
米Microsoftは8月2日、動画共有アプリ「TikTok」の米国での運営会社について、買収に向けた交渉を継続していることを明らかにしました。TikTokについてはドナルド・トランプ大統領が中国政府への個人情報流出を理由に利用を禁止する考えを示していました。
日本経済新聞2020年8月1日:トランプ米大統領、TikTok使用禁止検討 データ安全保障を懸念
ジャンルを問わず魅力ある中国アプリが日本国内で数多く配信されている中、アプリのユーザー規模や利用動向ベースで中国製アプリはどれくらいのシェアがあるのでしょうか。
アプリ分析プラットフォーム「App Ape(アップ・エイプ)」のデータから探りました。
MAU上位500アプリに占める中国製アプリの割合は?
中国製アプリを「アプリの開発拠点や運営会社の母体が中国にあるアプリ」と定義。その上で、直近の2020年7月のAndroid月間利用者数(MAU)全体ランキングの上位アプリに中国製アプリがどれくらいランクインしているのかを探りました。
2020年7月のMAU上位500位圏内にランクインした中国製アプリは次の通りです。
MAU全体ランキング順位(2020年7月) | アプリ名 |
---|---|
54位 | Simeji(日本語入力キーボードアプリ) |
70位 | TikTok(動画共有アプリ) |
158位 | BuzzVideo(動画共有アプリ) |
388位 | Ulikeユーライク(カメラ・写真加工アプリ) |
440位 | Themes(HUAWEI端末の壁紙設定アプリ) |
Note
- データ元: App Ape (国内約15万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による
- MAU (Monthly Active Users):そのアプリの対象期間における、月間アクティブユーザー数で、月に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数
全体ランキング入りした中国製アプリは5アプリで、上位500アプリのランキングに占めるシェアは1%でした。1年前の2019年7月は8アプリだったことから若干減少傾向にはあるものの、シェアに大きな変動はありません。
アプリの内訳を見ると、動画系サービスが2つ入っているのが特徴的です。動画が訴える力には、国にかかわらず共通の魅力があると言えるでしょう。 2020年7月の5アプリの合計MAUは前年同月比27.6%増と伸長しました。
App Apeではアプリのランキングデータを蓄積しています。ストアの各アプリの情報も無料版で閲覧可能です。無料登録は1分ほどで完了します。詳細はこちらからどうぞ。
中国製アプリの存在感が大きいゲームカテゴリー
中国製アプリの存在感が比較的大きいカテゴリーも存在します。ゲームカテゴリーです。
2020年7月のAndroidゲームアプリMAUランキング上位100アプリにランクインした中国製アプリは次の通りです。
ゲームMAUランキング順位(2020年7月) | アプリ名 |
---|---|
28位 | 荒野行動 |
32位 | 雀魂‐じゃんたま‐ |
34位 | Call of Duty®: Mobile |
38位 | Identity V |
42位 | 放置少女 〜百花繚乱の萌姫たち |
46位 | AFK アリーナ |
60位 | アーチャー伝説 |
63位 | アークナイツ |
99位 | アズールレーン |
Note
- データ元: App Ape (国内約15万台のAndroid端末を分析)/アクティブ数はApp Ape 推定による
- MAU (Monthly Active Users):そのアプリの対象期間における、月間アクティブユーザー数で、月に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数
ゲームカテゴリーでMAU上位100アプリにランクインしたアプリは9アプリ。前年同月に比べて5アプリ増とシェアが拡大しています。
ゲームの場合、圧倒的なユーザー規模を誇る中国本国で培ったゲームの運営ノウハウや潤沢なマーケティング予算をベースに、地域や国に合わせたローカライズを仕掛けていった結果として、日本でもシェアを獲得していると筆者は見ています。
面白くて魅力があるゲームは万国共通であり、動画サービス同様に国の垣根を越えやすいことの表れでもあると言えます。
アプリのグローバル化が進む中で翻弄されるユーザー

インドでは6月下旬、安全保障上の理由からTikTokを含む中国製アプリが利用禁止となり、インド製のアプリにユーザーが乗り換える動きが見られます。
日本では、自民党の超党派で作る議連「ルール形成戦略議員連盟」が政府への提言に中国製アプリの制限を盛り込むかどうか議論を重ねています。
2020年7月29日ITmedia NEWS:「TikTok」など中国発アプリ制限を提言へ 自民議連が個人情報流出を懸念
スマホアプリ誕生から現在に至るまで、ビジネスモデルとしてもユーザー体験の向上という観点でもスマホアプリのグローバル化は一種の不可逆な流れとして進展してきました。
一方、スマホやインターネットの発展に伴い、個人情報を含む各種データの越境という事象に対し、各国が様々な法的な枠組みや規制を生み出してきたのも事実です。
”国家とアプリの関係性”という複雑な問題解決の過程で、いつも翻弄されているのは、他ならぬアプリのユーザーであると筆者は考えます。
中国製アプリを取り巻く一連の国際的な事象が今後ユーザーの行動にどのように反映されるのか、兆候をしばらくデータでウォッチする必要がありそうです。
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