
株式会社ジラフ(東京都中野区)が運営する匿名質問サービス「Peing-質問箱-(以下、質問箱)」が、コミュニティ機能を新たに設けました。これまで質問箱は、質問を募集するユーザーにのみ匿名で質問を送る形でしたが、今後はユーザーが所属するコミュニティ全体に質問ができるようになります。コミュニティ機能はウェブ版でまず公開。その後、GW前にも iOS、Android同時にアプリをアップデートする予定です。
コミュニティ機能とは??

コミュニティ機能では、趣味や関心で分類したコミュニティにユーザーが参加。参加したコミュニティでは、メンバーの質問募集や注目の質問、コミュニティ全体への質問やその回答を見ることができます。コミュニティへの回答は、コミュニティのメンバー全員に公開されます。
例えば、「昔流行ったもの」のコミュニティで、「中学校の時に流行った懐かしいもの、教えてください」という質問を全員に投げかけることができ、コミュニティのメンバーは全員が回答できます。注目の質問と回答は、コミュニティのトップ画面に表示されます。

コミュニティは当面、運営が作成したコミュニティの中から、最大3つに加入が可能です。コミュニティは随時追加する予定です。
コミュニティ機能追加に伴い、質問箱は4月27日〜5月6日までの期間中に各コミュニティで最も回答数が多かったユーザーに、任意のコミュニティを作成できる権利をプレゼントするキャンペーンを実施します。
質問箱が目指す未来とは??
過去最大の機能アップデートを実施した質問箱が目指す未来は、どんな姿なのでしょうか。プロダクトオーナー兼プロダクトマネージャーの原田豪介さんにお話を伺いました。(敬称略)
ーーどんな仕事を担当されていますか?
原田:私は2017年11月にインターンとしてジラフに入社して営業を担当しました。その後、18年4月に入社し、19年1月からは質問箱のプロダクトオーナー兼プロダクトマネージャーとしてプロダクトのデザインから設計、プロモーション、マネタイズまで、全てのフェーズを統括しています。
ーー質問箱は主にどんなユーザーが使っていますか?
原田:ユーザーは現在男女がほぼ半々で均等です。スタートアップ界隈の有名人やインフルエンサーが使っているというイメージがあるかもしれません。実際、たしかにそうなのですが、実は圧倒的に中高生が多いんです。自分たちのコミュニティの中で質問を出し合って、「あの面白い質問だれがしたんだ?」みたいな会話で盛り上がるんです。
ーーなるほどですね。質問箱はどういったチームで運営していますか?
原田:チームは14人で構成しています。エンジニアが10人、マーケティングやディレクターなどそのほかの業務のメンバーが4人です。
匿名を軸としたフォロワーに依存しない世界を実現したい

ーー今回なぜ、コミュニティ機能を追加したのですか?
原田:匿名を軸としたフォロワーに依存しない世界を実現するためです。
質問箱は、おかげさまで月間2億PVを超えるサービスに成長しました。多くのユーザーさんが使うサービスではありますが、現状、SNSのフォロワーがいないとコミュニケーションがあまり活性化しない仕組みになっています。フォロワーが多いインフルエンサーしか発言が大きくならないのです。
質問箱のユーザーにとって最悪のUXは、「質問がこない」ということです。質問の数は、どうしてもSNSのフォロワーに依存してしまいます。
また、自分自身が興味があるトピックについてフォロワーに発信しても、フォロワーの数が少ない上、趣味が違ってリアクションがあまりないこともあるじゃないですか?
一方で、自分が興味があるコミュニティの中で、コミュニティのメンバーへの質問に対して回答できるようにすれば、自分が回答する質問の数が増える上、回答に注目が集まることでフォロワーが増えたり、コミュニケーションが生まれたりするきっかけが作れます。
コミュニティ機能は、質問箱が掲げる「匿名を軸としたフォロワーに依存しない世界を作る」という目的に対する解決策なのです。

