【セミナーレポート】データと事例から考える”withコロナ時代“のデリバリー・テイクアウト・ECの未来

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フラー株式会社と国内No.1のレシピ動画サービス「クラシル」を手がけるdely株式会社は2020年5月26日、”withコロナ時代“のデリバリー、テイクアウト、ECの未来についてデータと事例から考えるオンラインセミナーを開きました。

前回のセミナーレポートはこちら!

【セミナーレポート】delyとフラーがデータで解説、コロナショックが与えた外食・内食への影響と実態

新型コロナウィルスの影響で飲食店のオンライン販売やデリバリー・持ち帰りの流れが広がる飲食業界では、目まぐるしい状況変化の中、オペレーションの複雑化、最適な販売手法の検討など、新たな課題が押し寄せています。

セミナーではアプリ分析サービスApp Apeが蓄積するデータをもとに、オンラインで商品を購入するユーザーが何を求めているのかを解説。さらに実際の販路や仕組み作りの事例として、クラシルが手掛けるECプラットフォーム「クラシルストア」の取り組みを紹介しました。(敬称略、編集:日影耕造)

dely株式会社
大竹 雅登氏
執行役員 / CTO

プロフィール:2014年、慶應義塾大学在学中にdely株式会社を共同創業し、CTOに就任。2016年にレシピ動画サービス「クラシル」をリリースして日本最大のレシピ動画サービスに成長させる。
創業期はCTOとしてフルスタックに開発を担い、拡大後はエンジニアやデザイナーの組織づくりに注力。2017年にはその年最も輝いたCTOを選ぶ、TechCrunch主催の「CTO of the year」受賞。
2019年からはクラシルのEC事業責任者に就任。食品EC「クラシルストア」を牽引。

フラー株式会社
島田 伊吹
マーケティング本部 アカウントエグゼクティブ マネージャー

プロフィール:1993年生。大阪出身。神戸市若手IT実業家育成プログラム一期特待生。公益財団法人大阪産業創造館業職委託職員、BtoBアパレルマーケットを運営するベンチャーにて、社長執務室室長としてサービス立ち上げと4回の資金調達を経験。
2019年10月よりフラー株式会社入社。実家が喫茶店。


[セミナースライドより引用]

島田:はじめにコロナウイルスをめぐる経過を簡単にまとめました。1月に国内初の感染を確認、2月末に安倍晋三首相が全国の小中高校を対象とした一斉休校を要請、3月下旬に東京、埼玉で外出自粛要請が出た後、4月に緊急事態宣言が出されました。そして5月25日、まさに緊急事態宣言の一部解除となった状況です。

5月に上昇トレンドだったアプリは?

[セミナースライドより引用]

島田:緊急事態宣言の延長、そして解除と世の中が大きく動いた2020年5月に上昇トレンドだったアプリは、オンラインミーティングアプリの「Zoom」、交通案内アプリの「Yahoo!乗換案内」、ランニングの記録・サポートアプリ「Nike Run Club」、そして外食系アプリの「丸亀製麺」でした。

緊急事態宣言に伴う在宅勤務や外出自粛によりオンラインコミュニケーションの需要が一気に高まり、Zoomの週間利用者数(WAU)は5月11日週(5月11日〜17日)にApp Apeが現在の方式でデータを蓄積開始以来最多となりました。緊急事態宣言が解除された現在は、少し数値が落ち着いています。

Nike Run Clubは、外出自粛が本格的になる以前から上昇傾向となっており、緊急事態宣言期間中のWAUは平時の約2倍となりました。長期化する巣篭もり生活の中で運動不足を解消したり、健康への意識が高まった結果、ユーザーが増加した形です。

一方、外出自粛で利用が減少し続けていたYahoo! 乗換案内は、4月27日週(4月27日〜5月3日)からアクティブユーザー数が回復傾向に転じました。人々が緊急事態宣言の解除に向けて動き出したのがこの週と見ています。

丸亀製麺は、39県で緊急事態宣言が解除された5月14日から上昇トレンドとなりました。地方を含む全国各地の解除地域での顧客の呼び戻しが始まり、利用が活性化したと見ています。

[セミナースライドより引用]

2020年3月〜5月後半の外食アプリ主要3タイトル(丸亀製麺、ケンタッキーフライドチキン公式アプリ、すかいらーくアプリ、対象はAndroid)の合計WAUの推移を見ると、3月26日の外出自粛要請の前後にかけて減少した後、4月6日週にかけて一度回復の兆しを見せました。

