【セミナーレポート】delyとフラーがデータで解説、コロナショックが与えた外食・内食への影響と実態

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フラー株式会社と国内No.1のレシピ動画サービス「クラシル」を手がけるdely株式会社は2020年4月28日、オンラインセミナー「コロナショックが与えた、外食・内食への影響と実態」を開きました。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言で変化する食生活をテーマに、dely株式会社の田中氏とフラー株式会社の島田氏がアプリの利用やアプリ内での検索行動の観点から人々の行動トレンドを解説。WITH コロナやアフター・コロナの世の中の変化についても言及しました。

緊急事態宣言発令による在宅勤務や休校により、モバイルオーダーやUber eats等のデリバリー、自炊といった選択肢の中で消費者はどういった行動を辿っているのでしょうか。(敬称略、編集:App Ape Lab編集部・日影耕造)

dely株式会社
田中 基樹氏
広告事業部 部長

プロフィール:大手ネットエージェンシーにて営業としてキャリアをスタートし、食品・飲料・消費財メーカーのプロジェクトに従事。その後アドテク企業であるフリークアウトに参画し、営業部署の立ち上げや新規事業推進などに携わり営業統括部長、プロダクトマネージャーを兼任。現在はdely株式会社にてレシピ動画サービス「クラシル」の広告プロダクトセールスと商品開発を事業部長として管掌。

フラー株式会社
島田 伊吹
マーケティング本部 アカウントエグゼクティブ マネージャー

プロフィール:神戸市若手IT実業家育成プログラム一期特待生。大学卒業後、公益財団法人大阪産業創造館業職委託職員にて女性起業家・後継者育成事業に従事。BtoBアパレルマーケットを運営するベンチャーにて社長執務室室長としてサービス立ち上げと4回の資金調達を経験。アパレル業界の川上から川下まで一気通貫した在庫問題の処理を担当。2020年3月フラー株式会社アカウントエグゼクティブマネージャー就任。得意分野はリテール分野でのアプリ運用や実店舗とのシナジーを生むアプリ開発支援。実家が喫茶店。


島田:僕の実家は大阪で喫茶店を営んでいます。母親からは毎日のようにかなり厳しい状況を訴える電話がかかってきます。外食産業の厳しさを肌で感じているだけに、この状況に対して本当に何とかしたいとの思いから、クラシルの田中さんにお声がけをして今回のセミナーを開催しました。

田中:うちの実家は普通のサラリーマンです(笑)。僕自身はネットマーケティング・デジタルマーケティングの業界で食品・飲料メーカーの担当をしていました。現在はクラシルの広告セールスを管掌しています。

[セミナースライドより引用]

島田:最初に、一連のコロナウイルスをめぐる経過をごく簡単にまとめました。1月に国内初の感染を確認、2月末に安倍晋三首相が全国の小中高校を対象とした一斉休校を要請、3月下旬に東京、埼玉で外出自粛要請が出てそこから情勢が一気に変わってきて、4月に緊急事態宣言が出されて今に至るというのが現状です。

3月はコミック、エンタメが受け皿に。経済情勢の不透明感もアプリ利用に反映

[セミナースライドより引用]

島田:このように情勢が刻々と変化した3月に、コロナウイルスの影響でアプリ利用がどのように変化をしていったのか、まずはデータを見ていきたいと思います。(データはAndroidが対象、カテゴリはGoogle Playに準拠)

2020年1月と3月のカテゴリ別のMAU上位500アプリの合算値を比較すると、仕事効率化、在宅勤務、親子向け、ファイナンス、コミック、ビジネス、ショッピング、ライフスタイル、エンタメ、コミックの各カテゴリのMAUが伸びました。

いくつかのカテゴリを詳しく見ていきましょう。

外出自粛要請の影響でユーザーの在宅時間が長くなっていることから、漫画を配信する「コミック」や映画や動画コンテンツを提供する「エンタメ」といった可処分時間の受け皿となるアプリカテゴリの利用が顕著に伸びました。

ファイナンスカテゴリは決済、口座確認、カード系のアプリが上昇トレンドとなりました。景気後退で不安が拡大し、金融系のアプリで預金などの残高をオンラインで確認したいという需要の高まりによるものと考えられます。

