
2020年9月現在、新型コロナウイルスの影響も関与して、ビジネスツールアプリが大きな成長を見せています。特に、ZoomやSlack、Microsoft Teamsといったコミュニケーションに関するアプリは、新型コロナウイルス流行以前に比べて確実に身近になったといえるでしょう。
この記事では、アプリ分析ツール「App Ape」で蓄積するアプリ利用データを読み解き、コロナ禍でのビジネスコミュニケーションのデジタル化は定着したのかどうか、直近の変化を探っていきます。
この記事では、期間を以下の3つに分け、ビジネスカテゴリアプリのMAU(月間アクティブユーザー数)ランキングをもとに実態を浮き彫りにし、アプリの利用数の変化を明らかにします。
2020年1月:平時
2020年4月:緊急事態宣言下
2020年8月:緊急事態宣言解除後の最新月
さらに注目アプリの性別年代比などのデータを用いて、ユーザー特性についても分析します。
App Apeの詳細はこちら:アプリ分析ツール App Ape
※ 無料版登録で、主要アプリの利用データ・アプリの各種ランキングを、すぐにご覧になれます。
緊急事態宣言以降、ビジネスコミュニケーションツールが多くランクイン
MAU順位 | 1月 | 4月 | 8月 |
---|---|---|---|
1 | Google Play Store | Google Play Store | Google Play Store |
2 | OfficeSuite | OfficeSuite | OfficeSuite |
3 | File Commander | ZOOM Cloud Meetings | ZOOM Cloud Meetings |
4 | Slack | File Commander | File Commander |
5 | dジョブ スマホワーク | Slack | Slack |
6 | Secure Folder | dジョブ スマホワーク | Microsoft Teams |
7 | Indeed 求人検索 | Secure Folder | dジョブ スマホワーク |
8 | McDonald’s KODO | Microsoft Teams | Secure Folder |
9 | CrowdWorks for Worker | Indeed 求人検索 | Indeed 求人検索 |
10 | Yahoo! JAPAN ショートカット | CrowdWorks for Worker | CrowdWorks for Worker |
Note
- データ元:App Ape(国内約15万台のAndroid端末を分析)/ アクティブ数はApp Ape 推定による
- MAU(Monthly Active Users):そのアプリの対象期間における、月間アクティブユーザー数で、月に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]
上の表は、2020年1月・4月・8月におけるビジネスカテゴリアプリのMAU(月間アクティブユーザー数)ランキングです。新型コロナウイルスの影響によって、どのようにユーザーの利用傾向が変化していったのかが一目で分かります。
それぞれの時期におけるランキングにラインナップされているアプリをみると、1月のランキングに入っていなかったZOOMとMicrosoft Teamsが4月からランクインしています。特に、8月のMAUの伸びは顕著で、1月比で「ZOOM:17.88倍」、「Microsoft Teams:8.80倍」となっています。
また、1月のランキングから10位以内に入っていたアプリである「Slack」も、大きな伸びを見せています。SlackにおけるMAUの具体的な伸び率は、1月比で1.43倍です。
コロナ渦におけるビジネスカテゴリアプリ全体の傾向
Note
- データ元:App Ape(国内約15万台のAndroid端末を分析)/ アクティブ数はApp Ape 推定による
- MAU(Monthly Active Users):そのアプリの対象期間における、月間アクティブユーザー数で、月に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数
2020年1月〜8月のMAUランキング上位10アプリに関して、月ごとの上位10アプリの合計MAU値の推移をみると、4月の合計MAU値は3月比で+7.9%となっています。これは、政府による全国的な外出自粛の呼びかけが影響していると考えられるでしょう。
また、その政府による外出自粛が緩和された6月からは、上位10アプリの合計MAUが減少しています。しかし、それでもなお新型コロナウイルス流行前の水準よりもベースラインが高くなっており、ビジネスツール・コミュニケーションのデジタル化が進んでいるといえるのではないでしょうか。
「Microsoft Teams」「ZOOM」のコロナ渦での最新動向
ビジネスコミュニケーションアプリの利用動向をさらに詳しく、アプリ単体ごとに分析していきます。
▼2つのアプリのMAU推移
ZOOMとMicrosoft TeamsのMAUの伸びをみてみると、両アプリともに4・5月にアクティブユーザー数が大きく伸びていることがわかります。

