「データは仮説があって初めて意味を持つ」非連続成長を図るGunosyのデータ活用の現場

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ビジネス・マーケティングでのデータ活用が当たり前のように展開されるようになりつつある2020年。しかし、データや情報さえ集まればマーケティングが成功する訳ではないのは言うまでもありません。

集めたデータ・情報を社内の人員、マーケティング予算などさまざまな要素と相互にプラスの影響を与えながら、ユーザーの獲得や継続、売り上げの確保などの目標を達成するには、どうしたら良いのでしょうか。

アプリ分析プラットフォーム「App Ape(アップ・エイプ)」をはじめとする各種データや情報を生かしたビジネス・マーケティングで勝ち筋を見出し、最前線をひた走るキーパーソンを訪ね、率直に聞きました。(聞き手:フラー株式会社執行役員CMO・杉山信弘、写真と編集:App Ape Lab編集長・日影耕造、敬称略)

株式会社Gunosy
石井 健輔氏
メディア事業本部グノシー事業部マーケティンググループ マネージャー

プロフィール:2016年に株式会社セプテーニに入社。国内外のアプリクライアントのデジタルプロモーションを担当。 2018年よりGunosyに参画。「グノシー」やKDDIとの共同事業「ニュースパス」、「LUCRA(ルクラ)」のデジタルプロモーション担当を経て、現在は「グノシー」のマーケティング責任者としてアプリ内の企画ディレクションや、テレビCMなどオンラインからオフラインまで幅広く管轄。

「 マーケティングは人数に比例してものすごいことができるようになるわけじゃない」

杉山:石井さんが現在どんな仕事をされているのか、簡単に教えていただけますか?

石井:インターネット広告代理店のセプテーニに新卒で入社して2年間働いたあと、Gunosy(グノシー)に入りました。
今はマーケティンググループのマネージャーとして「グノシー」アプリのプロダクトとプロモーションを両方とも見る立場です。

杉山:マーケティンググループで手がけるプロモーションとプロダクトというのは具体的にどんな仕事内容ですか?

石井:テレビCMをはじめとするオフライン、インハウスのデジタルのプロモーションを見るのがプロモーションの仕事です。

プロダクトは、アプリ内でどういうキャンペーンをやるのか、どういう機能をアプリに足していくのかを中心に手がけていますね。

杉山:プロモーションはどのような体制で手がけているのですか?

石井:僕以外のメンバーには▽プロモーションを多く見る▽プロダクトを多く見るーーといったようにミッションをそれぞれ割り振っています。そのうち、プロモーションを多く見るメンバーは、オフラインのTVCMもオンラインのデジタルマーケティングもどちらも手がける形になります。

データは一つのDBに統合して全員で毎日確認

杉山:プロモーション側とプロダクト側で違うと思いますが、普段どんなデータを見ていますか。

石井:プロモーションはシンプルでおそらくみなさんの想像通りだと思います。CPA(顧客獲得単価)やリテンションレート(既存顧客維持率)、あとはCPD(Cost Per Day:1日あたり広告コスト)などを見ています。

プロダクト側はDAU、WAU、MAUといったアプリのユーザー規模に関わる基礎的な指標のほか、LTV(顧客生涯価値)や「グノシー」アプリ内の広告のインプレッションなどを見ていますね。アプリ内の広告のインプレッションはプロモーションではなくてプロダクト側で見ます。どれくらいアプリ内で広告を出すかを判断するためです。

杉山:なるほどですね。見るべきKPIがかなりの数に上ると思うのですが、実際はどれぐらいの頻度でデータをチェックしていますか?

石井:プロダクトの数値は基本的にデイリーで見ていて、エンジニアのメンバーもマーケのメンバーもみんなで集まって、朝会のときに全員でダッシュボードを見ています。ちなみに、Gunosyではテレビ、ウェブ、アプリといった各種指標は統合して社内のDatabaseにつなぎ込んで蓄積し、内製したダッシュボードで見ています。

プロモーションの数値は1時間おきにSlackにBotで通知したりしていますし、アドフラウドなどの不正な挙動があったときも特定の数字が異常値だと通知が来るようにしています。

「データや数値を見ることはグノシーの文化」

杉山:データや数値を毎日見ることは、石井さんが入られたときからGunosyの文化として根付いていたのですか?

石井:はい、その通りです。組織の文化として根付いていましたね。

杉山:なぜ毎日見るのですか?正直、ほとんど変わらないデータばかりなのでは?と思ってしまうのですが。

石井:昨日と今日で全然データが違わないといった事があると「そんな変化がないデータって毎日チェックする必要あるの?」といったツッコミもあるかとは思うのですが、逆にいつもと違わなかった、通常通り運用できているということを確認すること自体が有益な情報収集だと思っています。

ある時に急に異常値を検知して、そもそもそのデータがどの程度異常なのかといった感覚は、毎日データを見ていないとわかりません。そういう意味で1日1回、必ずデータを見る体制があるのは、組織としてメリットが大きいと思いますね。

杉山:オフラインの成果は、数値としてどのように追いかけていますか?

石井:可能な限り計測しています。TVCMについては、「グノシー」自体が購買までの時間が長いサービスではないですので、基本的にCMを流した後のオーガニックでのサイト・アプリへのアクセス数の伸び方を計測しています。

杉山:例えばTVCMであれば放映後15〜30分以内に数値を確認するといった効果計測が一般的ですが、「グノシー」の場合はどのようにしていますか?

