アプリの成長はユーザーが作るコンテンツから始まる・ホットリンク・飯髙悠太氏が描く「Twitterのスタンダード」

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ウェブマーケティングの世界で知らない人はいないと言っても過言ではない飯髙悠太さん。ウェブマーケティングメディア「ferret」を運営する株式会社ベーシック(東京都千代田区)を退職し、ビッグデータを活用したマーケティング支援を手がける株式会社ホットリンク(東京都千代田区)のマーケティング本部長に1月に就任しました。

飯髙さんは、一過性の「バズ」ではなく、UGC(User Generated Contents=ユーザーが生成したコンテンツのことで、ツイートやブログ、写真投稿など意味は幅広い)を起点としたユーザー行動の連鎖こそが、Twitterを生かしたマーケティングのスタンダードになり得ると提起します。

アプリデベロッパーやマーケターは、Twitterを実際にどう活用していけばいいのでしょうか。(敬称略)

株式会社ホットリンク
飯髙悠太氏
マーケティング本部長

プロフィール:1986年生まれ。2014年 株式会社ベーシックに入社。ferretを立ち上げ、創刊編集長に就任。2017年 株式会社ベーシックの執行役員に就任。2019年 株式会社ホットリンク マーケティング本部長に転籍。これまでに複数のWebサービスやメディアの立ち上げ・東証1部上場企業を含め50社以上のコンサルティングを経験。

ーーあれ、Mac新しくないですか?

飯髙:はい、実は休暇先の沖縄で買ったんです(笑)。PCはあったんですけど、「e」が沖縄いった初日に効かなくなっちゃって(笑)。転職の経緯は僕個人のnoteに書いてみたので、興味があったら読んでみてください。

ーーありがとうございます!先日、「企業公式中の人川柳」がTwitterでちょっとした話題になりました。ご覧になりましたか?

https://Twitter.com/ShachihataBS/status/1087864356241457152

飯髙:ああ、苦労がにじみ出てますね。

ーーツイートを読んで、バズって何なのだろうとあらためて考えてしまいました。

飯髙:Twitterを運営する多くの企業は、バズというのは一つのコンテンツを拡散させることだと考えているでしょう。個々のつぶやきがバズるのは、それはそれで大切なこと。でも、バズは一過性で瞬間的なものです。バズを生む企画やコンテンツを量産できなければ、継続していくのはけっこうしんどいじゃないですか。広告予算を投入して継続的にツイートを増やすこともできますが、普通の企業、特に中小企業はなかなかできません。

ーーでは、飯高さんが考える企業のTwitter運用におけるバズとは何ですか?

飯髙:UGCによる口コミの発生により、Attention(アテンション)を増やしていくことだと僕は考えています。

一般的に考えるバズは一過性ですから、企業単体の施策によるバズでグーグルの検索回数を継続して確保することは、なかなか担保できないと思います。だから、企業はGoogle Yahooの一般検索のキーワードの入札で競争します。キーワードに対する全体のアテンションの数は基本的には変わらないため、限られたパイの奪い合いとなります。

一方、アテンションを増やして広げるという考え方では、「この商品よかったよね」「また使いたい」といった口コミをユーザーがUGCとしてTwitterに投稿することを重視します。口コミが増えれば、アテンションも増え、Twitterをみたユーザーがグーグルで商品名を直接検索する「指名検索」が増えていきます。商品名なら競合もいないわけですから、一般検索とは違った土俵で戦うことができるますし、指名検索の方がCVRは上がります。結果として、積み上げたアテンションの分だけ、マーケティングのファネルが広がって売り上げ増につながります。

「ULSSAS」が口コミを拡散する

[提供:株式会社ホットリンク]

飯髙:UGCを発端とするTwitterでの一連の口コミが拡散する流れを、僕たちは「ULSSAS(ウルサス)」のフレームワークと定義しています。

ーーULSSASとはどう言う意味ですか?

