電通デジタル・フラー データからみたヘルスケア&フィットネスアプリの今と未来

ハッシュタグ
株式会社電通デジタル中村氏とフラー株式会社岡田氏
0 SHARES

株式会社電通デジタルとフラー株式会社はこのほど、伸び代が大きいヘルスケア&フィットネスアプリ市場の実態を明らかにしようと、3万モニターを対象とした共同調査を実施しました。調査を手がけたそれぞれの担当者は、データからどのようなことを感じ取ったのでしょうか。(敬称略)

株式会社電通デジタル
中村智彦氏
ストラテジー部門 テクノロジーインテグレーション部 プロダクト企画グループ マネージャー

プロフィール:2016年電通デジタル入社。アプリ領域においてデータを活用したコンサルティングを得意領域とし、TVCM効果計測の仕組み作りや、アプリ分析ベンダーとのアライアンス構築まで、アプリ領域全般に亘る業務を一挙に手掛ける。現在は広告運用を最適化させる統合マーケティングダッシュボードの構築、データビジュアライゼーション文化の醸成、普及をメインとして従事。

フラー株式会社
岡田雄伸氏
コンサルティング本部長

プロフィール:大手ネット専業代理店で西日本事業部のアプリ営業責任者、ユニットマネージャーを歴任。アプリからECまで様々な企業のアプリマーケティングを中心に担当。2015年フラー参画。アプリの最新の市場動向の提供から戦略立案、リサーチまで幅広く手がける。

ヘルスケア&フィットネスは深く貴重なデータが取得可能に

ーー両社による共同レポートは2回目となります。今回は、なぜヘルスケア&フィットネス市場に着目したのですか?

中村: 対象市場の選定については、前回同様最も伸びているかつ今後の伸び代がある市場を条件としました。そこで、フラー社へ各市場の伸び率をデータで出していただいた結果、ヘルスケア&フィットネス市場が最も伸びていました。

データの観点については、スマートフォンアプリから取得できるデータは様々なものがありますが、ヘルスケア&フィットネスアプリは他のアプリに比べ、よりパーソナライズされたデータの取得が可能だと感じたからです。私自身も昨年デジタルハリウッド大学にてヘルスケア学術大会が開催された時に今回の分析結果についてお話させていただいたのですが、デジタルとヘルスケアは密接な関係にあることを実感しました。昨今の健康志向の高まりもあり、今後の市場成長が期待できます。

岡田:テクノロジーの発展とともにスマホ自体が人々のインフラとなり、肌身離さず持っているものとなったこともあり、ヘルスケア&フィットネス関連のデータは、かなり深くて貴重なものが大量に蓄積できるようになりましたね。

中村:実際、Apple Watchを代表とするウェアラブル端末は、心拍数や睡眠時間、寝返り、歩数、体の動きなど人間の貴重なジオメトリックデータが24時間計測できます。また、ヘルスケアアプリについては、ユーザーの年齢、性別の他、身長、体重、睡眠時間等通常のアプリが取得できないようなデータを取得できる点も魅力です。

現代人の生活に密着したヘルスケア&フィットネスアプリ市場の今をしっかり見ておきたいという思いもありました。

伸び率高いヘルスケア&フィットネスアプリ

ーーデータを分析してみた結果はどうでしたか?

岡田:ヘルスケア&フィットネスアプリの市場像を捉えるため、比較的利用率が高い4つのカテゴリ(ニュース&マガジン、ゲーム、ライフスタイル、ショッピング)とヘルスケア&フィットネスをApp Apeのデータで比較しました。

こうしてみると、非ゲームカテゴリの利用率が堅調な一方、ゲームカテゴリの利用率が下がっているのがわかります。「可処分時間の奪い合い」という言葉が象徴する、スマホユーザーの時間取り合戦がジャンルを超えて繰り広げられる中、これまでゲームに費やしていた時間が他のカテゴリに奪われている形です。

中村:一方、堅調な非ゲームカテゴリをみると、ショッピングカテゴリが最も伸び率が高いものの、ヘルスケア&フィットネスの方が伸び率が高いことがわかりましたね。

もちろん、ショッピングという小売全体を巻き込んだ圧倒的なカテゴリに比べれば、ヘルスケア&フィットネスの規模はまだ小さいのが現状です。しかし、他のカテゴリと比較して市場は大きく伸び始めているため、今後の有望株と言えるでしょう。一言で言うと、伸び代が大きく急成長が見込めることがデータで示されたと感じています。

ヘルスケア&フィットネスユーザーはマクドナルド好き?

