175個のゲームアプリをクラスター分析して見えた“世代別のスタメン四番ゲームアプリ”

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こんにちは。フラーのデータサイエンティストの大野です。

スマートフォンが1台あれば、SNSへの投稿から健康管理までありとあらゆることができるようになった2020年、スマホはもはや生活のインフラといっても過言ではありません。

スマートフォンの利用が幅広い年代層に広がった結果、ゲームアプリの位置付けも確実に変化しています。

老若男女問わずスマートフォンのゲームにいそしむ姿が当たり前の風景となる一方で、様々なアプリの登場により、ゲームに費やす時間が長かったユーザーが可処分時間を多様なアプリに振り分けるようになった結果、ゲームアプリの種類や利用も多様性が生まれているからです。

今回はアプリ分析プラットフォーム「App Ape(アップ・エイプ)」で集計するユーザーの利用頻度の傾向をもとに175個のゲームアプリを分類。また、ユーザーの性年代別の特性も分類し、これらを掛け合わせてセグメントごとの特徴を浮き彫りにするため、“クラスター分析“を行ってみたいと思います。

クラスター分析とは、データの傾向が似ているものを、機械的に同じグループとしてまとめる“クラスタリング“をして対象の特徴や傾向などについて発見・考察する分析手法です。(今回は、k-means法を用いています。)

参考記事:ビッグデータマガジン:クラスター分析「使ってみたくなる統計」シリーズ 第3回

データを活用してアプリのユーザーのことをもっと詳しく知って、自社のマーケティングやビジネスの成功に生かしたいと思っているビジネスパーソンに読んでいただきたい記事です。

“利用頻度”からアプリの成功度合いを理解する

アプリの成功につなげるという視点でみた場合、アプリの運営上の“現在地”を示す数値指標は、インストール数や月間利用者数(MAU)や日間利用者数(DAU)といったユーザー規模に焦点を当てたものがあります。

一方、アプリの成功の度合いを理解するためには、規模とは別にアプリそのものに対する「利用頻度」も重要となります。

App Apeでは、当該アプリの単位時間あたりの利用頻度を推計する「利用頻度分析」という機能をダッシュボードで提供しています。具体的には、任意の月のアプリ所持者を月あたり利用日数別に4つのグループに分類。各グループの規模やその推移を調べることができます。

参考記事:【Google playベストオブ2018アプリ決定】データで見るユーザーに愛されるアプリの特徴

利用頻度の分布は、アプリの特徴や成長フェーズ、アプリそのもの運用方針などによって大きく異なります。数多くのユーザーがインストールしているからといって、そのアプリをユーザーが必ずしも毎日使っている訳でないですし、逆にインストール数は少ないがほぼ毎日使うようなアプリも存在します。

利用頻度別にアプリをクラスタリングしたら…

今回の利用頻度・性年代別のクラスター分析にあたっては、▽2019年12月1日〜31日にGoogle Playのゲームカテゴリの各種ランキングで一度でも200位内にランクインしている▽2019年12月時点で一定のユーザー規模があるーーの2つの条件を満たした175のゲームアプリを対象としました。

2019年12月の175の各アプリの利用頻度をInactive(月内利用なし・休眠)、Light(利用日数が月の3分の1未満)、Middle(利用日数が月の3分の1以上、3分の2未満)Heavy(利用日数が月の3分の2以上)の4区分に分けて分布を把握。その上で、利用頻度の分布を元にクラスタリングを行った結果、以下の4つのパターンに分類しました。

175のアプリのグループ別区分と割合は以下の通りです。

[データ元: App Ape(国内数万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]

それぞれのクラスターについては、野球のスタメンポジション争いに例えて命名しました。

野球に例えたのには理由があります。それは、筆者が“野球好き”だからです。
各グループ(クラスター)の特徴は以下の通りです。

グループA:高頻度で使われるアプリ(スタメン四番アプリ)

グループAは、ユーザーの4割近くがほぼ毎日使っているアプリのクラスターです。野球に例えると、試合に欠かせないスタメンの四番バッターのような存在といえるでしょう。対象アプリに占めるグループAのアプリの割合は26.3%です。