しかし、4月7日に緊急事態宣言が発令され、再びWAUは減少トレンドとなりました。GWに少し回復したものの、緊急事態宣言の延長で再び下降トレンドになり、今まさに緊急事態宣言の解除で上昇トレンドに転じた形です。

このうち、特にすかいらーくアプリは厳しい外部環境にもかかわらずGWに大きく数値を伸ばしたことがデータから明らかになりました。ご興味ありましたら無料アプリ診断を随時うけつけていますので、こちらからぜひお問い合わせください。

[セミナースライドより引用]

外食で他のアプリと少し違った特徴を持つことから注目すべきなのが、店内利用とテイクアウトの両軸を大きな柱とするマクドナルドの公式アプリ「マクドナルド」です。

対象期間内にマクドナルド公式アプリのリテンション(継続)率をApp Apeで推計すると、全国一斉休校要請があった2月27日を含む週(2月24日〜3月1日)に同アプリをインストールしたユーザーは、外出自粛要請が出た週(3月16日〜22日)と緊急事態宣言が出た週(4月6日〜12日)に比べ、特に4週目以降のリテンションが高いという仮説が見えてきます。

緊急事態宣言以降の外食産業の動向を探るためにも、今後注目したいデータです。

新しい「人と食がつながる方法」

島田:さて、ウィズコロナ・アフターコロナの新しい生活様式に基づく世界で「人と食がつながる方法」について、顧客が店内に滞在したり来店したりする必要がないテイクアウト、フードデリバリー、ECの3つの視点で、アプリの利用に起きている変化を深堀りしていきたいと思います。

①テイクアウト

[セミナースライドより引用]

主要テイクアウト系5アプリ(マクドナルド モバイルオーダー、すき家、Potluck、O:der、Picks、対象はAndroid)の合計WAUの推移を見ると、マクドナルド モバイルオーダーが全国で本格的に利用ができるようになった1月27日週(1月27日〜2月2日)に急上昇して落ち着いた後、2月から3月中旬にかけてほぼ横ばいで推移していました。

しかし、3月26日に政府が新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ、首都圏の1都4県の知事が不要不急の外出自粛を要請する共同メッセージを出したことで潮目が変わり、WAUは急減しました。

その後、5アプリのWAUはほぼ横ばいで推移します。ただ、2020年1月にマクドナルドのモバイルオーダーが本格的に全国で利用が始まる前と比べると、外出自粛要請後も一定の規模を保って推移しているのが分かります。コロナウイルスの影響で人々の移動が大きく制限される中でも、アプリの利用は減っていません。

さらにテイクアウトアプリについて深堀りしていきます。

[セミナースライドより引用]

2019年12月30日週〜2020年5月24日週のテイクアウト主要5アプリの所持ユーザー数と合計WAUの推移を見ると、3月26日の外出自粛要請をきっかけにWAUが減少トレンドに転じていますが、所持ユーザー数はほぼ横ばいを維持しています。つまり、多くのユーザーはアプリを所持しているが利用はしていないという状態です。今後の動向を注視する必要があります。

個別にアプリを見ていくと、外食企業が単独で手がけるアプリが市場の成長を牽引しています。一方、プラットフォームアプリの利用はほぼ横ばい傾向で、それぞれの地域に根ざす店舗はオフラインの口コミを軸にテイクアウト商品の販売をしているのではと推測します。

②デリバリー

[セミナースライドより引用]

デリバリーアプリは、コロナウイルスの影響で最も大きく伸長した分野の一つと言えるでしょう。デリバリー系主要5アプリ(出前館、楽天デリバリー、Uber Eats、menu、dデリバリー、対象はAndroid)の合計WAUの推移を見ると、3月26日の外出自粛要請が出た週から利用が急増しました。

その後、緊急事態宣言の解除に向けた動きが出てきて、外出自粛が解除されるタイミングで減少に転じていますが、現在も1月に比べ高い水準となっています。

[セミナースライドより引用]

緊急事態宣言期間中にともに大きく利用を伸ばしたUber Eatsと出前館ですが、それぞれ異なるユーザー層となっています。

Uber Eatsは20代〜40代の男性の利用が顕著です。独身男性を中心に支持を集めている姿が推察されます。

一方、出前館は30代女性と40代男性の利用が多い形です。また、Uber Eatsに比べ50代以上の割合が高くなっています。幅広い年代が利用していることが分かりますね。

[セミナースライドより引用]

両アプリの地域別アプリ所持ユーザーの割合を見ると、Uber Eatsは大半が関東エリアに集中しており、その他の地域の割合は関西都市圏を抱える近畿を除き10%以下です。

