新型コロナウイルスは暮らしをどう変えた?緊急事態宣言下のアプリ利用の変化

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新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が全ての都道府県で解除されました。予断を許さない状況に変わりはないものの、医療関係者の尽力や感染拡大防止に向けた私たち一人一人の取り組みが奏功した形です。

4月7日の宣言から約1カ月半、2月末の全国一斉休校要請から数えると実に約3カ月と長期間に渡る自粛生活の中で、人々はどのように時間を過ごしたのでしょうか。また、生活はどう変化したのでしょうか。

ヒントは、人々の生活インフラとして広く浸透するスマホアプリのデータの中にあります。

アプリ分析プラットフォーム「App Ape(アップ・エイプ)」のデータをもとに、自粛期間中のアプリ利用の動向を紐解くと、世代ごとに異なる影響分野や行動の変容が見えてきました。

緊急事態宣言下でインストール件数が増加

App Apeで蓄積するAndroid端末約15万台分のデータから各アプリの利用状況を推計。2020年1月15日〜2月15日をコロナウイルスの感染拡大前の“平時”とした上で、①全国一斉休校要請から緊急事態宣言直前(2月27日〜4月6日)②緊急事態宣言発令後(4月7日〜5月3日)③緊急事態宣言の延長決定から宣言解除直前(5月4日〜5月22日)ーーの3つの期間について、平時と比較しました。

[データ元: App Apeによる推計(国内約15万台のAndroid端末を分析) 、推計はiOS・Android合算]
[総インストール件数:期間内のアプリインストール件数の合計を表示]

総インストール件数(iOS・Android合算)の推移を見ると、緊急事態宣言発令後(4月7日〜5月3日)の1日あたりの平均インストール件数は平時に比べ10%増となりました。外出自粛による”巣篭もり生活”で新たなアプリの利用が加速し、人々の行動や可処分時間がオフラインからスマホアプリ上のオンラインに急速に置き換わった様子が浮き彫りになりました。

ニュース、オンラインミーティング、動画…時期に応じた利用の変化が鮮明に

[データ元: App Ape(国内約15万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[DAU (Daily Active Users): そのアプリの対象期間における、日間アクティブユーザー数であり、1日に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]

平均DAUの増加数上位20アプリ(対象はAndroid)を各期間ごとに見ると、それぞれのフェーズに応じたアプリ利用の変化が鮮明に出ました。

①全国一斉休校要請から緊急事態宣言直前(2月27日〜4月6日)

全国一斉休校要請から緊急事態宣言直前の期間中は、1位の「Yahoo! Japan」をはじめとするニュース系アプリが上位20アプリ中5アプリを占めました。
全国一斉休校や外出の自粛要請、広がりつつあるコロナウイルスの脅威など、かつていない生活状況の変化に対し、信頼できるたしかな情報を求めてアプリを利用した様子が垣間見えます。

②緊急事態宣言発令後(4月7日〜5月3日)

緊急事態宣言発令後は、コロナウイルスの感染状況をリアルタイムで更新する「NewsDigest」の利用が急増。ニュース系アプリが上位20アプリ中6アプリと情報へのニーズが一段と高まった形です。

さらに、在宅勤務や休校期間中のオンライン授業などの必要性が高まった結果、オンラインミーティングアプリ「Zoom」の利用が急増。オンラインコミュニケーションが爆発しました。

③緊急事態宣言の延長決定から宣言解除直前(5月4日〜5月22日)

緊急事態宣言の延長決定から宣言解除直前の期間中は、ゴールデンウィークなどの休日を中心に「YouTube」や「Amazon プライムビデオ」といった動画視聴アプリの利用が増大しました。

長引く外出自粛や在宅勤務に伴う内食ニーズの増大で料理レシピアプリ「クックパッド」が利用を伸ばしたり、”オンライン帰省”やビジネス利用で「Zoom」がさらに利用を伸ばすなどの動きも見られました。