飯髙:UGC⇒Like(いいね)⇒Search(SNSで検索)⇒ Search(Yahoo、Googleなどで検索)⇒Action(行動・購買) ⇒Spread(拡散)」と、一連のユーザー行動の頭文字を取ったものです。

まず、商品を買ったユーザーが「この商品めちゃクチャいいんだけど」と呟くとUGCが出て、スタートになります。個人がメディアという捉え方です。ここでUGCが生まれなければ、企業が広告やコンテンツを投入することになります。

次がLIKE。友達やツイートを見た人が「いいね!」をして共感します。

そして、いいねをした人の中には、商品やサービスについてSNSやGoogle、Yahoo!を使って、商品名やサービス名で検索(Search)を始めます。

そのうち何人かが商品を買うということになれば行動(Action)が生まれ、また「この商品よかった!」と拡散(Spread)してUGCがさらに出てきます。

UGCが出れば、その先は自然と回っていく形です。

ですから、企業がSNSで最初にやることは、ユーザーが好みそうな写真やツイートといったコンテンツを投稿することです。コンテンツをきっかけにUCGが生まれれば、ユーザー行動が連鎖し、ぐるぐると回っていくんです。

「すばらしい」とつぶやいた一人のユーザーに100人のフォロワーがいたとします。仮に5%が反応してリツイート(RT)すれば、5人のフォロワーにさらに伝わります。さらにそのフォロワーの5%が反応、さらにその5%が反応…といった具合に、UGCから生まれた流れが無限に連鎖してアテンションを増やし続ける可能性だってあるんです。

ーー飯高さんが考えるコンテンツとは何ですか?

飯髙:僕らが考えているコンテンツというのは、商品やサービスのこと。UGCを生み出すのには、商品やサービスがいいことが大前提として必要です。UGCを生み出す源が、企業のまさに中身、コンテンツなのです。

キングコングの西野亮廣さんが指摘していますけど、これからは信用を得る時代、信用が価値となる時代だと思っています。僕らの文脈でいうと、信用とは中身・コンテンツです。それが価値となるのです。

いままでの中小企業は、いいものを作っても売れなくて経営が厳しくなるとかめちゃくちゃあったと思います。なぜかというと、ユーザーと企業が出会いずらかったからです。どうしても検索となると広告費が必要になってきます。でも、今は時代が変わって、いい商品であれば口コミがでて、その友達へと情報が届いていきます。

ぼくらは素晴らしいプロダクトやサービスを持っているのにユーザーと出会えない企業がユーザーと出会えるようになるため、SNSを通して貢献したいんです。

Twitter拡散の3つのパターン

飯髙:Twitterで拡散を生み出せるかどうかは、下記の3つのパターンに分けられます。

①UGCあり+指名検索あり
②UGCなし+指名検索あり
③UGCなし+指名検索なし

①のようにUGCが出ていて、指名検索もあれば、Twitterを活用することで売上が増えます。今のUGCをより増やすために何をすればいいか、あとはコミュニケーションをどうするか。

②は、UGCはないが指名検索はあるので、コンテンツマーケティングでUGCを増やすきっかけをつくるわけです。例えば、ウェブメディアやオウンドメディアの記事、動画、キャンペーン企画などサービスに関連するコンテンツを投稿すれば、UGCが出ます。口コミが出れば指名検索も増えます。

BtoBの商材や知名度が低いけどいいコンテンツ(サービス)を持っている企業の場合、コンテンツマーケティングによっていかにUGCを生み出すかが重要です。なぜなら、「App Apeなう」とか「フラー なう」とかなかなか投稿しないですよね(笑)。そこで、オウンドメディアなどのコンテンツ発信でTwitterでのUGC発生のきっかけを作るのです。

③は口コミ、指名検索ともにない場合です。これは、費用は①と②に比べるとだいぶ必要になってきます。広告によるアテンション獲得が施策のメインになるでしょう。

ーー実際のユーザーコミュニケーションってどんな風にすればいいのでしょうか?

飯髙:例えば、有名人が投稿しているものを引用RTしても、その人がRTする可能性は低く、あまり拡散性はありません。UGCを出しているユーザーの中で、またサービスを使用してくれそうな人にRTや引用RTをするべきなのです。フォロワーが100人のアカウントでも、UGCを出してくれているユーザーをRTするのです。

企業の公式アカウントは普通、あまりRTしないので、ユーザーは嬉しくなりますよね?そうしたら、また次に公式アカウントがコンテンツを投稿したときにLIKEをくれるかもしれないし、またサービスを利用した際にUGCを出してくれるかもしれません。

連続RTしすぎてユーザーのタイムラインを埋めてしまうのはよくありませんが、ユーザーのUGCをRTをしないというのは、もっとナンセンスです。UGCを出してくれるようなファンをつなぐ架け橋としてRTやファボをすると、輪が一気に広がっていく可能性があるからです。

