自社の「脅威」を把握するアプリ分析とは?〜SWOT分析にアプリのデータを活かす〜

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フラー株式会社は、アプリ分析プラットフォーム「App Ape(アップ・エイプ)」で蓄積するモバイルデータを活用し、ユーザー獲得の脅威となるアプリを発見したり、実際の脅威の度合いを推計する新指標を筑波大学住田潮名誉教授、社会工学の繁野麻衣子研究室、有馬澄佳研究室と共同で開発し、モバイルアプリデータの実験・評価フィールド「App Ape Alpha(アップ・エイプ・アルファ)」で「脅威アプリ分析」として公開しました。

2020年2月27日フラーニュースリリース:”App Ape Alpha”第四弾、「脅威アプリ分析」を全ユーザーに公開

脅威アプリ分析を活用することで、具体的にアプリのどんなインサイトが見れるのでしょうか?脅威アプリ分析のコンセプトや想定される利用シーンについて解説します。

”脅威アプリ分析”はアプリ利用のスイッチを捉える

App Apeはパネルユーザーから許諾を得た上でデータを蓄積し、アプリに利用動向などの推計に役立てています。ここ数年のスマホアプリのインフラ化に伴い、パネルユーザーからのデータ蓄積が長期間に渡るケースが増えており、個別アプリの利用者数の推計だけでなく、ユーザーのアプリ利用の変化についても推計がApp Apeで可能となってきました。

スマホアプリが提供する機能の多様化や限られた個人の可処分時間の奪い合いが続く中、どれくらいのユーザーが他社のアプリから自社のアプリに利用を切り替えたり、自社のアプリから他社のアプリの切り替えたりしたのかを、データの変化で捉えることができるようになったのです。

例えば、2019年1月〜2月にかけて、アプリAをずっと使っていたユーザーが3月以降、今まで利用していなかったアプリBを使い始め、Aを利用しなくなったという一連の動きをデータから捉えることができます。(脅威分析の獲得・損失はインストール・アンインストールベースではなく、利用ベースで集計しています)

このような利用アプリのスイッチは、多くのユーザーが日常的に行なっていることです。

このユーザー行動について国内数万人分のデータを元に独自のロジックを用いて集計したのが、「脅威アプリ分析」です。

ユーザーの獲得と損失の把握が脅威の発見・モニタリングにつながる

ビジネスやマーケティングの視点で脅威アプリ分析をとらえると、ユーザーを獲得したり、損失したりといったアプリ同士のユーザーの”奪い合い” を可視化することにつながります。

例えば、アプリAを運営する事業会社の視点で見たとき、アプリAからアプリBへユーザーが3000人流出した一方、アプリBからアプリAにユーザーが200人流入した場合、アプリAのユーザーの多くがアプリBに流出していることから、アプリBをアプリAの存在を脅かすアプリとして認知し、対策を打つ必要がある、といった判断ができます。

ユーザーの獲得・損失の両パターンを把握するとともに、獲得・損失のそれぞれの総数を可視化することで、顕在化している脅威だけでなく、潜在的で表面上わかりづらい脅威をデータからあぶりだし、マーケティングやビジネスの戦略策定や具体的なアクションのヒントとしての活用が期待できます。

自社が把握している競合関係のアプリはもちろんのこと、あらたな脅威を発見して新規のモニタリング対象に加えてウォッチできるのです。

SWOT分析で脅威アプリ分析のデータが使える

脅威アプリ分析のデータは、”SWOT分析(スワット分析、スウォット分析)”に活かすこともできます。

マーケターのよりどころ ferret:SWOT分析とは?SWOT分析(スウォット分析)とは?考えを整理する考え方を理解しよう

マーケティング戦略を策定する際に重要となるSWOT分析の要素の一つとして位置付けられる「脅威(Threat)」は、実際に競合関係が明確で顕在化している場合と、表面上はわからないが実は脅威として潜在的に作用している場合があります。

マーケティング戦略上の脅威をあらかじめ適切に把握することは、競合の対抗だけでなく、そもそもの市場把握とこれから起こりうる脅威への備えに役立ちます。事業責任者はもちろんこと、日々のモニタリングで見つけ出した脅威への対応の際もアクションの引き金として役立つでしょう。

ケーススタディー:荒野行動・SWOT分析

脅威アプリ分析のデータを生かしたSWOT分析のケーススタディーとして、荒野行動を取り上げてみましょう。

App Apeの詳細:https://ja.appa.pe/ ※ 無料版登録でApp Ape Alphaをすぐにご利用いただけます

App Ape Alphaの脅威アプリ分析のダッシュボードに入ると、以下のようなアプリ選択画面が表示されます。

荒野行動を選択すると、ユーザー獲得・損失の各アプリのランキングトップテンと獲得・損失の推計値が月ごとに確認できます。

荒野行動のユーザー損失アプリの上位5アプリを見ると、似通ったゲーム性とユーザー層のために競合として認識されているであろう「PUBG MOBILE」は、ユーザーの奪い合いという観点では意外にも2019年5月(=計測期間は2019年2月から5月)のみの登場となっています。アプリのスイッチという観点では共存しているようです。

実際、App Apeで荒野行動を同時に所持している割合が高いアプリ(2020年2月)をApp Apeで見ると、PUBGが上位に位置するのがわかります。

[データ元: App Ape (国内数万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[同時所持:対象アプリを同時に所持されている割合が高いアプリ]

一方、ユーザー規模の大きなポケモンGOやモンスターストライクはしばしば上位に食い込んでいます。そもそも一定のユーザー規模のゲームをユーザーの奪い合いの観点から無視できない脅威として位置付け、脅威元のマーケティングやキャンペーン施策を注意深くウォッチする必要がありそうです。