グループB:起動頻度が少ないアプリ(ベンチ入りスタメン狙いアプリ)

グループBは、現時点では残念ながら休眠が6割以上と高いアプリのクラスターです。しかし、悲観することはないと見ています。スマホにアプリがインストールされ続けている以上、何らかのマーケティング施策やキャンペーンといった事象をきっかけに休眠から復帰し、再び活発な利用となる可能性を秘めているアプリでもあるからです。対象アプリに占めるグループBのアプリの割合は19.4%です。

グループC:標準的なアプリ(レギュラー争い真っ只中のアプリ)

グループCは4割近くが休眠であるものの、ライト、ヘビーの各ユーザーも一定数存在するアプリです。ユーザーによって使い方が様々なアプリといえそうですね。対象アプリに占めるグループCのアプリの割合は32.6%です。

グループD:月1では必ず使われる、特定の役割があるアプリ(代打代走守備固めアプリ)

グループDはライトユーザーの比率がずば抜けて多いのが特徴です。「毎日は使わないが月に1回は必ず使う」といった特定の役割がありそうなアプリですね。野球でいえば、ここぞの場面で使われる代打の切り札、代走要員、守備固めのような存在と言えるでしょう。対象アプリに占めるグループDのアプリの割合は21.7%です。

性年代別構成で分類すると…

別軸でゲームアプリユーザーの特徴を浮き彫りにして区分するため、アプリの性年代別のデータも見ていきます。

App Apeのダッシュボードでは、個別アプリの所持者や利用者の性年代比構成を月ごとに推計して提供しています。

当然のことながら、ゲームやアプリの特性によって性年代別構成は実に様々ですが、性年代別の傾向ごとにクラスタリングすることで、世代の特徴を踏まえたパターンに分類することができます。

今回はそれぞれのアプリの性年代別の傾向を踏まえ、▽パターン1: 20代女子▽パターン2:平均やや40代男子▽パターン3: 20代男子▽パターン4:アラフォー女子▽パターン5:アラサー男子▽パターン6:均等に愛される▽パターン7: Z世代男子ーーの7つのパターンに分類・命名しました。 各パターンの性年代別構成は以下の通りです。

[データ元: App Ape(国内数万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[性別年代比:そのアプリの対象期間におけるユーザーのうち、男女×年代でみたときの各世代の割合]
[データ元: App Ape(国内数万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[性別年代比:そのアプリの対象期間におけるユーザーのうち、男女×年代でみたときの各世代の割合]

全体のシェアを見ると、アラフォー女子(22.9%)、均等に愛される(22.3%)の各クラスターに使われるゲームアプリが約半数であることがわかります。

[データ元: App Ape(国内数万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[性別年代比:そのアプリの対象期間におけるユーザーのうち、男女×年代でみたときの各世代の割合]

クラスタリングを掛け算して28の分布を明らかにする

ここまでの分類で明らかになった利用頻度の4セグメントと性年代の7セグメントを掛け合わせ、28セグメントに分類して分布を見ていくことにします。

各セグメントごとに175個のアプリを当てはめると、以下のような分布となりました。

[データ元: App Ape(国内数万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]

もっとも多い区分は”レギュラー争い中×アラフォー女子”で、”ベンチ入りスタメン狙い×やや40代男子”、レギュラー争い中×均等に愛される”、”代打代走守備固め×均等に愛される”の順に多いことが分かります。

どのクラスターのユーザーをターゲットとするのかは、アプリの戦略によって大きく異なってくるでしょう。いずれにしても、データを起点にセグメントを見ていくと、思いもしなかったクラスターの特徴やブルーオーシャンが見えるかもしれません。

ここからは気になるクラスターの掛け合わせを2つピックアップして詳しく見ていきます。

Z世代男子×スタメン四番アプリ

ゲームといえば、若い男性が好んでいるイメージが強い人もいるでしょう。
そんな若年層の男性のスタメン四番アプリが多いクラスターに属するのは以下の7つのアプリです。

パズル&ドラゴンズ
プロ野球スピリッツA
クラッシュ・ロワイヤル (Clash Royale)
eFootball ウイニングイレブン 2020
クラッシュ・オブ・クラン (Clash of Clans)
#コンパス【戦闘摂理解析システム】
欅坂46・日向坂46 UNI’S ON AIR