たまたま実家が近いなど何かきっかけがあれば、公式アカウントのフォロワーの一人がRTされたユーザーをフォローするかもしれません。そうすると、その人は、企業の公式アカウントとダブルでフォローする形になり、UGCと企業アカウントのコンテンツの両方を見られるようになります。

さらに別のフォロワーが、ダブルフォローした人をフォローすると、そちらでも両方のコンテンツ見られるユーザーが生まれます。

ーーRTした先の連鎖を見据えているということですね

飯髙:そういうもっと深いところまで考えられるようになると、SNSの運営というのは面白くなると思います。

SNSは人間付き合いと本当に同じなんですよ。あのグループに入りたいなと思ったら、そのグループの友達と仲良くなることが一番ですよね?そうすれば、自然とそのコミュニティーに属することができるわけですから。そう考えたら、RTすることってめちゃめちゃ良いことですし、全然ダサくないんです。

ーーむしろポジティブなコミュニケーションですね!

飯髙:だからこそ、すすんでお客さんがUGCを上げてくるのを無下にするのは、失礼ですよね。そうなったら、もうつぶやかなくなるかもしれないじゃないですか。

ーーULSSASやTwitterでのコミュニケーションはアプリ・ゲームのデベロッパーにも当てはまりますか?

飯髙:はい、もちろん当てはまります。SNSを起点に成長できる大前提は、いいものやコンテンツを持っていることですから、ゲーム会社もアプリのデヴェロッパーも、ULSSASは作りやすいはずです。

今、実はあるアプリのTwitter運用のお手伝いをしています。もうすぐTwitterのフォロワーが1万人を突破するんですけれど、もともとはUGCはあまり多くありませんでした。でも、そこをうまくコンテンツで工夫したりして、だんだんユーザーが付いてきています。

これによって今、何が起き始めているのかというと、ストア内で一般検索してアプリを入れるのではなくて、Twitterのツイートを見て、Twitterから調べた人が、プロフィールからのアプリページ遷移やストアでアプリ名を指名検索してダウンロードするパターンが増えてきたんですよ。これは素晴らしいですよね。

ストアって、一言で言えば地獄の戦いじゃないですか。そうじゃない土俵で戦えるというのがすごく重要なのです。

ーーフィールドをTwitterにシフトしてボリュームを出す施策、大変興味深いです。

飯髙:Twitterはやろうと思えばすぐにできることではありますが、きちんと成果を出すにはまだスタンダードがありません。

弊社はビックデータを保有しており、口コミが伸びた時期をとらえた上で、ツイートやニュースなどを分析できます。さらに関連語や急上昇を、トレンド数の累計を把握したり、ツイートした人たちが実際に関心がある事柄について知ることができます。

どういうキーワードが出ているかが分かれば、その次はどういう人たちがフォロワーになればいいのかを考えられるようになります。あとはそういう人たちがフォローしてくれるかを考えればいいのです。

自分たちはそもそも口コミあはるのか、あるとしたら、どんな口コミなのか、コミュニケーションをとるべきなのはどんな人たちなのかをビッッグデータから紐解いていきます。そこから熱量の高いユーザーをフォローしてUGCを生み出す手助けとなるコンテンツを作って、UGCをより発生させ指名検索を増やします。弊社はデータを保有しているから他の企業より支援しやすい訳です。

ーーTwitterマーケティングはまだまだ奥が深いですね。

飯髙:インターネットはよりリアルの世界に近づいてきています。近づいてきているというか、オンライン・オフラインの境目がもうないんじゃないかと最近は思っています。

一方で、Twitterを取り巻く業界は正直、まだまだでき上がっていないんです。SEOとかはある種確立された仕組みや業界がありますが、TwitterやSNS
ははまだないんです。

まさにそこが、僕らがお客様と一緒に考えていきたいことなんです。

ここ最近色々なインタビューでお話しさせていただいていますが、僕は「Twitterのスタンダード」を作りたいんです。
これが普通だよねというのができると、次の施策や手法にみんな集中できるじゃないですか。だから、競合の会社とも手を取り合って、業界を盛り上げていきたい。何より、Twitterが好きですから。App Ape Awardでもぜひ、その辺りをお話ししたいですね。


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