TikTok、Spotify、PicsArt…スマホネイティブに突き刺さる!令和時代のアプリ活用マーケティング

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業界のキーパーソンが多数集結したスマホアプリの祭典”App Ape Award 2019”。「スマホネイティブに突き刺さる!令和時代のアプリ活用マーケティング」をテーマに開いたセッションでは、TikTok、Spotify、PicsArtでそれぞれマーケティングを手がける登壇者が、若年層に偏りがちなイメージを覆すさまざまなデータを交えながら、ユーザーの特徴やユーザーから支持を集めて成長するための取り組みを紹介。短い時間ながらも内容の濃いセッションとなりました。(敬称略、モデレーター:フラー株式会社坂井忠之、編集:App Ape Lab日影耕造)

登壇者の紹介

PicsArt
木村 優紀子氏
マーケティングマネジャー
プロフィール:東北大学理学部を卒業後、新卒で株式会社オプトに入社し、Webマーケティングのキャリアをスタートする。その後、スタートアップの執行役員を経て、2017年に株式会社GENIC LABを創業。インスタグラマーと企業を繋ぎ、企業の商品写真を撮影するサービスを運営し、年間100件以上の撮影やSNS運用を担当。8ヶ月のニューヨーク滞在を経て、2019年8月よりPicsArtの日本法人立ち上げと同時にマーケティングマネジャーに就任。写真撮影サービスの運営・SNSマーケティングの経験を活かし、日本での認知・売上拡大を目指す。

TikTok Japan
白地 祐輝氏
TikTok マーケティングチーム ディレクター
プロフィール:小中はインドネシア共和国のジャカルタ日本人学校に在学。日本の高校を卒業後、アメリカの大学へ。新卒で楽天に入り、経営企画室で担当役員のサポートや出店店舗のコンサルティング・営業を務める。その後、Google JapanのYouTubeチームへ。YouTubeの収益化プログラムが始まったタイミングでYouTuberのサポートを担当する。Facebook Japanのオフィスにジョインし、ECクライアント向けの営業を経験し、TikTokへ。現在に至る。

スポティファイジャパン株式会社
石井 恵子氏
マーケティング ビジネスマーケティングマネージャー
プロフィール:2002年マイクロソフト株式会社入社。オンラインサービス事業部プロダクトマネージャーとしてWindows Liveやサブスクリプションサービスに従事。セールスフォースドットコム、Facebookにてビジネスマーケティングマネージャーを歴任。2015年Skyscanner Japan入社。設立年よりマーケティングヘッドとして日本市場の拡大に貢献。2018年10月より現職。青山学院大学総合文化政策学部にて非常勤講師(2009-2013年)

ーー自己紹介とサービスの紹介をみなさんそれぞれお聞かせいただけますか?

白地:TikTokの白地です。TikTokのマーケティング部署で主にパートナーさんとのコラボレーションに関するディレクターをしています。

TikTokは150の国と地域で展開するビデオプラットフォームです。 日本では若いユーザーさんが多いというイメージが強いと思います。特に踊りやリップシンクのイメージが強いと多いますが、最近はちょっと違います。

ウィル・スミスは『ジェミニマン』という、ウィル・スミスが若い頃の自分と対決する映画の動画を投稿していますし、日本のアイドルグループの嵐や日向坂46、乃木坂46もTikTokをはじめました。単純に踊る動画や歌の動画だけではない動画が世界中で見られているのがTikTokです。

石井:スポティファイジャパンの石井です。ビジネスマーケティングを担当しています。ビジネスを展開する企業などにSpotifyの広告プラットフォームへの理解を深めてもらおうと活動しています。

Spotifyの特徴の一つに「フリーミアム」であることがあります。Spotifyは5000万もの曲にフルでアクセスできるのですが、これは広告のサポートによって無料で曲を聞くことを可能としています。

Spotifyでは、音楽などを聞き込むことによって、個人の嗜好に合ったプレイリストをAIが作ります。これも一つの特徴です。

全世界に80人以上いる「エディター」が季節や野外ライブなどに合わせてタイムリーなプレイリストをいち早く作ったりすることもしていますし、Spotify経由でシェアして再生された曲をもとにトップランキングチャートも作っています。

