
新型コロナウイルスは、決済アプリの利用を促進しています。実店舗での決済において、現金を利用するよりも、衛生的にリスクが低いことが大きな要因としてあげられます。
最近のトレンドを見てみると、「J-Coin Pay」がたくさんのユーザーを獲得しているようです。決済アプリとしては後発のJ-Coin Payですが、なぜ利用が拡大しているかをデータから読み取ることで、決済アプリ市場で成功するポイントなどを詳しく知ることができるでしょう。
今回は決済アプリ市場について詳しく知りたい方向けに、J-Coin Payの利用動向などをアプリ分析ツール「App Ape」のデータをもとに紐解いていきたいと思います。
Note
- ※文中で使う指標の説明
- WAU:対象期間におけるアプリの週間アクティブユーザー数で、週に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数
- MAU:対象期間におけるアプリの月間アクティブユーザー数で、月に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数
- 性別年代比:そのアプリの対象期間における所持ユーザー(MAU)のうち、性別×年代でみたときの各世代の割合
App Apeの詳細はこちら:アプリ分析ツール App Ape
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トレンドランキングでJ-Coin Pay1位!導入店舗増加などが影響か
順位 | アプリ名 | MAU前月比 |
---|---|---|
1位 | J-Coin Pay | +123.7% |
2位 | ゆうちょ通帳アプリ | +92.8% |
3位 | トラノコ―おつりで投資 | +63.2% |
4位 | 当せん確認 | +53.0% |
5位 | りそなウォレットアプリ | +52.1% |
Note
- データ元:App Ape(国内約15万台のAndroid端末を分析)/ アクティブ数はApp Ape 推定による
- トレンドランキング:DAUやアクティブ率 (アプリ起動率) の上昇 / 下降が直近で大きかったアプリの順位
上記は、2020年5月におけるファイナンスカテゴリーのトレンドランキング(前月のMAUと比較し、伸び率が高かった順に並べたランキング)上位5位のリストです。
トレンドランキングの1位はJ-Coin Payとなっており、前月からアクティブユーザーを123.7%伸ばしています。上位5位の中で、アクティブユーザーの成長率が100%を超えているのはJ-Coin Payだけです。
下のグラフは、2019年12月23日~2020年6月22日におけるJ-Coin PayのWAUの推移を表しています。

[WAU(Weekly Active Users):そのアプリの対象期間における、週間アクティブユーザー数で、週に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]
J-Coin Payの週間アクティブユーザー推移を確認してみると、2020年4月末から5月にかけてユーザーが急増しているのが分かります。
この時期前後のJ-Coin Payの動向を確認すると、
- 2020年3月4日:ゲオグループ各店舗で利用可能に
- 2020年4月1日:ミニストップで利用可能に
- 2020年5月1日:ほっかほっか亭で利用可能に
というように、有名チェーン店・コンビニなど、さまざまな店舗で導入が進んでいることがわかりました。
スマホ決済では、利用できる店舗の多さがユーザビリティに大きく影響します。現金と同じように、どこでも使える決済サービスは利用者をどんどん伸ばしていくでしょう。
J-Coin Payも利用可能な店舗をどんどん開拓していった結果、利用者を順調に伸ばしていると考えられます。また新型コロナウイルスの広がりから、現金に代わる方法として決済アプリの需要が高まっていることも影響していると推測できます。
※加盟店一覧:https://j-coin.jp/user/shop/
また、2020年5月以降はアクティブユーザー数が一時減少しましたが、2020年6月には再び大きく利用者が増加しているのもポイントです。
J-Coin Payは他のスマホ決済アプリと比較してキャンペーンが少なめですが、直近では、2020年6月13日に利用者拡大のため「誰でも紹介キャンペーン」というキャンペーンを開始しています。
このキャンペーンではすでにJ-Coin Payを利用しているユーザーが友達や家族などへJ-Coin Payを紹介して利用開始につながった場合、紹介した方に500円、紹介された方に200円がプレゼントされる企画です。
最大20名まで紹介できることから、利用者は紹介すればするほどお得になります。このキャンペーンが利用者拡大を後押しし、アクティブユーザーが増加した可能性が高いでしょう。
J-Coin Payのユーザー層は男性が主流、30代・40代などに浸透