また、ユーザーのスイッチが起きている原因を考察しながら、脅威元のマーケティングやキャンペーン施策を注意深くウォッチしたり、実際に自社に取り入れるためのトレースをしたりといったアクションを起こすことも少し視点を変えた打ち手の一つとして有効になるかもしれません。

ケーススタディー:みんなの早押しクイズ・成長の過程をユーザー流入から見る

脅威アプリ分析では、対象アプリがどんなアプリのユーザーを取り込んで成長しているのかも把握できます。具体的なケーススタディーをクイズアプリ「みんなの早押しクイズ」で実践してみましょう。

「みんなで早押しクイズ」のユーザー獲得アプリは以下のようになっています。

例えば、2019年5月(=計測期間は2019年2月~5月)にユーザー獲得アプリ第1位は「ブロスタ」で、「ブロスタ」から、約1万5000人のユーザーを獲得していることがわかります。

App Apeで「みんなの早押しクイズ」の月間利用者数(2020年2月)の性年代別構成を見ると、10〜20代の男性が全体の67%を占めています。

[データ元: App Ape (国内数万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[同時所持:対象アプリを同時に所持されている割合が高いアプリ]

「みんなの早押しクイズ」は複数人数でプレイするスタイルであることが特徴です。10~20代男性が大勢で集まって利用するアプリといえます。

一方、「ブロスタ」の性年代別構成(2020年2月)を見ると、10〜20代が68.2%とやはり全体の3分の2を占めていることがわかります。

[データ元: App Ape (国内数万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[同時所持:対象アプリを同時に所持されている割合が高いアプリ]

同じようなユーザー層と利用シーンが想定されるブロスタなどのアプリからユーザーを獲得することで成長の一つのエンジンとしてきたことが推測できます。

別の視点でデータを見ると、ハイパーカジュアルゲームからの獲得も一定の規模で発生しているのもユーザー獲得アプリから確かめることができます。

みんなの早押しクイズは、ユーザーの奪い合いの観点でブロスタなど似通ったユーザー層という観点はもちろんのこと、マーケティング施策のトレースの観点から、脅威アプリ分析であぶり出されたアプリを分析したり、モニタリング対象としたりするべきでしょう。

脅威アプリ分析の想定利用シーンとは

脅威アプリ分析はアプリだけでなく、さまざまな視点でビジネスの戦略策定や実際の運用フェーズでいかすことができます。最後に利用シーンをゲームアプリを想定してまとめました。

文中の「ゲームアプリ」や「アプリ」という言葉は、様々な分野のサービスや仕組みに置き換えて読んでいただければ幸いです。

利用シーン①:競合との関係性をモニタリングする

アプリ市場でもゲーム業界は成熟市場で競合関係が激しいと言われています。

競合アプリとの関係性をみる際には、MAUやインストールの大小だけではなく、みんなで早押しクイズのケーススタディーで獲得ユーザーの動向を把握したように、実際にユーザーを奪い合っているアプリを把握した上で、お互いのアプリの関係性をデータでモニタリングする必要があります。

さらに、自社アプリのユーザーが奪われている場合、競合アプリが特別な施策を行っていれば、それを参考にして施策を打つことができるでしょう。

利用シーン②:自社の新たな潜在的競合を発見する

自社の競合アプリを考える際、ゲームのシステムが似ていたり、同じカテゴリに属していたりするアプリを競合として捉えるのが一般的な考え方です。

しかし、表面的には競合と捉えることができなくても、実はユーザーを奪い合っている競合が存在する可能性は全くゼロではありません。みんなで早押しクイズのケーススタディーで損失ユーザーが多い意外なアプリを発見したように、自社が把握するアプリの情報だけでは捉えきれない、競合アプリを発見するのに、データを役立てることができるでしょう。

利用シーン③:新たな流入・流出元を参考に施策のトレースをする

スマホアプリのインフラ化の進展で、日常的にアプリを利用することが当たり前のものとなっており、より多くの可処分時間をアプリに費やしています。

一方で、一人当たりの可処分時間には当然のことながら変化はなく、自社アプリのユーザーが増えた場合には、どこかのアプリを利用しているユーザーの可処分時間を奪っている可能性が高いと言えます。

どのアプリを利用しているユーザーからユーザーを獲得できたのか把握できれば、脅威としての認知だけでなく、今後の成長に向けた戦略策定に活用することができるでしょう。

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脅威アプリ分析は、筑波大学住田潮名誉教授、社会工学の繁野麻衣子研究室、有馬澄佳研究室と共同で開発しました。

また、本指標の開発にあたっては、下記の論文の技術を土台としました。詳細は下記のURLからご覧いただけます。ご興味がある方はぜひご覧ください。

オペレーションズ・リサーチ 11月号 2019年 Vol.64 No.11“スマートフォンアプリにおける潜在的競合関係の発見と実ビジネスへの応用”

App Apeはアプリのデータを毎日更新しています。

App Ape Alphaのダッシュボードで紹介するデータは、App Apeを活用した分析事例のほんの一部です。

App Apeは、蓄積するスマホアプリのユーザーの利用データからマーケティングやビジネスの施策のヒントを発見するためのSaaSです。

日間利用者数(DAU)、週間利用者数(WAU)、月間利用者数(MAU)の各ランキングや各アプリの時間帯別利用率、性年代別割合、1日あたりの起動回数、同時所持率が高いアプリ一覧などををいつでもPCやスマホから確認できます。

マーケティングやビジネスのヒントについて新たな視点や切り口で情報が欲しい方、App Apeをもっと詳しく知りたい方はこちらからお気軽にお問い合わせください(お問い合わせにはApp Apeの無料登録が必要となります。登録は1分程度で完了します)。