュースアプリはYahoo! Japanが圧倒的でした。

中村:先ほど浮き彫りになった主に利用している層の傾向が出てますね。そんな中で気になったのは、Instagramの利用傾向が予想以上に高かった点です。

岡田:弊社のデータからもInstagramは10代、20代が最も多く利用されているのですが、VODユーザーというセグメントで見ると、30、40代が多く利用しているという結果でギャップを感じますね。

中村:VOD利用ユーザーをターゲットとした広告訴求でいうとInstagramとの相性が良さそうなのと、特に10代、20代へはInstagramと先ほどの若年層施策での訴求を合わせると効果が出そうですね。

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岡田:一方で、ゲームやコミックの利用率は少ないですよね。

中村:カテゴリを超えた可処分時間の奪い合いが起きているとはいえ、アプリの母数を踏まえたとしても圧倒的に少ないですね。

中村:でも逆に、だからこそ広告配信のポテンシャルは高いと思うんです。コミックは特にメディア枠を含めて広告配信の仕組みが整っているだけに、コミックユーザーを獲得する余地は全然あると思います。コミックアプリへの広告出稿は高い効果が期待できると思いますし、今後増えてくる可能性がありますね。

岡田:ゲームは古参のアプリが多い印象ですね。新しいアプリが少ないということは、VODユーザー全体がレイトマジョリティ層が多いことを示唆していそうですね。

中村:今回の調査部分でのゲームアプリ利用率の上位10アプリ中、2017年のリリースタイトルは「どうぶつの森 ポケットキャンプ」と「荒野行動」、「ディズニー ツムツムランド」の3本だけですからね。裏返すと、長期運営タイトルをターゲティングした広告配信と相性がいいということになりますね。休眠ユーザーが多いわけですから、リエンゲージメント広告との相性も良さそうです。

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VODは心と時間に余裕がある時に、コアユーザーはすきま時間も視聴

岡田:VODアプリの時間帯別起動率とVOD以外のアプリ全体の比較ですが、これは意外でしたね。

中村:時間帯別にきれいに利用パターンが分かれましたね。VODユーザーは朝の時間帯は娯楽よりもニュースやSNS情報収集に集中している傾向があると思います。一方、帰宅時間帯は気持ちが朝よりもOFFになっているせいか、ここでVODを楽しむ傾向が見られますね。ユーザーの出勤時と帰宅時の心の有り様が見えます。

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22時以降はベッドなどで落ち着いてVODを見ている姿も浮かびますね。時間と心に余裕があるタイミングにVODを見る傾向が強いということだと思います。

岡田:このデータから分かる事ですが、施策を打つにはVODの利用率が高い18時前後と22時前後がベストだということですね。

中村:よく視聴されている18時と22時もVODサービスを利用していないユーザーからすればVODサービスへのポテンシャルが高い時間帯になるので、必ずしも前後にこだわらなくても良いですよね。

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ロイヤルユーザーの中心は20、30代男性

岡田:利用頻度と性年代別の構成比率をみると、ライトユーザー(1ヶ月間のうち利用が10日未満)が80%以上を占める一方、ロイヤルユーザー(10日以上)が15%ほど。さらにロイヤルユーザーの内訳をみると20、30代男性の割合が非常に高かったですね。

中村:この層がどんなコンテンツを見ているのか、非常に気になります。

岡田:男女別でみると、男性は20代をピークに年齢が上になるほど比率が下がっていきますが、女性はその逆で、ピークの40代まで比率が高まり、50代は男性よりも多いという結果になりました。

岡田:平日・休日の時間帯別のロイヤル・ライトユーザーそれぞれのVODアプリ起動率をみると、特に平日のロイヤルユーザーの起動時間帯にはっきりとした特徴がありますね。

中村:そうですね。ロイヤルユーザーはVODとの向き合い方が全然違いますね。ほぼ毎日使っているのが前提で、朝の短い時間でも起動して、見れる時間に見たいコンテンツを進める傾向があるのだと思います。

岡田:ロイヤルユーザーで毎日見る層は朝の時間にもピークがありますが、常にwifi環境下にあるとは考えにくいので、スマホの大容量プランを導入して時間帯にこだわらずに見ているのかもしれませんね。月額プランは高額になるので、コンテンツやスマホに対して投資額が高いユーザーである可能性も考えられます。

中村:そう考えるとポテンシャルありますね。あとは夜の間にwifi環境でDLして時間帯を問わずに見ている可能性もありますね。そうなると、VODサービスはDL機能があるかないかとその機能が充実しているかで他アプリとの差別化が図れますね。

岡田:確かに、作品によってはDL出来ない場合もありますが、ユーザーの視点で考えると全てDLできたほうが満足度も高いわけですし。

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岡田:土日のロイヤルユーザーは午前0時のタイミングでもすごく上がっていますね。各社がコンテンツを更新するタイミングで、オリジナルドラマやアニメなどを見たいコア層が動いているのがよくわかります。

中村:ライトユーザーに注目すると休日の20時が突出していますね。隙間時間で観るような習慣が無い為、観るタイミングはある程度決めているんだと思います。この傾向からは、一週間が終わって週末の夜にVODを見て1日を終えるみたいなライフスタイルが見えますね。日曜洋画劇場がVODに置き換わって習慣化されているといいますか。一番気持ちが盛り上がっているその時間帯に広告やアプリ内施策を打つのもいいかもしれませんね。

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Amazonプライム・ビデオの圧倒的な強さ、正念場は7〜8月

岡田:国内のVODアプリ市場の構造をみると、Amazonプライム・ビデオの強さが際立ちますね。

中村:そうですね、どうしてAmazonプライム・ビデオはこんなに強いんでしょうか?