ーー調査では、ヘルスケア&フィットネスユーザーの3人に1人がマクドナルドアプリを使っているという興味深い結果も紹介されていますね。

中村:はい、健康志向なユーザーは食に対しても気を使っていると思っていたのでこの結果は意外でした。データを詳しく見てみると、すかいらーく、スシロー、食べログ、ホットペッパーグルメなど他のフード&ドリンクアプリもヘルスケア&フィットネスユーザーの利用が多かったことから、健康志向なユーザーとファストフードや飲食店のアプリは相性が良いことが見えました。

マクドナルドがダントツで高くなった背景として、マクドナルドアプリを利用しているユーザーの性年代情報をApp Apeから見たところ、ヘルスケア&フィットネスアプリの主要ユーザー世代と重なっていたことも理由の一つとして考えられます。

ーーユーザーはマクドナルドアプリを先にインストールしたのでしょうか?それともヘルスケア&フィットネスアプリを先にインストールしたのでしょうか?

中村:ユーザーによって背景は異なりますので一概に言えません。ただ、マクドナルドアプリを先にインストールしていたのか、それとも後からインストールしたのかによって、ユーザーの傾向が見えてくれば、健康への意識の高さの違いをアプリ利用起点で鮮明にできる可能性はありますね。

岡田:たしかに、今後さらにデータを深掘りしていきたいテーマですね!

若年層はブルーオーシャンのヘルスケア&フィットネス

ーー調査ではヘルスケア&フィットネスアプリは10~20代の利用が低い傾向にあることも見えました。

中村:電通ヘルスケアプロジェクトが2018年に実施したウェルネス1万人調査によると、20代の男女共に健康に対する意識は高いことが証明されました。ですので、実はその世代も健康に対するポテンシャルはあると感じます。

現状アプリの利用頻度は低いですが、逆に言えばプロモーションがうまくいけば十分に若年層の掘り起こしは可能性を感じますし、先ほどのファストフードや飲食関係を絡めた訴求や、若年層に刺さりそうなクリエーティブでの訴求は効果が見込めそうです。

岡田:そうですね。現状のアプリの利用頻度は低いですが、広告訴求によるマーケット掘り起こしという観点では、若年層はブルーオーシャンかと思います。カテゴリーをしっかりと調査し、年代も含めて施策を考えるのが重要だという一つの結果になりました。

SNSとヘルスケア&フィットネスは好相性

ーーSNSアプリとヘルスケア&フィットネスアプリの利用状況についてどう思いましたか?

中村:ほぼ全てのSNS系アプリについてフィットネス&ヘルスケアアプリを利用しているユーザーの利用率が高かったことから、SNSに関しても相性が良いと感じました。

ユーザー目線では健康な体づくりに励む姿をSNS発信するもしくは、記録としてSNSに残す傾向があるんだと思います。ですので、アプリ目線ですとトレーニング系のヘルスケア&フィットネスアプリは直接SNSに投稿できる機能はあった方が良いですね。

岡田:そういう意味では、SNSとヘルスケア&フィットネスアプリのコラボも広告施策の一つとして考えられますね。

中村:はい、そうですね。コラボの可能性という視点でいうと、実際にアプリの利用率が高いマクドナルドなど外食系アプリのコラボも考えられると思います。

スポーツ系アプリで圧倒的な利用率の「DAZN」

ーー他にはどんなデータが印象に残りましたか?