[MAU(Monthly Active Users):そのアプリの対象期間における、月間アクティブユーザー数で、月に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]
ZOOMは5月にMAUのピークをむかえ、その後6月~8月にかけて落ち着きを見せていますが、ベースラインを大きく伸ばし、シェアを獲得していることがわかります。
4月、5月は緊急事態宣言の只中、「Zoom飲み」といったワードが生まれるなど、個人間・プライベートでのオンラインコミュニケーションにも一役買ったことが想像できます。

[MAU(Monthly Active Users):そのアプリの対象期間における、月間アクティブユーザー数で、月に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]
一方、Microsoft Teamsは4月、5月に大きくMAUを伸ばすものの、MAUのピークは7月になっています。
8月もアクティブユーザーを維持していることから、日常的な利用が定着してきていることがわかります。
▼2つのアプリの性別年代比の違い
また、それぞれのアプリを利用しているユーザーの性別年代比をみてみます。

[性年代比率:そのアプリの対象期間における所持ユーザー(MAU)のうち、性別×年代でみたときの各世代の割合]
ZOOMは20代が35.9%を占めていることからわかるように、他の年代に比べて若い層のユーザーが多くなっています。しかし、30・40代のユーザーもあわせて全体の20%ほどを占めています。また、Microsoft Teamsと比較すると、女性の割合も高いことから、比較的幅広い年代に利用されていることがわかります。

[性年代比率:そのアプリの対象期間における所持ユーザー(MAU)のうち、性別×年代でみたときの各世代の割合]
一方、Microsoft Teamsでは10代、20代のユーザーが全体の68.3%を占めており、若い層で多く利用されていることが分かります。
上記のデータはアプリ利用の性別年代比となりますので、PCを持たない学生ユーザーなどがアプリを利用してオンライン講義を受けているのではないかと筆者は見ています。
「ZOOM」「Microsoft Teams」と同時利用されているアプリは?

[同時所持:対象アプリと同時に所持されているアプリ]

[同時所持:対象アプリと同時に所持されているアプリ]
ZOOMもMicrosoft Teamsも、大学生が利用する就活専用アプリや授業時間割管理アプリが多いことが上記のデータから読み取れます。
ビジネスシーンでは、ZOOMやMicrosoft Teamsを利用する際は、スマホではなくPCでの利用が多いことが想像できるため、アプリ利用の中心となる若い世代のコミュニケーションツールの使い方を反映させるような結果となったのではないでしょうか。
まとめ:コミュニケーションのデジタル化の定着と新型コロナウイルスの今後
この記事では、アプリ分析プラットフォームアプリ分析ツール「App Ape」で蓄積するデータを読み解き、コロナ禍でのビジネスカテゴリアプリの利用の変化を探りました。
主に、アプリでコミュニケーションツールを利用しているのは10~20代の若年層であることが浮き彫りになりました。
新型コロナウイルスの収束の目処が立たない現在、オンラインコミュニケーションアプリの利用数はしばらくの間、高い数値を保つと考えられます。しかし、新型コロナウイルスが収束したときに、どのような変化を見せるのでしょうか。オンラインコミュニケーションアプリと新型コロナウイルスの関係から今後も目が離せません。
さらに詳しいデータや他のアプリの時間帯ごとのアクティブユーザーの動きを知りたい方は、お気軽に下記からApp Apeの無料版をお試しください。
App Apeの詳細はこちら:アプリ分析ツール App Ape
※ 下記より、App Apeの説明資料をダウンロードできます。