キャッシュレス系は大きな影響はなく、健闘しているという印象です。ECでやリアル店舗での決済回数が増えたためと見ています。

ショッピングカテゴリは、外出自粛の影響でAmazonをはじめとするECの存在感が高まりました。マスク、トイレットペーパーなどの需要増により、オンラインで商品を探す行動は活発です。中でも、キャッシュレス機能を有するメルペイの影響などでメルカリの伸びが大きくなっています。外出自粛で地域内での行動が増えたことで、ジモティーのような地域特化型のアプリも伸びています。

ここからは今回のセミナーのテーマでもある外食・内食系のアプリの利用の動向を見ていきたいと思います。

[データ元: App Ape(国内約15万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[DAU (Daily Active Users): そのアプリの対象期間における、日間アクティブユーザー数であり、1日に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]

外食グルメ検索アプリの日間利用者数(DAU)が3月20日を境に下降している一方、内食レシピアプリ主要3タイトル(クラシル、DELISH KITCHEN、クックパッド)の合計DAUの推移を見ると、こちらは3月20日ごろを境に上昇トレンドが顕著になっていることが分かります。このあたりは田中さんの感覚と合っていますか?

田中:そうですね、3月のクラシルのDAUはトラフィックベースで1月比1.7〜1.8倍に伸びています。

島田:それはすごいですね!

※上記グラフの日間アクティブユーザー数の実数値をご覧になりたい方は、有料版登録後、こちらからご覧になれます。

外出自粛で新たに生まれた内食レシピ系アプリ利用のピーク

[データ元: App Ape(国内約15万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[時間帯別アクティブ率:一日にアプリを起動したユーザーのうち、各時間帯に起動しているユーザーの割合。平日、休日別で月間の平均値を示しています。]

島田:もう少しデータを深掘りしていきたいと思います。

内食レシピアプリについて2〜4月の各月の時間別合計利用者数の推移を見ると、全体のボリュームが毎月増大していることが山の大きさからわかるかと思います。特に4月は17〜18時に大きな利用の山が形成されており、夜の需要が伸びています。田中さん、この数字についてはいかがですか?

田中:そうですね、やはり夕飯を作るだけではなくて、いわゆる“Zoom飲み”などのオンライン飲み会がブームになったように、ユーザーがお酒のおつまみも作るようになったことが要因にあるかと思います。実際、クラシルにおける「おつまみ」の検索キーワードボリュームもすごく伸びており、そのニーズが出てきているのかなと思います。

島田:たしかに、僕も最近クラシルでおつまみの作り方を検索しました。

さらに、4月は正午に新たにスパイクができているのが特筆すべき事象だと思います。休校によって自宅で子供と親がご飯を食べるようになったことが背景にありそうです。実際、昼食向けに弁当を作らなくなって家で食べるようになったなと自分自身の生活を振り返っても思いますね。

ここからは内食アプリの変化について、田中さんにバトンタッチしてさらに深掘りしていただきます。

外出自粛で内食需要が引き続き増加

[セミナースライドより引用]

田中:僕からは「コロナにより変化しつつある食生活と、データの変化」について、クラシルのアプリ内データの1〜4月の変化と考察をお話しできればと思います。

クラシルは現在、アプリだけで2,200万DLを突破するなど、おかげさまでたくさんの方々にご活用いただいています。

4月のクラシルのDAUは、1月対比で170%と非常に伸びています。3月から4月にかけてのアプリのダウンロードや利用頻度も非常に増えています。

[セミナースライドより引用]

ユーザーのアプリの使い方を見ると、シンプルにレシピを見るだけでなくて、クラシルの”献立機能”の利用が増えています。

献立機能とは、「複数のレシピを組み合わせて、そのレシピに必要な食材の必要な“買い物リスト”を作れる」クラシルオリジナルの機能です。3月の全国臨時休校以降、まとめ買いや献立機能を使ってスーパーで数日分の食料を買うユーザーが増えています。

朝から晩までお家ご飯、料理に工夫も必要に

田中:クラシルの利用が急増する中で、どんな検索キーワードが伸びていたのでしょうか。傾向を調べてみました。

[セミナースライドより引用]