[登壇スライドより]

さらに、グローバルでは“ポッドキャスト”の番組が70万くらいあり、聴取時間は前年同期比で200%と急成長を遂げています。今後日本でもポッドキャストが来ると期待しています。

木村:PicsArtの木村です。私はPicsArtの日本のオフィスでマーケティング全般を担当しています。2019年8月に日本にPicsArtが上陸するのと同時にジョインをして、日本での認知向上や売上の拡大を目指しています。

PicsArtは簡単にいうと「コミュニティの機能を兼ね備えた写真と動画の編集アプリ」です。

日本のユーザーの性年代別構成を見ると、13~24歳の女性が全体の63%を占めています。PicsArtを知ったきっかけをユーザーの皆さんにお聞きしたところ、「友達に勧められた」が37%となりました。日本に上陸した2019年7月まで日本国内でのマーケティングはほぼしていなかったのですが、ミレニアルの間で”口コミ”で広がっていったのがPicsArtの特徴の一つだと思います。

[登壇スライドより]

PicsArtと他の写真加工アプリの違いの一つが、3000以上のツールをアプリ内に用意する“オールインワンアプリ”であることです。顔をかわいくしたり、背景を切り取ってペイントしたり、動画を編集したりといったさまざまなことが一つのアプリで完結できます。

「リプレイ」という機能もぜひ紹介させてください。(動画を流しながら)これは素敵な写真を見つけた時に、自分の写真で同じ加工をトレースできる機能です。自分のカメラフォルダから写真を選び、「次へ」ボタンをどんどんタップしていくことで見本と同じ加工ができます。 他にはない特徴の一つだと思います。

社会人ユーザーが増えているTikTok

ーーTikTokは今、どんなユーザーに広がりを見せているのでしょうか?

白地:TikTokは性年代別構成を明確には公開してませんが、おそらくみなさんは「TikTokは10代がすごく多い」と思っている方も多いのではないでしょうか。それは2018年時点でのイメージです。今、TikTokで社会人の大人のユーザーがすごく増えていることを今日は一番強調したいと思います。

社会人や大人の方が増えている理由の一つ目は、投稿されている“コンテンツ”の大きな変化です。端的に言うとコンテンツの幅や多様性が広がっています。いわゆるハウツーものやファッション、グルメ、英会話など本当にいろんなコンテンツが出てきています。これらの多様性が大人や社会人といったユーザーの広がりにも通じています。

理由の二つ目がコンテンツがユーザーにベストな形で“おすすめ”されることです。

通常のSNSはアカウントやハッシュタグをフォローによってはじめてユーザーのフィードに見たいコンテンツが表示されます。

一方、TikTokを開くと、まず“おすすめのフィード”が出てきます。そして「これはいい」「これは嫌だ」と30分ほどTikTokのアプリで動画を見ていると、もうパーソナライズされたフィードができてしまいます

多様なコンテンツがあること、そしてそれがあなたにベストなかたちでおすすめされることで、ユーザーの幅がかなり広がっていると思います。

とにかくバズりやすい」こともTikTokの1つの特徴です。動画をアップする側のモチベーションとして重要ですから。TikTokの場合、先ほどの“おすすめのフィード”にフォローしていない人のコンテンツが半分くらい出てきます。そして10個に1個ぐらいはさっき上げたばかりで反応がまったくゼロくらいのコンテンツが入ってくるんです。

そのひょいっと入ってきた動画は100~200人に必ず配信される仕組みになっています。その100~200人が最後まで動画を見たり「いいね」を押したりして反応が良ければ、「この動画はすごく評価されている」とレコメンデーションが認識します。

そして100人から1,000人、1万人、10万人に、100万人とフォロワーがいなくても動画そのものが評価されてバズっていきます。

投稿した動画がフォロワーではなくレコメンデーションマシンに評価され、然るべきユーザーに届くという仕組みが、これだけ幅広いカテゴリーのコンテンツが短期間でそろった秘密だと思います。

