コロナ禍の消費者の関心をアプリのデータとマーケティング・リサーチで探る【セミナーレポート】

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株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシーとフラー株式会社は2020年5月28日、アプリの利用状況データとマーケティング・リサーチからコロナ禍で消費者のインサイト・関心を探るオンラインセミナーを開きました。

2つのデータを掛け合わせることによって見えてきた、新型コロナウイルスが消費者の思考や行動に与えた影響について紹介。大きな消費者の変化を捉えるためのデータ活用の重要性を提起しました。(敬称略、編集:日影耕造)


プロフィール:20年以上一貫して消費者理解を行うマーケティング・リサーチに従事し、日用雑貨、自動車、CS調査、海外での観察調査など多数のプロジェクトを経験。各種ツールを活用したリサーチを得意とし、開発や導入を行う。アカデミック、各種テクノロジー、ベンチャーなど外部との接点が多い。2014-2016年に日本マーケティング・リサーチ協会カンファレンス委員会委員長として業界活性化に取り組んだ。リサーチャーネットワークである「JMRX」共同主催者。

フラー株式会社
岸本 康太郎
マーケティング本部 アカウントエグゼクティブ

プロフィール:ECコンサル企業にて単品通販企業の担当に従事した後、2018年3月よりフラーに入社。フラーでは、App Apeのセールスやデータを用いたコンサルティング業務を担当。


[セミナースライドより引用]

牛堂:今回のセミナーは、コロナウイルスによる変化をテーマに、2つの異なる性格のデータの”掛け合わせ”から、新たな発見や消費者の関心・インサイトを浮き彫りにするのが狙いです。

App Apeのようなアプリでの実際の利用データと、マーケティング・リサーチによって得られる人々の感情や行動の要因を探るデータを組み合わせることで、世の中のかなりリアルな変化が見えてくることをお伝えできればと思います。

緊急事態宣言下のアプリの利用動向

[セミナースライドより引用]

岸本:緊急事態宣言下で人々の移動や行動が大きく制限された2020年5月にMAUが上昇トレンドとなったアプリを見ると、Microsoft Word、Slack、Microsoft Teamsなど緊急事態宣言に伴う在宅勤務・テレワークに起因するビジネス関連アプリが目立ちます。全国一斉休校の影響で自宅学習に用いるアプリも上昇トレンドとなりました。

長期化する”巣篭もり生活の影響”でYahoo!ショッピングやラクマといったショッピング関連のECやフリマアプリも伸びました。

一方、コロナウイルスへの感染への懸念から現金を使った決済を避けるため、PayPayやLINE Payといったキャッシュレス決済アプリを利用する人も増えました。

家での可処分時間が増大したことで、その受け皿となるエンタメや動画、コミックアプリの利用も増えた形です。

[セミナースライドより引用]

代表的なアプリの週間利用者数(WAU)を見ると、下記のような形となります。

牛堂:ニンテンドースイッチオンラインの伸びがすごいですね。

岸本:コロナによる巣篭もり需要と「あつまれ動物の森」のヒットの相乗効果ですね。ビジネスではTeamsが緊急時低宣言以降一気に伸びました。

牛堂:たしかに、私もこのタイミングでアプリをインストールしました。

[セミナースライドより引用]

岸本:一方で下降トレンドだったアプリは旅行&地域、住まいインテリア、スポーツでした。

緊急事態宣言による外出自粛の影響を直接受けたのが旅行&地域といえるでしょう。住まいインテリアは特に不動産系のアプリが下降しました。移動の自粛がそのまま引っ越しに響いた形ですね。スポーツはプロスポーツを中心に興行中止の影響がもろに出ました。

テレワークが変えた人々の意識

[セミナースライドより引用]

牛堂:ここからはアプリのデータにマーケティング・リサーチをかけ合わせて、緊急事態宣言下の人々のインサイトを明らかにしていきましょう。

2000人を対象にJMAが実施したテレワーク意識調査によると、「新型コロナウイルスが感染拡大する以前からテレワークを実施していた」と回答したのは21.5%にとどまりました。一方で「新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに初めてテレワークを実施した」と回答したのは78.5%で、感染拡大に伴う外出自粛が引き金となり、自宅でのリモート作業への移行が促進したことが回答結果からは読み取れます。

[セミナースライドより引用]