まず、3月は「朝食」や「食パン」といったキーワードの検索数が平日においても上昇しました。これらのキーワードは、コロナウイルスの影響が顕著になるまでは、日曜日の上位キーワードでした。在宅勤務や休校によって通勤通学がなくなり、朝の時間帯に余裕ができたことから、コロナ以前に比べ朝食を家で食べる機会が増えたと見ています。

[セミナースライドより引用]

「お昼ご飯」と「子供」というキーワードの検索も急増しました。特に、これまであまり検索ボリュームがなかった「お昼ご飯」については爆発的に増大しています。いずれも在宅勤務や休校の影響で、家庭での昼食需要が増大していることが、検索データに顕著に現れています。

[セミナースライドより引用]

さらに、休校中の子供の健康や栄養バランス、免疫力強化などの観点で「牛乳」「ヨーグルト」といった乳製品の検索も上昇しました。

[セミナースライドより引用]

夜ご飯に関しても、夜にご飯を作る人が増えてきて、「時短」や「作り置き」のキーワードが徐々に増えてきました。

[セミナースライドより引用]

食材については、「うどん」や「パスタ」といったキーワードの検索回数が急上昇しています。保存がきく食材や即席食材のニーズが高まっていることがデータからは分かりますね。

[セミナースライドより引用]

3月は全国一斉休校の影響で、自宅待機する子供向けに子供が食べやすいものを検索するなど、家で過ごすユーザーの食や健康に対する行動変容が起きたことがデータから浮き彫りになりました。外出自粛要請に伴うリモートワークの拡大も行動変容のきっかけになっています。

つまり、朝は通勤、通学がなくなって家で家族と過ごす時間となり、平日の昼に男性や働く女性が家にいることが多くなったために”家ランチ”が増え、在宅による運動不足や健康への不安から、家での健康意識が高まったーーという構図です。

[セミナースライドより引用]

「朝ごはん」「昼ごはん」「夜ご飯」といったカテゴリ検索回数が大幅に増加し、検索上位のクリックが非常に多かったのも3月の特徴です。朝ごはんカテゴリの検索結果上位の動画再生回数は3.2倍〜16倍に、夜ご飯は2.7倍〜5.6倍となりました。

料理ニーズは時短から”簡単”へシフト

[セミナースライドより引用]

田中:4月に入ると、このような状況が変化します。

3月の当初はユーザーもある程度在宅生活を楽しんでいたように思います。しかし、4月は本格的な在宅勤務や休校の延長で働き方や生活に変化が生じ、「在宅疲れ」が顕著になってきました。

そのような状況にあって、「朝から晩まで家でご飯を食べるための工夫」が必要となり、4月は「簡単ごはん」「作り置き」といったキーワードの検索数に伸長傾向が見られるようになりました。

[セミナースライドより引用]

さらに経済状況の不透明感を反映し、節約志向も見えてきました。4月は比較的安価で使いやすい食材の検索数が伸び、中でも「もやし」は3月比で190%増、「豆苗」は200%増となりました。

お家時間拡大で娯楽としての料理やお菓子づくりが流行

[セミナースライドより引用]

田中:家で過ごす時間が長くなり、外出自粛で遊びに行くことがままならない中、4月は食に“娯楽要素”を求める人が増えている傾向も見られました。

例えば、「餃子」は3月比で220%増、「チキン南蛮」は300%増、「ロールキャベツ」は200%増といった具合に、みんなで作れるごはんや一手間かけた手の込んだおかずを楽しむユーザーが増えました。特にお子さんがいる家庭でその傾向が強いように感じます。

[セミナースライドより引用]

スイーツやお菓子作りに関連するキーワードの検索数も上昇しています。「チーズケーキ」や「プリン」は、検索数が年間を通じて最も増大するバレンタインの時期よりも検索されており、多くのユーザーが一種の娯楽として、お菓子作りを行っていることが伺えます。

家飲み需要は引き続き増大、手の込んだおつまみニーズも

[セミナースライドより引用]