今は動画を上げるだけで終わりではなくて、1つのテーマから枝葉のようにユーザーのみなさんのオリジナリティが加わって、テーマは同じなんだけどちょっとずつ変わっていくんです。たとえば、釣りの動画であれば那須川天心の投げ釣りからマグロ釣り、糸が切れる動画のような感じです。

私たちは枝葉のようにコンテンツが広がり、少しずつ変わっていく様子を「ミーム(meme)」と呼びます。そんなミーム的な広がりもTikTokの面白さだと思います。

「ながら聞き」でタッチポイントが長いSpotify

ーーSpotifyはいかがでしょうか?どんなユーザーさんに向けてどのような広告やコンテンツを出しているのでしょうか?

石井:Spotifyのグローバルの数値を見ると、現在のMAUは世界79カ国2億7100万人、そのうちフリーユーザーが1億人、先ほどお話しした広告のサポートにより無料で聞いているユーザーが1億4700万人です。その他の方が有料ユーザーとなります。 これらの人数を対象に毎日の視聴動向データを解析・分析しています。

これらのデータを生かし、広告でオーディエンスにアプローチができるところが、ビジネススタイルから見たSpotifyの強みと言えます。

サービス開始当初は10代〜34歳のアーリーアダプター的なコアな音楽ファンが多かった直近の2月のデータで日本のSpotifyユーザーの特徴を見ると、45歳以上がもっとも多い年代グループになっているんですね。TikTokさんに負けていません(笑)。

Spotifyのユーザーでもっとも多いのは、18〜34歳の女性なんです。男女比率も若干女性が多くなっています。デバイス別で見るとスマートフォンが92%で平均利用時間は2時間以上となっています。

[登壇スライドより]

昨年の11月にビデオリサーチが公表したSpotifyのユーザープロフィール調査によると、「1日のうちでどういう時に聞いているか?」という質問に対して「くつろぎ中」との回答がもっとも多く、「通勤通学中」「運転中」「家事雑用中」と続きました。

これらのシチュエーションは「ながら聞き」なんです。言い換えると、朝起きてから夜寝る時まで、ユーザーの皆さんは本当にいろんな聞き方をしていて、タッチポイントが非常に長いんですね。

こういったユーザーさんに向けてどういった方々がSpotifyに広告を出しているのかというと、音声でのブランディングをしたいというブランドさんに多く使っていただいています。産業別では消費財、テクノロジー、エンターテイメント、若者向けラグジュアリー企業などの皆様に広告を出していただいています。

広告はスマートフォン、タブレット、デスクトップ、スマートスピーカーや車など、いつも使っていらっしゃるところにクロスプラットフォームでの配信が可能です。広告は楽曲間のブレイクに配信します。音楽を聴いている途中で広告が入ってきたから消すという方はなかなかいないと思いますので、シェアオブボイス(ユーザーへの広告露出)も100%となっております。

実際の事例をご紹介しましょう。これはワーナーブラザーズさんの映画「Diner ダイナー」の音声広告として使っていただいたものです。

https://twitter.com/DinerMovie/status/1146240895395614720?s=20

実はこれはバイノーラル(ステレオ録音方式の一つでステレオ・ヘッドフォンやイヤフォン等で聴くその場に居合わせたかのような臨場感を再現できる)の音声広告です。やはり今までと違ったことがしたいということでSpotifyを使っていただきました。

バイノーラルの効果は、実際に臨場感があることと、音との距離感があることです。耳の後ろで右から左へ音が回ってくる効果があるような3D音声広告を使っていただきました。ほとんどのユーザーさんは音楽を聴く時にイヤフォンをしていますので、バイノーラルで聞けるんですね。

Spotifyに広告を出していただくきっかけとなったのが、先ほどのスライドで紹介した中の「Spotifyのユーザーは行動派で映画館に行く率が非ユーザーより2倍ほど高い」という調査結果でした。実際、こちらの広告はベンチマークの約2倍ぐらいのCTR(Click Through Rate)を記録しました。

音声広告のクリエイティブに正解はありません。各社さんが様々な工夫を凝らしていますので、私たちも今後の展開が非常に楽しみです。

「プリクラはデコらない」ミレニアム世代の”配布文化”

ーーPicsArtさんはいかがでしょうか?ユーザーの支持を集めるためにどんな取り組みをされているのでしょうか?

