コミュニティがビジネスに正のスパイラルを生み続ける。大小様々なビジネスで応用可能なコミュニティづくりとは。

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現代社会では、SNSやネットの急速な普及によって、いつでもどこでも誰とでも繋がれる時代になりました。

通勤中や仕事の合間、友達や家族といる時間でさえもスマホを使って誰かと繋がるという文化が広がりつつあります。

そんな繋がりの価値が高まっている時代のビジネスには、持続的なコミュニティが必要不可欠となってきています。
「App Ape Award 2019」では、「つながりこそ価値。持続可能なコミュニティとビジネスの関係性」と題して、日々コミュニティ作りに奮闘しているトップマーケターの方々と、コミュニティのあり方について議論しました。

コミュニティが特に重要となってきているゲーム業界、アパレル・EC業界の方は必見です!

株式会社ホットリンク
いいたかゆうた氏
執行役員 CMO

いいたかゆうた氏プロフィール
広告代理店、制作会社、スタートアップで複数のWebサービスやメディアを立ち上げる。企業のWebマーケティングやSNSプロモーションをはじめ、東証1部上場企業を含めて100社以上のコンサルティングを経験。2014年4月「ferret」の立ち上げに伴い株式会社ベーシックに入社後、「ferret」創刊編集長、執行役員に就任。2019年1月より株式会社ホットリンク(以下、ホットリンク )に入社し、同年4月に執行役員CMOに就任。自著は『僕らはSNSでモノを買う』、『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』。 Twitter:@yutaiitaka

株式会社ディー・エヌ・エー
今西陽介氏
マーケティング部 部長

今西陽介氏プロフィール
2004年株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)に入社。入社後は、Mobage、ポケットアフィリエイト、モバオク、モバコレなど、複数のモバイルサービスの立ち上げに従事。現在は、DeNAゲーム事業のマーケティングを執行するマーケティング部で、ファンマーケティング、デジタルマーケティング、メディアPR、アライアンスなどの領域を管轄。副業でスタートアップから大企業まで複数社支援。

株式会社newn
田中絢子氏
COHINA 事業責任者

田中絢子氏プロフィール
1994年神奈川県生まれ。身長148cm。2018年早稲田大学政治経済学部卒業。Googleに新卒入社し、広告営業に従事する。 2017年11月に、自身の悩みに基づいてCOHINAを立ち上げる。現在Instagramフォロワーは11万人程度。インスタライブも毎日配信し、小柄女子のコミュニティを築いている。

株式会社ナノ・ユニバース
越智将平氏
経営企画本部 WEB戦略部 部長

越智将平氏プロフィール
2002年(株)ナノ・ユニバース(以下、ナノ・ユニバース)入社。店舗での販売業務を経て、2005年よりECの担当となる。2010年よりWEB事業の責任者として、EC事業の拡大、CRM、デジタルマーケティングを中心に、店舗とECの融合に取り組んでいる。

なぜ持続可能なコミュニティを作るのか?

DeNAのゲームユーザーを巻き込むコミュニティ

今西氏:私の中でコミュニティを作る理由は2点あります。

①新規のユーザーを継続的に獲得し続けていくことは非常に難しいから
②お客様からプロダクトに対してフィードバックいただけることが非常に大切だから

それぞれ深ぼっていきたいのですが、
①について、日本では少子化やGDPも減少していることを考えると新規のユーザーを獲得することにリソースを投下するよりも、既存のユーザーを活性化させる方がLTVは高まるし、効率がいいと考えたからです。

②を深ぼると、お客様と一緒に作るコミュニティがあれば、お客様から意見を募ってプロダクトに反映できるためです。
「みなさんの意見で作りました」というコミュニケーション込みでプロダクトを作っていくのが、今後もずっと愛され続けるには必要不可欠ではないかなと思います。

いいたか氏:具体的にどういう施策を行っているのでしょうか?

今西氏:いくつかやっているのですが、基本的にゲームのコミュニティというのは特にTwitterを使っています。

ゲームをやっている人は、実名で自信を持って「このゲームをやってる」と言える人は実は少数派で、ほとんどの人が匿名で同じ趣味の人を集めようとしているのが日本では多く見られます。
これはゲーム内でニックネーム的なものもあるのと、日本は匿名が好きな奥ゆかしい方が多いからだと思ってます。
そのため、匿名性の高いTwitterを利用しています。