「職場での仕事」と「テレワーク」でストレスをより感じるのはどちらか聞いたところ、管理職が増えてくる40〜50代はコミュニケーションを求める傾向にあるのか、テレワークの方がストレスを感じると回答した割合が20~30代よりもやや多く、世代の傾向が見えました。年代が上がるにつれて、テレワークの方がストレスを感じているようです。

[セミナースライドより引用]

さらに、家族構成別に回答を集計すると、「一人暮らし」、「配偶者・子なし親同居」、「夫婦のみ」といった融通がききやすい家族構成の場合、職場の方がストレスを感じると回答した割合が約50%を占めた一方で、子供を持つ家族構成の場合はテレワークの方がストレスを感じると回答した割合がやや多くなりました。

学校の休校により食事の準備、スキマ時間の育児や学習補助を行う必要があり、まとまった時間を業務に当てることが難しいことが要因と思われます。

テレワークのスキマ時間に人々は何をしていたのか

[セミナースライドより引用]

牛堂:テレワークの”スキマ時間”のユーザー行動についても興味深い結果が得られました。

「テレワークのスキマ時間に何をしていたのか(複数回答可)」との質問に対し、最も多かった回答は「洗濯をする」で、以下「掃除や片づけをする」「音楽・ラジオを聞く」「お菓子などを食べる」「テレビをつけておく」「運動や筋トレなどをする」「食事の下ごしらえなど料理をする」「睡眠を取る」散歩をする」ーーなどと続きました。

[セミナースライドより引用]

岸本:この中でも特に音楽を聞いたり動画を視聴したりすることについては、アプリの利用データでも増加傾向が見られました。

Spotifyの2019年4月と緊急事態宣言が出た2020年4月の時間帯別の利用者数を比較すると、2020年4月は日中の時間帯に利用者が多くなっている傾向が読み取れます。

牛堂:まさに仕事をしながら音楽をつけっぱなしにしていたということですね。

岸本:同様にYouTubeを見ると、こちらもやはり日中を通じて利用が伸びていますね。YouTubeでもアプリをつけっぱなしにしてBGM代わりにしたり、スキマ時間に視聴したりといったことがあったことが見えます。

このようなアプリの比較や利用動向についてご興味ありましたら無料アプリ診断を随時うけつけていますので、こちらからぜひお問い合わせください。

テレワーク期間中に検討・実行した事柄は”副業”や”自己への投資”

[セミナースライドより引用]

牛堂:具体的な関心や行動を探るため、「テレワーク期間中に行うことを検討した事柄(複数回答可)」について質問した上で、各年代のパーセンテージを積み上げグラフのような形で表現してみました。

最も多かったのは「自宅でできる副業」で、以下「英会話や自己啓発など自分への投資」「自分が前からやりたいと思っていた趣味への投資」「新しい化粧品や大型家具など買うことをためらっていたものの購入」ーーと続きました。

全体的に20~30代の比較的若い世代の割合が多いことから、テレワーク期間中に複数のことを行おうと検討していたことがわかりました。特にサブスクリプションサービスの契約や、英会話・趣味、副業などのへの投資に関心が高く、テレワーク期間中に新たなスキル取得や収入アップを狙っていることが伺えます。

[セミナースライドより引用]

テレワーク期間中に実際に実行した事柄について聞いたところ、やはり大きな買い物も行いつつ、自分への投資や自宅でできる副業、大きな買い物との回答が多い結果となりました。

外出自粛ので減少した収入を副業で補いながら、普段買わない大きな買い物を含む自分への投資で環境を整えようとしていることが伺えます。特に自分・趣味への投資は全ての年代を通して割合が高く、テレワーク期間中に一念発起した方が多いと予想されます。

[セミナースライドより引用]

「やってみたい」の”検討”から「実際にやってみた」の”実行””に移った”達成度”を年代別に見ると、忙しい世代ということもあってか20代は検討は多かったのですが実際に実行に移した割合は少ない結果となりました。

[セミナースライドより引用]

岸本:アプリの利用データの観点から実際にテレワーク中に実行したことを探ると、ニュース系アプリの利用が増加していることが見えました。コロナウイルスに関するたしかな情報を求めてアプリを開いた様子が見えます。

※各アプリのアクティブユーザー数の実数値をご覧になりたい方は、有料版登録後、こちらからご覧になれます。

通勤時間がなくなり時間の使い方も大きく変化

[セミナースライドより引用]