出前館は4割が関東エリアではあるものの、他の地域にも普及していることが分かります。対応エリアが大きく作用していると見ています。

[セミナースライドより引用]

アプリ以外の要素を少しブレイクダウンしてみましょう。

加盟飲食店については、個々の店舗がデリバリーをする必要がないUber Eatsは中小規模の加盟が目立ちます。一方、自社でのデリバリーが必要な出前館はチェーン店が中心です。

デリバリーの対象については、飲食できる商品のみとなっている一方、出前館はクリーニングや日用品の配送にも対応しています。

配達エリア(2020年5月23日現在)を見ると、Uber Eatsは16都府県の都市部、出前館は47都道府県となっています。

③ECアプリ

[セミナースライドより引用]

EC系主要5アプリ(楽天市場ショッピングアプリ、Amazonショッピングアプリ、Yahoo!ショッピング、メルカリ、PayPayモール、対象はAndroid)の合計WAUの推移を見ると、トイレットペーパーの買い占め騒動があった3月上旬に一度大きな山を形成しています。

その後、一旦減少しましたが、外出自粛の影響が色濃くなり始めた3月中旬から再び上昇に転じ、緊急事態宣言に伴うリアル店舗の休業の影響でオンラインショッピングの存在感が高まり、GWまで一貫して上昇し続けました。

※各アプリのアクティブユーザー数の実数値をご覧になりたい方は、有料版登録後、こちらからご覧になれます。

[セミナースライドより引用]

EC系アプリについてもう少し深堀りしていきましょう。

EC系主要5アプリ(楽天市場ショッピングアプリ、Amazonショッピングアプリ、Yahoo!ショッピング、メルカリ、PayPayモール、対象はAndroid)について、2020年1月15日〜2月14日をコロナウイルスの感染拡大前の“平時”とした上で、①全国一斉休校要請から緊急事態宣言直前(2月27日〜4月6日)②緊急事態宣言発令後(4月7日〜5月3日)③緊急事態宣言の延長決定から宣言解除直前(5月4日〜5月22日)ーーの3つの期間について、平均日間利用者数(DAU)の増加率を平時と比較しました。

個別のアプリを見ると、「楽天市場 ショッピングアプリ」が5月4日〜13日に平時に比べ24.8%増と伸びが目立ちます。

他の3タイトルを個別に見ても、対象期間中は平時に比べ利用が伸びており、購買行動がオンラインにシフトしている様子が見て取れます。

楽天の急増の要因は、「楽天モバイル」が本格的にサービスを開始した結果、相乗効果で伸びていることに加え、商品ラインアップで食品・日用品を豊富に扱っていることが巣ごもりのオンライン購買需要と合致したと見ています。

[セミナースライドより引用]

緊急事態宣言解除後(5月14日〜5月20日)の平均DAUは減少しているものの、依然として平時に比べると高水準となっています。今後の推移について大竹さんはどう考えますか?

大竹:4月はECにとってやはり特需期間だったと思います。このまま4月の水準が続くことはないでしょう。

ただ、日本全体のEC化率は6%程度、中でも食品のEC化率は2〜3%と低い状況です。

今回の緊急事態宣言に伴う巣ごもり生活で必要に迫られてECを活用した結果、その利便性に気づいている人は多いと思います。

そんな潜在的だったユーザーが購買先の選択肢にECを入れるようになると見ています。長期的には、今回の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛要請や一連の行動変容は、ECアプリにとっては利用増のきっかけになった出来事だと思います。

島田:では、ここからはECの強みを生かした新しい「食と人をつなぐ」取り組みの具体例について、大竹さんに紹介していただきます。

内食需要の高まりでクラシルDAUは急増

大竹:はじめに、コロナウイルスがもたらしたクラシルの利用の変化について少し紹介します。

緊急事態宣言に伴う外出自粛や休校、テレワークで”巣篭もり生活”を送る人々が急増した結果、家庭内で食事をとる「内食需要」が高まりました。

”巣篭もり“に伴う食生活の変化を反映して、DAUだけではなく、特定のワードの検索数も増加しました。例えば在宅勤務などで家庭で食事を取ったり、お酒を飲む機会が増えたりしたことから、1月に比べ「昼ごはん」の検索数は280%、「夜ご飯」は400%、「おつまみ」は140%増となりました。”おうち時間の充実”へのニーズが高まっていることが分かります。

レシピ動画とECをつなぐ”地続きな食の体験”

[セミナースライドより引用]

大竹:クラシルは“クラシルストア“というEC事業を展開しています。

クラシルストアは全国各地から選りすぐりの商品を産直型で自宅にお取り寄せできる”食のECプラットフォーム”です。クラシルアプリの「通販タブ」からシームレスにアクセスできます。食にまつわる“地続きの体験“を提供するためです。

テイクアウトやデリバリー系のサービスが配達可能な地域内のユーザーをターゲットとしているのに対し、クラシルストアはモール型ECの形態で全国どこへでも販売が可能なサービスです。ECゆえの商圏の広さが特徴であり、強みでもあります。

島田:自炊のプラットフォームであるレシピ動画サービスのクラシルがなぜECを運営するのですか?