App Apeの詳細はこちら:アプリ分析ツール App Ape
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年代別のアプリ利用の違いが鮮明に

平均DAUの増加数上位20アプリを年代別に見ると、さらに細分化された世代ごとのアプリ利用の変化が見えてきました。

10代:教育系アプリの利用が急増

[データ元: App Ape(国内約15万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[DAU (Daily Active Users): そのアプリの対象期間における、日間アクティブユーザー数であり、1日に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]

各期間別のアプリ利用の変化を見ると、10代は一斉休校の影響を大きく受けたことが分かります。オンライン授業や情報のやりとり、自学自習のリソース確保で教育アプリが増加しており、他の世代と比べて異質な変化となっています。

2月27日〜4月6日は休校と春休みの余暇時間の受け皿としてゲームや動画・エンタメ系のアプリ利用が増加しました。

緊急事態宣言が出された4月7日以降は、Google Classroomやスタディプラスといったオンライン学習に紐づく教育系アプリの利用が急増。増加数上位10アプリのうち実に4アプリを教育系が占めました。

20代:動画・ゲームが受け皿に

[データ元: App Ape(国内約15万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[DAU (Daily Active Users): そのアプリの対象期間における、日間アクティブユーザー数であり、1日に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]

20代は学生も多く含まれることから、余暇時間の受け皿としてのゲームアプリや動画視聴アプリが期間を通じて上位に目立ちます。

他の世代に比べてメルカリが上位にランクインしており、巣篭もり生活の中でのいわゆる”断捨離”や、先行きが見えない中での現金確保のための売買などといった行動が活発であったことが読み取れます。

さらに、デリバリーアプリの「Uber Eats」が5月4日〜22日の期間にランクインしており、利用増の中心が20代であることが伺えます。

30代:在宅勤務でオンラインコミュニケーションと内食傾向鮮明に

[データ元: App Ape(国内約15万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[DAU (Daily Active Users): そのアプリの対象期間における、日間アクティブユーザー数であり、1日に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]

30代は多くが勤労世代となることから、在宅勤務に伴うオンラインコミュニケーションアプリに加え、在宅に伴う内食需要の高まりでレシピアプリの「クックパッド」、隙間の余暇時間の受け皿としてのコミックアプリの利用増に特徴が見られます。

また、他の世代にない特徴として緊急事態宣言下の4月7日〜5月3日にTwitterが上位にランクインしており、情報収集手段として活用している姿が浮かび上がります。

40代:子育て世代を反映、ニュースアプリの利用が増え始める

[データ元: App Ape(国内約15万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[DAU (Daily Active Users): そのアプリの対象期間における、日間アクティブユーザー数であり、1日に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]

40代は子育て世代が多くなることから、学校の連絡に使う教育アプリ「マチコミメール」の利用が際立ちました。

この世代から「スマートニュース」をはじめとするニュース系アプリの利用が目立ち始めます。たしかな情報ソースを持つニュースアプリから情報を集めようとする様子が見て取れます。

50代:オンラインミーティング利用の境界

[データ元: App Ape(国内約15万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[DAU (Daily Active Users): そのアプリの対象期間における、日間アクティブユーザー数であり、1日に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]

50代はニュースアプリの利用増がさらに顕著となり、情報収集のソースとしてアプリが大きな位置を占めている様子が伺えます。

下位にはドラッグストアのアプリが入っており、マスクや消毒薬を求めて情報を集めたり、外出自粛の中で買い物のために利用があったことを示唆しています。

また、オンラインミーティングアプリの利用増がこの世代になると相対的に低下しており、DXに伴いオンラインコミュニケーションを積極活用する世代の境界線がこの世代にありそうです。

60代以上:ニュースアプリの利用がメイン

[データ元: App Ape(国内約15万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による ]
[DAU (Daily Active Users): そのアプリの対象期間における、日間アクティブユーザー数であり、1日に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]

60代以上はオンラインミーティングアプリは上位20位圏外となり、ニュース系アプリやキャリア由来のアプリが多く占める形となりました。期間を通じてニュースアプリ利用がメインであったと言っても過言ではないでしょう。

今後注視すべきアプリ利用の動向は?