[性別年代比率:そのアプリの対象期間における所持ユーザー(MAU)のうち、性別×年代でみたときの各世代の割合]
上記画像は、J-Coin Payの2020年5月におけるMAUをベースにした性別年代比率を表しています。
ユーザー層を男女で比較すると、
- 男性:73.7%
- 女性:26.3%
と男性のユーザー層が女性のユーザー層に比べて圧倒的に多いことが分かりました。
男性のユーザー層を見てみると、40代男性が全体の29.5%と一番多くなっています。また女性のユーザーについては30代が11.3%と一番多く、20代・40代・50代以上は同じくらいのユーザーボリュームになっています。
次に年齢ごとにユーザー層を見ていくと、10~20代よりそれ以上の年齢層のユーザーボリュームが高めになっているのが分かります。
J-Coin Payは、「みずほ銀行」が提供しているスマホ決済という点が特徴です。キャンペーンの数は他決済サービスと比べて多くはありませんが、金融機関が運営しているので信頼性が比較的高く、評価も高くなっていることが想像できます。
そのため、アプリ決済に信頼性の高さを求める30代や40代などのユーザー層を多く獲得しているのかもしれません。
実際にみずほ銀行自体もJ-Coin Payのターゲットユーザーとして年配の方などを想定しており、
- 銀行が提供しているサービスである
- 操作方法などを質問できるサポートセンターを設定している
などの点をアピールポイントにしているようです※。
※参照:みずほ銀行のQRコード決済「Jコインペイ」。後発ながら「勝機あり」の理由とは?
J-Coin Payはマイナポイント施策の活用などで、今後もアクティブユーザー成長を見込める

2020年7月以降、J-Coin Payは政府のマイナポイント事業に参加しています。
マイナポイント事業とは、消費活性化を目的とした事業です。ユーザーがキャッシュレス決済でチャージまたはお買い物をすると、国が1人当り合計最大5,000円分のマイナポイント(チャージ額やお買い物金額1回に対し25%分のポイントを付与)をユーザーへ付与します※。
マイナンバーカードの普及促進も兼ねているため、マイナンバーカードを発行しているのがポイントを受け取る条件です。またマイナポイントを貯めることができるキャッシュレス決済サービスは一つだけを選ぶ必要があり、ユーザーが選択してマイナンバーカードと紐づける必要があります。
※参考:https://j-coin.jp/mynumberpoint/
J-Coin Payではマイナンバーカードと紐づける決済サービスにJ-Coin Payを設定すると、国のポイント付与とは別に500円がもらえるキャンペーンを実施中です。このため、J-Coin Payとマイナンバーカードを紐づけ、マイナポイントを貯めようというユーザーが今後さらに増加するだろうと推測されます。
また、2020年7月にマイナポイントがコンビニや家電量販店などで簡単に申請できるようになりました。
今までマイナポイントの付与を行うには、下記のような手順で申請を完了させる必要がありました。
1.スマホやパソコンから専用サイトにアクセスしてマイキーIDを取得する
2.キャッシュレス決済を一つ選ぶ
これに加えて専用端末が置いてある店舗に行けば、上記と同じような申請ができるようになったのでより便利になっています。
申請方法が多様化すればマイナポイント事業の利用者も増加し、同時にキャッシュレス決済サービスの利用も更に増加していくことが期待されます。
まとめ
今回はJ-Coin Payに焦点を当て、利用動向をWAUやMAUなどから分析してきました。
J-Coin Payは後進の決済サービスではありますが、加盟店を着々と増やしています。今後コロナ禍も手伝い、ユーザーの増加が見込めるでしょう。
さらに今後、決済アプリの利用がマイナポイント事業で促進されていきます。これも上手く活用できれば、さらにユーザーを増やしていけるのではないでしょうか。
ただし、
- キャッシュレス、消費者還元事業で取り込んだユーザーがしっかり定着しているか
- マイナポイント事業が終わった後も、ユーザーを上手く定着させられるか
などは、今後追ってデータで確認する必要があるでしょう。
さらに決済アプリの利用動向について詳しいデータを知りたい方は、お気軽に下のリンクからApp Apeの無料版をお試しください。
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- アクティブユーザー数のランキング
- 急成長しているアプリがわかるトレンドランキング
- 主要SNSアプリの利用時間帯や性別年代比
- 各アプリのストア情報のサマリー など
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