ここで重要なことはフォロワーを伸ばしていくことではなく、エンゲージメントとお客様が意見を自由に言える環境を作ることだと考えており、その点を注意しています。

また、オフラインイベントもやっていまして、オンライン上でコミュニティが盛り上がっているものを実際に肌でも感じてもらうためにやっています。

COHINAのユーザーの自発的な活動が次々と生まれるコミュニティ

田中氏:私たちみたいに小さいブランドだと熱狂的なファンがブランドの原動力になっていくと思います。

私たちは社員5人くらいで運営しているのですが、ユーザーが私達よりもめちゃくちゃ働きかけてくれるという状態です。例えば「◯月◯日に新アイテム出すよ」と告知したらユーザー同士で自発的に拡散してくれたり、フィードバックとして「こんな商品いいと思うよ」といったように商品企画の提案もしていただけるので運営としてもやりやすい環境です。

私たちのブランドを見つけてくれるのはインスタの投稿だったり、Twitterだったり、メルマガだったりと、接点はたくさんあるのですが最終的に落ち着いたのはインスタLiveでした。

私たちは今、毎日インスタLiveを配信しています。去年ついにインスタLive継続400日に到達しましたが、お正月もクリスマスもずっとインスタLiveやっていましたね。

それぐらいやっていると、ユーザーがインスタLiveを日常として捉えてくれて、今の生活の中に私たちのブランドが存在できるので、徐々に『自分たちのCOHINA』という風に感じてくれるようになりました。

インスタLiveにユーザーが毎日きてくれるようになって、ユーザー同士でコミュニケーションを取るようになって、「みんなCOHINA好きな仲間だよね」というあったかいコミュニティになってきたなと思います。

いいたか氏:立ち上げ時期って数字が伸びづらいことが多いと思いますが、どんなことをされていたんですか?

田中氏:私たちは小さいブランドだったので、できることは一通りやりました。

Twitterも毎日更新したり、LINEを毎日配信していたのですが、インスタ経由の売り上げが圧倒的でした。そこで、インスタLiveもやってみようかという話になり、続けてみたらインスタLiveで配信していたアイテムが売れるという傾向を見つけ、ここまで継続してきました。

いいたか氏:戦略的にこれをやったら売り上げが伸びるだろうというよりも、こういうことをやったらコミュニティに属してくれるのではないか?という意味合いの方が強かったのでしょうか?

田中氏:そうですね。最初は自分がターゲットだったというのもあり、「普通の人はこうやって物を買うよね」というジャーニーを考えて、ブランドを好きになってもらうために普通のことを当たり前にやっていました。

正直、Webサイトも基礎的な仕組みしか知らないし、設定も最低限なんですが、押さえるべきところだけをミニマムに改善していきました。

いいたか氏:きっかけはインスタLiveかもしれないですが、自分たちが想像もしなかったユーザーの動きはありましたか?

田中氏:ユーザーは毎日私たちをびっくりさせてくださるんですが、最近だとスタッフが一切関与していないところで、ユーザー同士で自発的にLINEグループを作っていたことです。

ある日インスタで「そういえば最近COHINAのLINEグループできました」と言われて、人数が50人もいるとユーザーが教えてくれました。

また、地方各地でCOHINAオフ会が勝手に開催されていたりすることもあり、ユーザー同士がリアルでも繋がり始めていることにも驚きました。

ナノ・ユニバースのブランド再構築のためのコミュニティ

越智氏:僕は創業当初に入社していて、その時は1店舗しかなくて、そもそもコミュニティから生まれたブランドだったんですよね。

その後、ECの拡大と共にブランド規模は大きくなりましたが、ユーザーと一期一会になってしまっていた時期があり、それが数年前の反省点でした。

EC化が進み、店舗の成長が鈍化する中で、どうしたら顧客との関係性を築けるのかを考えた時に『アプリ』を軸に、ECサイトに行ってもらったり、リアル店舗に来てもらったりといった循環を作るようにしました。

アプリがあるとユーザーとの関係性を表す数値を見ながら戦略的に事業を進めることができたので、気持ち的にはもう一度ブランドをやり直そうといった試みでコミュニティ作りを行っています。

いいたか氏:僕が言うのもなんなんですけど、ナノ・ユニバースさんはEC化率が47%ですよね?
かなり驚異的な数字だと思っていて、分岐点としてアプリがあったと推測しているのですが、狙いとしてどういう戦略があったのでしょうか?