木村:先ほど「若年層の女性が多い」というデモグラのデータを出させていただいきましたが、実はその中でもインタレストに形成されるコミュニティがPicsArtの中に強くあるというのが一つの大きな特徴なのです。

[登壇資料より]

直近1ヶ月の日本国内のPicsArtで利用されたハッシュタグのトップ10を見るとTWICEやBTS、鬼滅の刃、すとぷり(すとろべりーぷりんす)などが並びますが、10個中7個がアーティストやアニメ関連のハッシュタグというのがPicsArtの特徴かなと思います。

アプリ内にはいろいろなコミュニティがあります。その中から今回は特にミレニアルがテーマなので、若年層の間で広がるPicsArtの面白い使い方を紹介したいと思います。

例えば、Instagramで「配布」というキーワードを調べると約4万7000件の投稿があります。この中のコンテンツを一つ一つ開いていくと、ナンバーが載っている加工写真が投稿されています。

これは投稿者が自分の好きなアイドルやアーティストの写真を加工してインスタに投稿するだけではなくて、実はそれと同時にコンビニエンスストアに備え付けの印刷機に搭載されているいわゆる“ネットプリント”に自分でデータを送信しているんです。

ネットプリントは印刷する際にナンバーを入れないといけないと思いますが、そのネットプリントのナンバーを自分のインスタ上で配布をしているんです。それを見た方は投稿者の知り合いであってもなくても印刷できるようになっています。

このような“配布”の文化が、実はミレニアル世代の間ですごく流行っています。“配布”で使われている写真たちはPicsArtで加工されているものが多いです。そういったファンのコミュニティやファンアートで使われているのも一つの特徴です。

もう一つ、私の世代にはちょっと理解しがたい文化なのですが、ミレニアルの若い子たちはプリクラを撮ってもプリクラ機で加工しません。私の世代はプリクラ機で友達とわいわい加工するのが楽しかったりしたのですが、加工してしまうと友達の誕生日やクリスマスといった具合にその時々にのシーズンでしか使えなくなります。

なので、今の若い子たちは元データだけを自分のスマホに送って、それをPicsArtで加工して、友達の誕生日を祝ったりクリスマスをお祝いしたりしています。これもPicsArtの利用の特徴の一つです。

このように若年層のトレンドをつかんでアプリ内で活かすのがPicsArtの“勝ちパターン”でもあります。したがって、常に気を張ってウォッチしています。

ーー最後にそれぞれ一言ずつお願いいたします。

白地:本当に色々なジャンルの広告主さんやユーザーさんが今、TikTokに入ってきていることが、きょう一番強調したいメッセージです。「え、そんな業種もできるの?」というような、いろんな可能性がまだまだあると思っていますので、もしご興味があれば個別にご連絡いただければと思います。

木村:ユーザーとしては、PicsArtの動画の機能と先ほど紹介したリプレイの機能はどちらもPicsArtならではのもので、開発にも力を入れている部分ですので、ぜひ使っていただければと思います。そして、PicsArtの機能を使って一緒にコ・マーケティングできそうな会社さんがあれば、ぜひお声がけいただければと思っています。

石井:Spotifyには音楽の歌詞を表示する機能があるんです。去年の9月ぐらいから、その左下に「シングアロング」という機能のマイクのマークができていて、簡単にいうとカラオケ機能なんです。これでカラオケに行く前にカラオケの練習ができるという非常にいいツールですので、使ってみてください。

ーーTikTokさん、Spotifyさん、PicsArtさんをこの短い時間でおさめるのはちょっと無理ですね。アプリが良すぎます。ありがとうございました!

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