岡田:データを見ると、2017年7月から8月のタイミングでAmazonプライム・ビデオは爆発的に伸びたんですね。これはプライムデーの影響で、史上最大の売り上げを記録した期間です。ユーザーをここで一気に獲得したという背景があります。中でも、20代の伸びが突出しており、このプライムデーのインパクトが大きく影響したと思います。

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岡田:アプリとの関係は間接的なのですが、このタイミングでFireTV Stickが格安で販売され、ユーザーがビデオコンテンツに初めて触れたというのも大きいと思います。

中村:確かに、7月の伸びは凄まじいですね。Amazonプライム会員って年間契約ですよね?ということはもう7月ですし、ユーザーを繋ぎ止めることができるのか、他のVODサービスがどのような施策でユーザーを取りに行くのか、要注目ですね。

岡田:このタイミングで Amazonプライム・ビデオの大きなコンテンツを投入してくるかもしれませんね。

中村:そういえばAmazon Prime Videoチャンネルも最近リリースされましたよね。ニッチを狙った月額コンテンツを仕掛けてきたところが、すでに布石を打っているということでしょうね。年間で大きくユーザーが動く時期になりつつあるので、やはりこの2ヶ月は目が離せませんね。

岡田:女性や男性50代など、現在Amazonプライム・ビデオが弱い層のテコ入れとして、Amazon Prime Videoチャンネルを入れているのが垣間見えますね。

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コンテンツがユーザー像の違いを鮮明に

岡田:国内のVODアプリの性年代別の利用率をみると、見事にサービスの特徴で属性が分かれましたね。特にAmazonプライム・ビデオとTVerの違いが顕著です。

中村:同じVODサービスとは思えないくらい、属性が逆転していますね。TVer、dTV、GYAO!、FODは女性が多く、テレビ好きユーザーがそのまま移っている印象です。 Amazonプライム・ビデオとNetflixは似た傾向で、特にNetflixは20代の多さが際立ちますね。

岡田:Netflixはオリジナルコンテンツを多く提供しており、独占配信なども多いです。Fateの最新シリーズやデビルマンなど、20代男性に刺さるコンテンツも多く、アニメやサブカル好きに受けている印象があります。

中村:10代の割合が最も多いのはGYAO!で、コスパや価格意識が高いことの表れですね。やはり学割施策は効果ありそうです。

岡田:Amazonプライム・ビデオとNetflixで20代男性が多いのは、海外コンテンツの多さもあるでしょうね。一方、TVer、dTV、FODは国内ドラマコンテンツが多い。なので、女性が取りたければ国内系、男性を取りたければ海外系コンテンツやアニメを取り入れるといいかもしれませんね。

中村:ここでビデオパスの構成を見ると、50代女性が際立ちます。家族を持って少し余裕ができて、家族割の延長で利用しているのかもしれませんね。

岡田:「家族割」と「学割」。年代ベースで見た仮説だと、今後キーになっていく施策かもしれませんね。色々とお話いただき、ありがとうございました。最後に、中村さんにとってアプリデータの魅力は何ですか?

中村:仮説ベースでは把握できない情報を知れることです。ここ数年であらゆる分野・業界でスマホアプリシフトがより鮮明になる中、実際にアプリを利用しているユーザーのインサイトやアプリの利用実態などはブラックボックスとなっているのが実態です。
ですので、デジタルマーケティングの全領域に対して強みを持つ電通デジタルとアプリ分析を得意とするフラーが連携し、スマホアプリのデータから導き出される各施策への気付きをより多くの皆様に発信していきたいです。
岡田さん、次回以降は分野を変えて定期的に発信していきませんか?

岡田:いいですね。これからまだまだアプリはリッチになり成長していく分野だと思っております。単純なマーケティングではなく、データ分析も重要なファクターとなっていくかと思います。
是非、定期的に発信して市場を盛り上げて行きましょう!

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調査の目的

ここ数年であらゆる分野・業界でスマホアプリシフトがより鮮明になる中、電通デジタルは今後の伸び代が大きいアプリ分野の強化を図ることでより多くのお客様によりよいサービスを提供するため、フラーはスマホアプリのデータの魅力や可能性をより多くの皆様に発信するため、 アプリ市場動向の共同レポートを作成しました。

調査概要

調査方法:スマホアプリ分析プラットフォーム「App Ape」が保有する3万のモニターユーザーのアプリ利用ログから推計致しました。
調査対象アプリ:VOD機能を有し、かつApp Apeでの調査にて一定以上の月間利用者数を持つ、28アプリを対象としています。
調査期間:2017年2月~2018年1月, 2018年6月