中村:カテゴリ別のアプリ利用傾向では、スポーツ分野で特徴が見られ、スポーツコンテンツ配信サービスの「DAZN(ダゾーン)」がスポーツ系アプリでは圧倒的な利用率でした。また、その他アクティビティ系アプリについても利用率が高かった為、スポーツ系分野については視聴系、アクティビティ系両方と相性が良いことが肌感ではなくデータからも証明されたことですね。

岡田:ヘルスケア&フィットネスとスポーツ系のアプリ、はっきりと親和性がでましたね。

ーーヘルスケア&フィットネスアプリそのものの魅力とは何でしょうか?

中村:データ活用の目線で言うとやはり一番の魅力は他のアプリ分野では取得が難しいとされるユーザーのパーソナルな情報を違和感なく取得できる点です。また、ユーザー目線ですと私自身も走ることが好きでランニング系のアプリを入れているのですが、例えば同じアプリを使っている人には不思議な親近感が生まれます。アプリのデータを元にお互いが健康について話をしている時って、本当に距離が近くなるんですよね。

いずれもキーとなるのは、蓄積されたユーザーのデータです。データが人を健康にするし、幸せにする。そのきっかけとなるのが、ヘルスケア&フィットネスアプリだと思います。

ーーヘルスケア&フィットネス市場に電通デジタルとして感じる可能性は何ですか?

中村:今回のアプリに関する共同調査や、電通ヘルスケア プロジェクトによる意識調査など、ヘルスケア&フィットネス市場についての知見が当社には集約されてきています。

マーケットリサーチ観点からのプロモーション施策に加え、電通グループが保有している「People Driven DMP®」(”人”基点でグループ内のマーケティング手法を結集・高度化した統合フレームワークのデータ基盤)も掛け合わせることで、より効果的な広告のプランニングが可能になります。ヘルスケア&フィットネスアプリはユーザーの情報がより細かく取得できるので、さらなる市場の成長につなげられる可能性を感じています。

両社の強み掛け合わせトレンド浮き彫りに

ーーヘルスケア市場は今後どうなっていくのでしょうか?

中村:一言で今後も伸びていくでしょう。ヘルスケア&フィットネスをとりまくマーケティング、新サービスの開発、既存のヘルスケアサービスはますます進化していくのではないかと思っています。

例えば、東京・御茶ノ水のお茶の水循環器内科は2017年、歩けば歩くほど健康でお得になるアプリを開発しました。そのアプリは、自作のステッカーや診察券などちょっとした景品を設け、歩いた歩数によってそれらの景品が貰える仕組みになっています。思わず欲しいと思わせる仕掛け作りによって、歩くことへの動機付けをし、結果ユーザーの健康を保つことに成功した事例が昨年参加したヘルスケア学術大会で発表されていました。薬の処方よりアプリの利用が健康に寄与するという事実が起きていることに驚きを感じました。

岡田:まさに「ゲーミフィケーション」ですね。アプリが人や健康の世界を変えはじめてますね。

ーー今後の市場分析に関しての課題や展望などがあれば、教えてください。

中村:先ほどのお話に戻りますが、フラー社の所持しているユーザーのアプリ内行動データと電通グループが保有しているデータを掛け合わせることでより効果的なプランニングができると感じています。両社の強みを組み合わせ、他分野のスマホアプリの市場トレンドも浮き彫りにすることで効果的な施策を見出していきたいです。

岡田:そうですね!市場のデータをより鮮明に可視化し、施策を成功させる打率を上げるデータが提供できるのではないかと思っております。アプリシフトは今回調査したヘルスケア&フィットネスカテゴリーや、それ以外でもショッピングカテゴリなどを例に、様々なカテゴリーで更に成長が進んでおります。もっと今回の調査のようなデータの価値を啓蒙していきたいですね。

電通デジタル×フラー
「ヘルスケア&フィットネスアプリ 市場調査レポート」は
こちらからダウンロードできます。

最新のトレンドレポートをぜひご覧ください。