石井:僕らも同じく短いスパンで見ています。放送回数がたまってくれば、どのCMのクリエイティブが良かったのかなどを相対評価ができるからです。TVCMを絶対評価で計測することは無理とある程度割り切っており、相対評価で運用しています。例えば、CMとかって3回くらい見て、しばらくしてインストールしたりする人もいるんですよね。

杉山:ちなみに、TVCMは地方などでエリアテストをしてから全国展開しますか?

石井:僕らは基本的には東京から放映することが多いです。エリアでやると人口が少なく、かなりのGRP(延べ視聴率)の蓄積がないと評価の見当をつけるのに時間がかかると思うんですよね。ですので、いきなり人口の多い東京で行い、高速で効果を見ています。

データは仮説があって初めて意味を持つ

杉山:社内外のデータを活用する上で気をつけるべきことは何ですか?

石井:先に仮説を持つことです。例えば、競合の数字を把握することって、先に仮説がないと何の意味も果たせないと思っています。例えば、僕らが「競合のダウンロード数が増えている」ことを見たとしても、アクションに落とし込めずに「へえ、伸びてるんだ」で終わってしまうケースはすごく多いです。

競合に比べてどこの数値が負けていて、これをしたら改善できるのではという仮説を持ち、その裏を取りにいくためにデータを見る、という順番でないと、データはあまり意味を果たさないのかなと僕は思っています。

プロダクトの新機能を考える際も「インストール伸長に寄与する」とか「アクティブユーザーの維持につながる」といった仮説を最初に持つようにしています。

ただ、仮説の通りにいかないパターンはよく起きます。そこで、仮説に基づき主要で見るKPIと、参考で見るKPIを大枠で決めて、それらの数値を定点観測することで、複合的な視点で成長のきっかけをとらえるようにしています。

外部データは「非連続な成長」をもたらす

杉山:業務フローの中で「App Ape」を含む外部のデータはどういうタイミングで見られるのですか?

石井:外部のデータが欲しい時というのは、トレンドを把握したいことが僕の中では一番多いですね。

自分たちのビジネスやプロダクトにかかわる内部のデータを活用することで「この数字が悪くなってきているから、ここを改善すれば良くなるかも」といういわば“連続的な成長”や改善はある程度可能ではありますが、200%、300%といった非連続で爆発的な成長は市場を把握できていないと難しいと思っています。

非連続な成長を生み出すためにも、日本で今どんなサービスやアプリが流行っているのかや、世の中のマストレンドを収集するといった目的で外部データを使うことが多いですね。その一環として、アプリのデータから非連続な成長をもたらすために外部データであるApp Apeをはじめとする各種データを見ています。

杉山:そういった変化を早く補足できるのは、毎日データを見る文化と、データを見やすくするインターフェースの両方があるからかもしれませんね。

データから脅威を見出し、アクションにつなげる

杉山:仕事の中で、App Apeの機能で具体的によく見ているのはありますか。

石井:自社と他社の各アプリの重複率(同時所持アプリ)を見ています。日本人の可処分時間は一定ですから、どこに奪われている恐れがあるか、脅威が存在するかを把握するようにしていますね。

データから見出した脅威は、実際のアクションにも落としやすい気がしています。

例えば、「グノシー」のユーザーの多くがYouTubeのユーザーと重複していて、「グノシー」の滞在時間が仮にものすごく減るということが起きるとします。すると、、恐らくYouTubeに取られているので動画を見れるように強化しないとまずい、という仮説を順番で理解できるじゃないですか。だから、僕はよくApp Apeで重複率をチェックしていますね。

杉山App Apeで最近出した「脅威分析(α)」という機能はまさに今のお話にドンピシャな名前です(笑)。

あるアプリを3カ月以上起動し続けていた人が、いきなり休眠になったときに、どのアプリを使い始めたかっていうデータなんです。いったんゲームだけ出しているんですけど、仮説があればデータとして役に立つと思っています。

石井:うん、そう思いますね。

杉山App Apeの価値を一言で表現すると?

石井:マーケット理解かなと思います。アプリってものすごく”流行り廃り”が激しい世界です。僕が社会人になったのは2016年なんですけど、そのタイミングでマッチングサービスが出てきて、そのあと、漫画アプリが増えてきて、さらに中華系のゲームやTikTok、少し前まではハイパーカジュアルが沢山リリースされました。

この大きなトレンドの流れは、自社で持っているデータをどんなに見ていても、絶対分からないしキャッチアップできないので、そこだけでかなりバリューはあると思っています。

ユーザーに選ばれるための差別化はデータからはじまる

杉山:可処分時間の奪い合いの中で、ニュースの脅威になるものは何でしょうか?

石井:ニュースって、どのサービスで見てもいいものじゃないですか。極端に言うと、テレビで見てもいいし、ラジオでもいいし、「グノシー」でもいいわけです。「いや、俺は絶対テレビで見る」という人はあまりいなくて、多くの人が「どこでもいいかな」と感じていると思うんですね。なので、具体的な脅威というのは、実は今のところないんです。

一方、Gunosyが創業したタイミングはインターネット上にあちこちニュースが散らばっていため、1カ所にニュースがまとまっていて、AIがレコメンドしてくれるのは革新的なことでしたが、今まとめてニュースが読める事は当たり前になってきていると感じます。まとめるだけなら「どれでもいい」という状態までユーザーのマインドは来てしまっていると思っています。

ですから、ここからは「グノシー」も他の会社もユーザーに選ばれるためにどう差別化していくかをさらに真剣に考えないといけないと思います。

杉山:仮説を常に持ちながらデータと毎日向き合うことがますます重要になりそうですね。

App Apeの詳細はこちら:アプリ分析ツール App Ape
※ 下記より、App Ape活用事例をご覧になれます。