牛堂:テレワークにより人々の通勤に対する意識も変化しました。「テレワークを行ってみて、通勤時間に対しての考え・意識は変わりましたか?(複数回答可)」との質問に対し、最も多かったのは「通勤のために月に何時間も使うのがばかばかしく感じる」でした。

通勤時間に対する他の否定的な回答の多さも含め、コロナウイルス以前からあった通勤時間に対する「不要」「辛い」といったネガティブな意見が、テレワークを多くの人々が実際に行ったことでより明確になっている形です。

[セミナースライドより引用]

岸本:通勤に関係するアプリという観点では、コロナウイルスの影響で交通系のアプリのMAUが大きく減少しました。通勤時間がなくなった分、人々は何をしていたのでしょうか?

[セミナースライドより引用]

牛堂:通勤時間がなくなった分、人々は実に有意義に過ごしているようです。「不要になった通勤時間で食事をゆっくり取れるようになりましたか?」との質問に対し、6割が「あてはまる」と回答しました。

年代別に見ると20代で「あてはまる」と回答した割合が7割となり、若い層であればあるほどテレワークにより有意義な時間の使い方が実現できているようです。

[セミナースライドより引用]

岸本:なるほどですね。実際、アプリの利用動向からも通勤時間がなくなった分、自宅で食事を取る”内食化”の傾向が鮮明です。内食レシピ系主要3アプリ(クラシル / DELISH KITCHEN / クックパッド)の合計日間利用者数(DAU)は緊急事態宣言の期間中、増加傾向を示しました。

長引く”巣ごもり生活”で家庭内での食事の機会が増えたことで、フードデリバリーアプリの利用も大きく拡大しました。

【セミナーレポート】delyとフラーがデータで解説、コロナショックが与えた外食・内食への影響と実態

テレワークが浸透してきたらファッションはどうなる?

[セミナースライドより引用]

牛堂:テレワークが浸透してきたらファッションはどうなるのかも探りました。「自由な服装で仕事をすることが当たり前になると思いますか?」との質問に対し、「そう思う」と答えた割合は8割にのぼりました。

テレワークの実施により、制服・スーツなどを着るよりも、自由な服装でいることが当たり前になると考える人が多く生まれた形です。いずれの年代でも7割以上が「そう思う」と回答しましたが、特に女性30代が最も多い割合を占めました。

[セミナースライドより引用]

岸本:アパレル、コスメ、ファッション系の主要4アプリ(ホットペッパービューティー、ZOZOTOWN、WEAR、LIPS)のMAUの推移を見ると4月はやや減少傾向となりました。

最も大きな生活の変化は?

[セミナースライドより引用]

テレワークの影響で生活にどのような変化が生じたのかも探りました。「テレワークによる生活で起こった変化は何ですか?(複数回答可)」との質問に対し、最も多かった回答は「光熱費が増えた」で、以下「食費が増えた」「自分一人の時間が充実した」「家事をする時間の余裕ができた」「家事の時間が充実した」「生活のリズムが悪くなった」ーーと続きました。

時間の余裕ができ、生活が充実する一方で、光熱費、食費は増えている形です。時間は増えた一方でお金は減るという状況にあることから、今後は「安く、長く楽しめるもの」がキーワードになると考えられます。

生活のリズムが悪くなったという回答の多さからは、睡眠時間・運動不足などの健康面での課題解決につながるサービスやアプリの需要が今後更に高まることが予想されます。

今回のJMAの調査結果は今後さらに詳細をリリースする予定です。またご案内差し上げたく思います。

ビジネスで異なるデータを掛け合わせる際に必要な視点とは

牛堂:このようにひとつの事象に対し、データを掛け合わせることで見えてくるものが変わったり、広がったりすることが今回のセミナーでお伝えしたかった最も重要なポイントです。

コロナウイルスの長期間に渡る影響は、アプリやサービスの利用の定着や行動の変化を起こすだけのインパクトがありました。この経験をきっかけに、人々の生活が大きく変わりうるということです。特にデジタルやDXの分野で大きくイノベーションが進展する土台ができたと私は見ています。

消費者の行動やアプリ利用などの転換点を迎えている変化の時期だからこそ、消費者がいま何を考えているのか、今後どう変化していくのかデータを集めて分析することの価値が高く、今後の戦略を決めたり意思決定をする際にきっと役立つことでしょう。

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