越智氏:EC化率って僕らの業界だとよく出るんですが、一回も会社として狙ったことがないんです。
社内でEC化率という言葉が出たことないんじゃないかという感じで、結果的に出てしまったという状態なんです。

いいたか氏:少し話が変わるのですが、ナノ・ユニバースさんって今面白い店内計測ツールを開発してますよね?
こういうツールからのアプローチによって、接客や店舗運営の未来は変わるのではと思っています。この取組の狙いがあればぜひお聞かせください。

越智氏:話すと長くなっちゃうので、要点だけ絞ってお伝えすると、僕らってEC化率が高まっていったことによって情報は集まってきたんですが、結論から言うと弱い情報だったんです。

分かりやすい例で言うと、ECで獲得したユーザーよりも店舗で獲得したユーザーの方がLTVは高いんですよ。

極端な例で言うと、ECで100人集めても店舗で濃いユーザーを1人捕まえた方が1年,2年と見た時には店舗の方が売り上げ的にも大きいと。
ただ「店舗は大事だ」と叫ばれている中でも、結局店舗側ってデータ化されていないので、一期一会になってしまう課題がありました。

どなたが店舗に来てくださって、その方がどういう商品に接点を持っていて、購入に至ったのか、ということが分かれば店舗でもその強い情報を有効活用できますよね、というのが始まりでした。

単価の安い商品であれば即買いというのもあるかもしれませんが、1万円超えてくる商品は何度か検討する方が多いので、そういった際に店舗からアプローチしてユーザーと接点を持つことができるように仕組み化していく予定です。

逆に質問なんですが、ナノ・ユニバースの店舗にお客さんが100人入ってきて、何人の人が購買まで至ると思いますか?

いいたか氏:5人
今西氏:10人
田中氏:1人

越智氏:おおー、全然違うんですね(笑)
田中さんは多分ECやってるから1人って言ったと思うんですよ。
ナノ・ユニバースってアウトレットを除くと、リアル店舗だと4.5%ぐらいなんです。

100人来て、5人買うかどうかなんですよね。そうなると、95人との接点が何もなくなってしまうわけですよ。

このままだと、95人のデータが全くない状態で次回接客しないといけないことになるんです。
こういった課題に対してリテールの改善ポイントはあるのかなと考えています。

UGCを生み出すためのポイント

※UGC(口コミのこと。)

今西氏:UGCを生み出すにはいくつかステップがあると思っています。
自社のサービスの口コミを生み出すためには、まず自社サービスを知ってもらわないといけません。もっというと、サービスに対して安心だと思ってもらうのがファーストステップ。

セカンドステップとしては、すでに安心していただいて、信頼していただいている状態なので、お客様にアイデアのタネ=議論が生まれるような状態を作るというステップになります。

例えば、ゲームの衣装のラフ絵をAとBの2種類用意して「どっちがいいですか?」とお客様に投げかけます。

そして、Aという衣装に意見が集まったら後日ゲーム内に実装してしまう。

そうすると、ユーザーは「私があの時に参加した、AとBどっちがいいかという答えを実現してくれてる」と嬉しくなり拡散してくれる、というような流れがあるかなと思っています。

ここでのポイントは実装するまでの途中経過を常にお客様に発信し続けることにより、お客様の楽しみにしている状態や、熱量が可視化されますし、「今度はもっとこういう企画して欲しい」みたいな意見も生まれたりします。

これが例えば実装までの期間が多少長くても、それを逐一報告し、コミュニケーションを取り続けることにより、お客様と運営の間に「つながり」ができるのがポイントですね。
この、つながりの設計ができるかどうかがマーケターの真髄だと思います。

こうしたストーリーをきちんと作ってあげることがUGCを生み出すコツなのかなと考えています。

いいたか氏:なるほど。田中さんどうでしょうか?

田中氏:運営がとにかくユーザーに任せることは大事だと思うんですけど、それ意外に運営ができることとしては、場所を用意してあげることかなと思います。

例えばCOHINAの例だと、買った商品を着用してインスタに投稿していたとして、ユーザー同士が「そのアイテム着心地どうでしたか?」とか「私こんな体型なんですけど、着れると思いますか?」と、投稿に対してもコメントを積極的にしていたんですね。

その事象を見て、ユーザーの投稿ををリポストするアカウントを作ってみたらコメントが一気に増えたんです。

この時改めて場所を用意することが口コミを生み出すためには大切なんだと思いました。

つながりという価値の本当の意味

前半の、コミュニティを作る理由では、

・DeNA:ユーザーとの継続的な関係とプロダクトへのフィードバックのため
・COHINA:熱狂的なファンがブランドの原動力だから
・ナノ・ユニバース:ブランドの再構築のため

と3社とも、役割の濃淡はありつつも、コミュニティがビジネスに正のスパイラルを生み続けていることを語っていただきました。
一過性のキャンペーンとは対になる概念だと言えます。

また、後半のUGCを産んでいくためには、サービス自体の安心に加え、ストーリーを作ってあげる場所を用意してあげるというひと工夫が大事なこともわかりました。

ユーザーとの長期的な関係によるコミュニティ作りが前提にあり、その中で適切な仕掛けを設置することでUGCを生んでいく。大小様々なビジネスで応用可能な不文律を教えていただきました。

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