ーー匿名を軸としたフォロワーに依存しない世界、ですか?
原田:はい、そうです。質問箱の場合、質問者は匿名ですが、回答は匿名ではありません。そのため、コミュニティの中で回答が拡散すれば回答者に注目が集まり、フォロワーが増える可能性も高まります。コミュニケーションがこれまでの1on1から多角的、双方向へと変わるのです。
ビジネスの側面から見ると、コミュニティという形でユーザーをセグメントできれば、適切な広告配信や情報の提供がしやすくなりますし、性別や年代といったデモグラフィック情報もこれまで以上に推定しやすくなるでしょう。
例えば、サッカーのコミュニティに対しては、サッカーに関連するサービスなどの広告が配信できるでしょう。アプリであれば、サッカー関連の情報をプッシュ通知してリテンションにもつなげられます。
ユーザーが必要とする適切な情報配信は、ユーザー体験の向上とともに、LTVの最大化にもつながるとみています。
ーー最初の時点では、あらかじめ決められたコミュニティの加入を3つにしていますね。
原田:はい、当面は年代、トレンド、流行り物、定番ものなど運営側でチョイスしたコミュニティからユーザーに選んでいただく形を取ります。当面はユーザーが任意でコミュニティを作ることはできません。
固定のコミュニティで「こうやるのか」という楽しみ方のロールモデルの軸をユーザーさんに感じていただいてから、任意のコミュニティを作れるようにした方が、CGM(Consumer Generated Media)のサービスの形を崩さずに拡大できると考えたからです。
データで判断、でもエモさを忘れたくない。

ーープロダクトオーナーとして普段どんな指標を見ていますか?
原田:一番見ている指標は、UUです。これはアプリでもウェブでも一緒で、いわゆるアクティブに使ってくれているユーザーがどれくらいいるのかというのを見ています。ウェブ・アプリ合わせてDAUが直近約120万人くらいで、ほぼ減少することなく拡大しています。
質問箱の後発で競合サービスはたくさんありますので、その意味において質問箱も代替性があるサービスです。だからこそ、UUが減ってしまったら二度と帰ってこない、それくらいの気持ちでいつも数値を見ています。今はUUが右肩上がりじゃないと怖くて眠れないです(笑)。
ーーマーケティングや各種施策の意思決定をする際に大切にしていることは何ですか?
原田:意思決定はデータに基づく合理的なものではありますが、僕はそこにエモさを重視したいんです。全てデータで合理的に判断する人はいますし、むしろそれが正解かもしれません。
でも、僕はそこでエモさを忘れたくないんです。「なんかいいな」とか、「ユーザーが喜んでくれそうだな」とか、「なんだか嬉しいな」とか、そういうエモさをデータを見て判断する時にも大事にしたいです。
ーー質問箱と後発サービスの最大の強みは何ですか?
原田:先行したことによって圧倒的な知名度とユーザー数を誇るのが、他社のサービスとの最大の差別化要因だなと感じています。
ーー逆に課題と感じていることは何ですか?
原田:「心理的安全」が確保できる場所であることを、常に目指し続けなければいけないと思っています。誹謗中傷につながる言葉を除外するための技術開発や仕組み構築を、これからもずっとやっていきたいです。

ーーアプリとウェブのユーザーの比率はどれくらいですか?
原田:ウェブが8割、アプリが2割です。今はウェブの方が多いですが、僕たちは今後、アプリシフトを加速させてアプリのユーザーを伸ばして行きたいと考えています。詳しくはまだ言えませんが、アプリ独自の機能も今後は盛り込むつもりです。
ユーザーに最適化したプッシュ通知などで適切な広告や情報を配信できるのはもちろんですが、分散型から独立型のSNSへとサービスを進化させて、これまでのフォロー・フォロワーに依存しないコミュニティ、新しいコミュニケーションの世界を作りたいんです。
ーー今後質問箱をどんなプロダクトにしていきたいですか?
原田:toCのサービスとしての軸足はぶれません。ユーザーがたくさん使ってくれる方が僕たちのテンションも上がるし、メンバーのモチベーションになりますからね。
僕たちは、このサービスをFacebookやInstagram、Twitterに負けないサービスにしたいと思っています。Facebookだって最初は僕たちと同じくらいの人数で始まりました。
僕は質問箱が世界を変えられるサービスだと信じています。日本を代表するサービスになるだけでなく、グローバルに展開して、世界にチャレンジしていきたいです。
マネタイズの面でも、広告だけでなくアイデアがたくさんあります。どんな展開ができるのか考えながら、どんどんチャレンジしていきたいですね。