
新型コロナウイルスの感染が急速に拡大する中、疲弊する観光・旅行業の支援を柱とした政府の経済対策「Go Toキャンペーン」開始後初の大型連休となった7月23日〜26日。
東京発着の旅行がGo Toキャンペーンの対象外となり、東京都の小池百合子都知事が不要不急の外出自粛を要請するなど巣篭もりムードが強まる中、人々は4連休をどのような過ごし方をしたのでしょうか?
アプリ分析プラットフォーム「App Ape(アップ・エイプ)」のデータから読み解きました。
普段の休日に近い旅行・地図系アプリの利用

GoToキャンペーンの影響を探るため、GooglePlay旅行&地域カテゴリーを対象に、7月の土日(7月1日〜19日)と4連休の各日の日間利用者数(DAU)上位100アプリの合計DAUを算出。土日と4連休の平均値をApp Apeでそれぞれ算出して比較しました。
4連休の合計DAUの平均は、土日平均に比べ1.1%減とわずかに減少したものの、普段の休日と変わらず利用がありました。
GoToキャンペーンが東京を除いて開始したとはいえまだ本格化していないことや、4連休直前に感染者数が急増したこと、全国的に雨が多かったことなどが複合的に作用したと見ています。

個別に特徴あるアプリを見ていくと、電車移動に欠かせないアプリとして代表的な「Yahoo!乗換案内」の4連休の平均DAUは、7月の土日平均に比べ3.4%減だった一方、車移動で使うことがメインの「Yahoo!カーナビ」の10%増と車による移動が活発だったことが伺えます。
コロナウイルスの感染拡大に伴い、他者との接触を避けようと車移動を好んだとの見方もできますが、この傾向は他の休日にも当てはまるものであり、大型連休ならではというわけではありません。天候など複数の要素も作用しているはずです。
これらの状況を勘案すると、人々は4連休とはいえ、どちらかというと普段通りの休日に近い形で連休を過ごしていたと言えそうです。
普段以上に”自宅志向”の高い連休に

では、実際に人々はどのような過ごし方をしていたのでしょうか?
Android端末を対象に7月1日〜28日の各日の日間利用者数(DAU)上位500アプリをApp Apeで抽出。スマホのメモリ管理などのツール系アプリを除いた上で、7月の土日と4連休(7月23日〜26日)の平均DAUの増減を比較し、伸び率が高いアプリをあぶり出しました。
平均DAUの増加率上位20アプリは以下の通りです(端末由来のツール系アプリなどは除外)。
順位 | アプリ名 | 増減率 |
---|---|---|
1位 | マツモトキヨシ公式アプリ | +56.5% |
2位 | TRILL(トリル) – 女性のファッション、ヘア、メイク、占い、恋愛、美容 | +38.1% |
3位 | 刀剣乱舞-ONLINE- Pocket | +36.2% |
4位 | COCOA – 新型コロナウイルス接触確認アプリ | +34.6% |
5位 | 防災速報 – 地震、津波、豪雨など、災害情報をいち早くお届け | +33.8% |
6位 | Carlife Square コスモのアプリ入れトク! | +29.6% |
7位 | 白猫プロジェクト | +24.3% |
8位 | トクバイ – 無料チラシアプリ | +22.5% |
9位 | ローソン | +21.5% |
10位 | MUJI passport | +17.0% |
11位 | auスマートパス 「エンタメ」「おトク」「あんしん」が充実 | +15.7% |
12位 | Google スプレッドシート | +15.2% |
13位 | mineoアプリ | +15.0% |
14位 | マリオカート ツアー | +13.6% |
15位 | LINE MUSIC(ラインミュージック) 音楽なら音楽無料お試し聴き放題の人気音楽アプリ] | 13.1% |
16位 | Slack | +12.2% |
17位 | Messenger – 無料のSMSとビデオ通話 | 12.2% |
18位 | アイビスペイントX | +12.1% |
19位 | eFootball ウイニングイレブン 2020 | +11.7% |
20位 | アラーム クロック:目覚まし時計、ストップウォッチ、タイマー 無料 | +11.1% |
Note
- データ元: App Ape(国内約15万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による
- DAU (Daily Active Users): そのアプリの対象期間における、日間アクティブユーザー数であり、1日に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数
店舗に関係するアプリとゲームがそれぞれ4アプリと最も多い結果となりました。家の中でゲームをしたりイラストを描いたり、近場のスーパーやドラッグストア、ガソリンスタンドに行ったりと、普段の休日に比べより自宅に近い場所でインドア志向の高い4連休を過ごしたユーザーが多そうです。
また、メディア系のアプリや防災速報の中にビジネス用途のアプリもいくつか入っており、4連休に仕事をしていた人も少なからずいたようです。
人々は再び”巣篭もり”へ向かうのか

通常、4連休の大型連休になると人々の移動は活発化し、アプリの利用にもダイナミックにその傾向が出ます。
しかし、この4連休はコロナウイルスの感染拡大、GoToキャンペーンの本格化前、全国的な悪天候といったさまざまな要因が複合し、普段の休日以上に自宅志向の強い休日となったようです。
ただ、この傾向は一過性のものではないと筆者は見ています。
記事執筆時点の7月29日のコロナウイルス感染確認者数は全国で初めて1000人を突破しました。緊急事態宣言下のように人々が再び”巣篭もり”の方向に向かう可能性が強まっているからです。
人々の消費の動向やマインドを捉えるためにも、アプリの利用動向全体をしばらく注視する必要がありそうです。
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