スポーツカテゴリに属するゲームが2つ、ランクインしているほか、オンライン同時対戦ができるアプリが並んでいます。

部活などで競技者として関わるスポーツへの関心や、同世代の友人との交流といったクラスターのユーザーの要素が見えてきます。

欅坂46・日向坂46と若年層を中心に人気を集めているアイドルに関連したゲームがクラスターに入っている点もとても興味深いですね。

アラサー男子×スタメン四番アプリ

Z世代よりも一回り年上となる“アラサー男子”のスタメン四番アプリは以下の7つのアプリです。

FFBE幻影戦争 WAR OF THE VISIONS
放置少女 〜百花繚乱の萌姫たち
FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS
ロマンシング サガ リ・ユニバース
ドラゴンクエストウォーク
ドラゴンボールZ ドッカンバトル
[モバ7]パチンコ&パチスロ(スロット)ゲームアプリ

パブリッシャーに注目すると、FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS、ロマンシング サガ リ・ユニバース、ドラゴンクエストウォークとスクウェア・エニックスのタイトルが並びます。スーパーファミコンや、プレイステーションなどのコンシューマーゲームでちょうどアラサー男子世代が夢中になったゲーム作品ばかりです。

ドラゴンボールZ ドッカンバトルもこのクラスターの掛け合わせに属しており、世代を反映したIPが集まっています。さらにカテゴリをみると、ロールプレイングが大半を占めており、やはりこの部分も世代を大きく反映していると言えるでしょう。

アプリのデータを掛け合わてビジネスの種を見つける

今回はクラスター分析を活用し、ユーザー数など通常と少し異なる新しい視点でゲームアプリを分類しました。

アプリのデータを掛け合わせて見ることで、これまでになかった傾向や変化の胎動の発見に繋がり、ひいてはビジネスや新たなサービスなどの”種”を見つけることにつながります。

マーケティング専門メディア「MarkeZine」がとりまとめた「マーケティング最新動向調査2020」によると、現場のマーケター・担当が抱える広告・マーケティング施策の効果測定に関する課題は「測定結果をもとにPDCAを回すまでに至っていない」が40.8%と最も多く、「必要なデータが集められていない」(35.5%)「施策のKPIと売上のKPIの関係が見えていない」(35.0%)と続いています。(2020年2月25日MarkeZine:マーケティングの課題、最大は「人材不足」? 

日本はまだまだデータを生かしたマーケティングが浸透していないと筆者は個人的に日々感じています。そのような状況下で、今回のクラスター分析のように適切なデータを集め、分析し、施策に反映することができれば、そのこと自体が他社や競合との差別化につながるとも言えるかもしれません。

データを生かした取り組みを多くのマーケターやビジネスパーソンが手がけることができるよう、現場でデータを扱う一人の人間として少しでもノウハウを共有できましたら幸いです。

App Apeはアプリのデータを毎日更新しています。

App Apeは、蓄積するスマホアプリのユーザーの利用データからマーケティングやビジネスの施策のヒントを発見するためのSaaSです。

日間利用者数(DAU)、週間利用者数(WAU)、月間利用者数(MAU)の各ランキングや各アプリの時間帯別利用率、性年代別割合、1日あたりの起動回数、同時所持率が高いアプリ一覧などををいつでもPCやスマホから確認できます。

・自分の気になるゲームがどこに入っているのか?
・「代打代走守備固めアプリ」はどんなアプリが属するのか?
・「レギュラー争い中×アラフォー女子」には何が入っているのか?

上記のような今回の記事内のデータのほか、マーケティングやビジネスのヒントについて新たな視点や切り口で情報が欲しい方、App Apeをもっと詳しく知りたい方はこちらからお気軽にお問い合わせください(お問い合わせにはApp Apeの無料登録が必要となります。登録は1分程度で完了します)。