大竹:自炊に加えて、「たまにはちょっと贅沢なものが食べたい」「美味しいものを食べたい」といった食におけるユーザーの「プラスアルファのニーズ」をクラシルでカバーするためです。クラシルのサービスミッションは「80億人に1日3回の幸せを届ける」こと。提供するべきサービスは、レシピ動画にとどまりません。

飲食店のEC掲載からマーケティングまで支援

[セミナースライドより引用]

大竹:クラシルストアは2020年3月17日から「食べて街のお店を応援しよう」という企画を開始しました。開始当初は飲食店と一次生産者の商品を扱っていましたが、観光業への打撃も深刻であることから、支援枠を拡大し、ホテルをはじめとした宿泊業者も対象に加えました。

[セミナースライドより引用]

新型コロナウイルスの影響で飲食店・百貨店・宿泊施設などへの訪問客が長期的に減少が続く可能性もある中、これまでお客様が“来店する”ことが前提だった業態は抜本的な対策が必要となっています。

一方、先ほども申し上げた通り、家での自炊頻度が増えることでクラシルの利用者は大幅に増加しています。同時に「お取り寄せで自宅でちょっと贅沢な食事をしたい」というニーズも高まっており、これらの需要に応えるのがクラシルストアという位置づけです。

飲食店はクラシルストアに商品を掲載することで、全国どこからでも注文を受けられるようになり、来店を前提としない売上を計上できます。しかも、今回の企画では出店する際の商品撮影から掲載までの出店業務もクラシルが代行するので、煩雑な立ち上げ作業をせずに販売を開始できます。

クラシルは、生産会社や飲食店が直接、消費者に販売できる仕組みをクラシルストアで作りたいのです。

[セミナースライドより引用]

一般的に、ECを始めようと検討しても、商品の写真撮影や原稿作成、配送管理などの面でなかなかハードルが高いと感じている経営者の方々は多いと思います。

そこで、クラシルのノウハウとリソースを活用して撮影等の出店作業を代行することにしました。クラシルが国内No.1のサービスに成長した要因は様々ありますが、その中に「おいしそう」と思わせるクエリエイティブを全て社内で制作できる、というものがあります。具体的には、「シズル感」のある写真の撮影技術や食欲をそそるような原稿作成ですね。クラシルストアに掲載される商品の撮影や商品紹介の原稿作成は、クラシルのクリエイティブを担うチームが行っています。

クラシルはもともと食への関心が高いユーザーが集まるサービスですから、そのユーザーに刺さる「クラシルの世界観」の中で商品を宣伝・販売できるというのは、特に宣伝ツールを持たない出品者にとってはプラスに働きます。さらに、出荷する際に必要な運送会社向けの伝票記入の自動化も進めました。出店から販売までトータルで支援する仕組みを実現できた、ということです。

[セミナースライドより引用]

実際に3月から出店していただいているコンフィチュールの専門店「旅するコンフィチュール」は、店舗向けに出荷する予定だった在庫をクラシルストアに振り替えることで、商品完売までこぎつけました。

緊急事態宣言の最中にもかかわらず、おかげさまで出店店舗数は順調に増え続けています。申し込みから商品撮影、販売までオンライン化ができていたことが非常に大きいと感じています。

[セミナースライドより引用]

飲食店を応援するため、クラシルストアは期間限定(2020年6月末)で、販売手数料を無料としています。

さらに、ヤフーグループと連携し、クラシルストアに掲載した商品をPayPayモールにも出店することで、販路を拡大しています。また「一休」様などグループ会社と出店者募集の面で連携しています。短期の取り組みで終わらせるのではなく、来店を前提としない集客・売上を継続して作れる仕組みを構築してまいります。

クラシルストアへの出店をご希望の方は、こちらの応募フォームからお気軽にお問い合わせください。

また、クラシルは事業開発/BizDevメンバーを募集しています。運営メンバーとして働くことに興味がある方もぜひこちらからご連絡ください 。

島田:緊急事態宣言解除後も食を取り巻くアプリの動向は大きく動きそうですね。引き続き注視してく必要がありそうです。

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