かつてない長期間に渡る外出自粛・巣篭もり生活は、テレワークの普及やオンラインを通じた余暇時間や可処分時間を過ごすためのさまざまなサービスの利用伸長につながりました。

これらの動きを一過性のものとするのではく、「新しい生活様式」や「ニューノーマル」と言われるコロナウイルスとの新しい日常生活を過ごしていくためのインフラとなり、ユーザーの継続利用につなげていくことが、アプリが社会に提供する役割として重要になります。

今後アプリの利用動向について、どのような点に注目するべきでしょうか?考えられる主なポイントをまとめました。

①コロナによって利用が増加・減少したアプリ・分野の動向

緊急事態宣言で休業や自粛に追い込まれた分野のアプリ利用の回復は、注視すべき最も大きなテーマの一つです。

すでに外食産業を中心にアプリを通じた顧客の呼び戻しが始まっており、実際に外食関係のアプリの一部では回復傾向を示すデータも出てきています。また、苦境に陥った外食企業をデジタル・マーケティング分野の知見を生かし支援する動きも始まっています。

dely株式会社・2020年4月24日ニュースリリース:「クラシルストア」、ヤフーグループと連携し、飲食店などの支援を強化 さらに手数料無料期間の2ヶ月延長を決定

同様に緊急事態宣言によって増加したアプリ利用が6月以降も高水準で推移するかどうかも注目ポイントです。依然として高水準であることには変わりありませんが、GWを挟んで指標としては下がりつつある分野も一部では見受けられます。

②教育分野のDXの動向

教育分野では、コロナウイルスに伴う全国一斉休校でオンライン学習をはじめとするデジタルトランスフォーメーション(DX)の機運が一気に高まりました。この機運を「いっときの混乱」とするのではなく、コロナをきっかけに顕在化した課題に対し取り組んでいくことができるかを探るため、教育アプリの利用動向は今後もウォッチする必要がありそうです。

③アプリを通じた新たなサービスや仕組みの動向

[接触確認アプリ及び関連システム仕様書より引用]

”新しい生活様式”が今後浸透するのに伴い、新たなアプリやサービスが生まれてくる可能性にも注目すべきでしょう。

例えば、厚生労働省が手がけるコロナウイルスの陽性者との接触を確認するアプリが6月にもローンチとなることが発表されました。

Impress Watch・2020年5月26日公開:政府の「接触確認アプリ」仕様書公開。6月中旬にiOSとAndroidで提供

同様に、コロナを契機に変わる「新しい生活様式」を捉えたサービスが続々と生まれる可能性があります。

これらの新たなサービスや既存の分野の変化の動向をいち早く捉えることが、未来を見据えたビジネスパーソンにとって重要なスキルとなるでしょう。

いずれにしても、緊急事態宣言が解除されましたが、ウイルスは依然として存在しています。世界的な終息まではまだ時間を要するでしょう。その間に人々の生活がどのように変化していくのか、今後もアプリのデータを通じて読み解いていきたいと思います。

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今回調査したApp Apeのデータの一部につきましては、NHKのBS1で5月30日(土)午後9時から放送される特集番組「BS1スペシャル コロナ危機 暮らしが変わる!ビッグデータで探る新たな生き方」で紹介されました。

番組概要
放送日時:5月30日(土)午後9:00~午後9:50(50分)
チャンネル:NHK BS1
タイトル:BS1スペシャル コロナ危機 暮らしが変わる!ビッグデータで探る新たな生き方
番組の詳細:https://www.nhk.jp/p/bs1sp/ts/YMKV7LM62W/episode/te/MKWW3KZ33V/

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