田中:在宅時間の増加に伴う家飲み需要の拡大で「おつまみ」の検索も3月比200%増となっています。

ここで特徴的なのが、おつまみの検索がコロナ以降に細分化していることです。2019年3月は「おつまみ」という単体のキーワードでの検索が8割だったのですが、2020年3月は「油揚げ おつまみ」「アボカド おつまみ」のような複合ワードでの検索割合が増えています。自宅の食材を使って居酒屋的なメニューを作る人が増えているということですね。

ヘルシー・ダイエットニーズは今後も伸長か

[セミナースライドより引用]

田中:健康意識、そしてダイエット意識の高まりも、4月に入ってからの大きな変化として挙げられます。

「ヘルシー」の検索数は3月比190%増、「ダイエット」は220%増となっており、運動不足への心配から健康意識が高まり、ダイエット意識が芽生えていることがわかります。私もただ散歩するだけで相当いい運動した感覚になっているので(笑)、これには共感しますね。

WITH / AFTER コロナ、5月以降の変化予測

[セミナースライドより引用]

田中:5月以降は生活習慣そのものの変化を反映した“自宅やや飽きてきた”トレンドが来るのではないかと見ています。

具体的には、買い物の回数を減らして「作り置き」や「冷凍」で一度に大量に作りたいニーズが高まると予想しています。

健康志向の高まりにより、日々のおかずからスイーツまでヘルシーなものが人気になるでしょう。緊急事態宣言の延長で休校も延長となった都道府県が多いことから、子供と一緒に作れるレシピや、家族で参加するオンライン料理教室の増加もあるもしれません。

おつまみは毎回作るのが大変なので、簡単に作れる「常備つまみ」や、思わず作ってみたくなる目新しいおつまみのニーズが拡大しそうです。

さらに6月以降、気温が上がってくると「暑くて台所に立ちたくない」というニーズが一気に出てきて、レンジでチンするだけ、混ぜるだけといった簡単レシピが伸長してくるでしょう。

コロナウイルスと共存する生活が続くことになると、公園や身近な場所でのピクニックやキャンプといった”アウトドアご飯”も人気になると思います。

自炊が続く中、大きな支出を避けた節約レシピのニーズも引き続き高まるでしょう。在宅勤務で外食が減る中、セルフコントロールでの健康管理がより重要になっていくでしょうし、自炊ではできない手の込んだ料理をテイクアウトで楽しむといった変化という意味で、外食の需要が増えていくかもしれません。

島田:これから伸びてきそうな調理家電というのはありますか?

田中:「ホットクック」のようにボタン一つで普段自分が作らないものを作れる調理機器は伸びてくると思います。普段の自分のレシピのレパートリーにないものを簡単に作れたり、毎日自炊をする中で新鮮な驚きが得られたりするものは、子育て世帯を中心にニーズがあると思います。コロナウイルス が落ち着いた後にも使えるのかどうかも、購入の意思決定に関わってくるかもしれませんね。

これは少し宣伝になりますが、クラシルは食品・飲料メーカーの皆さま向けにさまざまなマーケティングの支援メニューをご用意しております。おうちごはんやおつまみ、麺類などで出稿したい企業向けに、特定のレシピのみに出稿できるメニューを用意しています。お気軽にお問い合わせください

キーワードは“EC” “健康志向” “フードデリバリー”

[セミナースライドより引用]

島田:アプリ業界という視点で見ると、EC、健康志向、フードデリバリーの3つがキーワードとなるでしょう。

ショッピングアプリ上位500アプリの延べMAUを2020年1月と3月で比較すると、実は92.1%と少し下がっています。コロナウイルスの影響で全体としての消費が減退しており、伸びるアプリと伸びないアプリがはっきり分かれています。

フードデリバリーアプリについては、Uber Eatsと出前館の合算DAUの推移を見ると、緊急事態宣言が出てから大きく伸びています。

健康&フィットネスアプリの数字も伸びています。運動、健康管理、メンタルヘルスなど多様なアプリが伸びています。

経済状況を含めて情勢が不透明な中で外食・内食を含む市場の変化をデータから読み解く重要性はますます高まりそうです。

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第二回セミナーは、デリバリー、テイクアウト、ECの3つに絞って実施しました!

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