
新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ旅行需要を取り戻すための観光業支援策「Go To トラベルキャンペーン」(以下Go Toキャンペーン)が7月22日から始まり、観光地では徐々に活気が戻りつつあります。
Go Toキャンペーンの実施に合わせ、JR東日本は新幹線の乗車賃が半額になる「新幹線半額キャンペーン」を7月20日から始めました。Go Toキャンペーンとの相乗効果でよりお得に旅行ができると注目を集めています。
この記事では、Go Toキャンペーンに加えて7月末よりスタートしたJR東日本の早割キャンペーンの影響がどれくらいあったのか、アプリ分析ツール「App Ape」で蓄積するえきねっとアプリの利用動向から紐解いていきます。
コロナ禍での旅行需要を知りたいマーケターの方は必見の内容となっていますので、ぜひ参考になさってください。
JR東日本の「新幹線半額キャンペーン」とは?
対象者:ネット予約サイト「えきねっと」会員
キャンペーン期間:2020年7月20日〜2021年3月31日
申込期間:乗車日1ヶ月前〜20日前まで
対象割引期間:2020年8月20日〜2021年3月31日(北陸新幹線は2020年9月30日で終了)
キャンペーン概要:対象の申込期間にえきねっとで新幹線の予約をすると乗車賃が半額になる
App Apeの詳細はこちら:アプリ分析ツール App Ape
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えきねっとアプリの7月MAUは前月比1.67倍増、8月は過去最高に
まずは、えきねっとアプリのユーザー数がどのように推移しているのか見ていきましょう。
次のグラフは、2019年12月から2020年8月までの月間アクティブユーザー数(MAU)の推移を表したものです。
なお、えきねっとアプリのAndroid版は2019年11月30日にリリースされました。

[MAU(Monthly Active Users):そのアプリの対象期間における、月間アクティブユーザー数で、月に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]
えきねっとアプリのMAU推移を見てみると、2020年2月にユーザー数が一度急増していますが、3月以降は大幅に減少しました。これは、コロナの影響で外出ができなくなったことが要因だと考えられます。
しかし、緊急事態宣言が解除された5月以降は右肩上がりで、徐々にユーザーが戻ってきていることがわかります。JR東日本の新幹線早割キャンペーンが始まった7月に再び急増し、コロナ流行前の2月と同水準にまで回復しました。
7月のMAUは前月と比較すると1.67倍増加し、8月のMAUは過去最高を記録しています。
新幹線早割キャンペーンは2021年3月末まで続くことから、9月以降のユーザー数の伸びにも注目です。

[WAU(Weekly Active Users):そのアプリの対象期間における、週間アクティブユーザー数で、週に一度でもそのアプリを起動したユーザーの数]
上のグラフは、えきねっとアプリにおける2020年5月11日から9月7日までの週間アクティブユーザー数(WAU)の推移を表したものです。
WAUの推移を見ても、新幹線早割キャンペーンの申し込み開始1ヶ月前である6月中旬から8月頭にかけて、ユーザー数が増加しています。えきねっとアプリのユーザー数が急増した要因は、やはり新幹線早割キャンペーンの影響が大きいと考えられます。
特にユーザー数の伸びが大きかったのは6月15日週で、前週と比較すると2.85倍増加しました。ここで大きく伸びたのは、JR東日本がえきねっとのリニューアルを発表し、注目を集めたことが要因だと推測されます。
2021年夏ごろに予定されているリニューアルでは、えきねっとアプリのデザインが一新し、きっぷの購入額に応じて「JRE POINT」が付与されるようになります。また、支払い方法が従来のクレジットカードのみから新たにコンビニやATM、ネットバンキングが追加されるなど、ユーザーの利便性を高める内容となっています。
新幹線早割キャンペーンに加え、より使いやすいアプリにリニューアルされることで、今後もえきねっとアプリの伸びが期待できるでしょう。
※参考:JR東日本 『JR東日本ニュース − 「えきねっと」が生まれかわります!』
性別年代比は40代男性が最も多く、50代以上の女性ユーザーからも人気
次のグラフは、2020年8月のMAUにおけるえきねっとアプリの性別年代比を表したものです。青のグラフは男性の割合、赤のグラフは女性の割合を表しています。

[性年代比率:そのアプリの対象期間における所持ユーザー(MAU)のうち、性別×年代でみたときの各世代の割合]
えきねっとアプリを男女比で見ると、男性の割合が76.4%と多いことがわかります。
性別年代比で見ていくと、最もユーザー数が多いのは40代の男性で26.9%であり、20代男性の19.1%、30代男性の16.4%と続きます。
日本政策投資銀行と日本経済研究所が公表した『出張マーケットに関する動向と今後』によると、出張・業務目的の旅行者数は男性の方が圧倒的に多く、女性と比較すると、日帰り旅行では3.5倍、宿泊旅行では6.1倍の差があります。また、年齢別の出張・業務旅行の割合は40代が最も多く、えきねっとアプリのユーザーに40代男性が多いことが頷けます。
※参考:日本政策投資銀行・株式会社日本経済研究所 『出張マーケットに関する動向と今後』
一方、女性は50代以上のユーザーが最も多く、割合は10.1%でした。
ソニー生命保険が公表している『シニアの生活意識調査2020』では、50歳以上の人の「現在の楽しみ」で一番多かったのが「旅行」(43.4%)でした。さらに、月の出費額は男性より女性の方が多いことから、シニア層の女性が旅行目的でえきねっとアプリを利用していると推測できます。
えきねっとアプリとの同時所持は旅行関連・交通系アプリが多い
最後に、えきねっとアプリと同時所持されているのはどのようなアプリか調査し、2020年8月時点の所持率が高いアプリを表にまとめました。
アプリ名 | 同時所持率 |
---|---|
ことりっぷ | 10.9% |
JALタッチ&ゴー | 9.0% |
EXアプリ | 6.0% |
東急線アプリ | 6.0% |
楽天ビューティ | 5.8% |
ホテルチェーン東横イン 公式Androidアプリ | 5.7% |
JRE POINT アプリ | 5.7% |
RETRIP<リトリップ> | 5.5% |
JR東日本アプリ | 5.5% |
PCMAX | 5.4% |
東京メトロアプリ【公式】 | 5.2% |
CamCard | 5.1% |
iSPEED FX | 5.0% |
THEO[テオ] | 5.0% |
J:COMオンデマンド | 4.7% |
スマートアラーム (目覚まし時計) | 4.6% |
torne™ mobile | 4.4% |
宝くじ公式 | 4.4% |
Microsoft Edge | 4.4% |
Withings Health Mate | 4.4% |
同時所持アプリのラインナップを見ると、旅行関連アプリと交通系アプリが多く並んでいることがわかります。
えきねっとアプリと特に関係の深い「JRE POINTアプリ」の同時所持率は5.7%でした。
2021年からJRE POINTとの連携が強化されるため、今後JRE POINTアプリとの同時所持率はさらに上がることが期待されます。
まとめ
JR東日本がえきねっと会員限定の新幹線早割キャンペーンを2020年7月20日から実施し、えきねっとアプリの7月MAUは前月比1.67倍増となりました。コロナの影響で一時落ち込んだユーザー数は、コロナ流行前の2月以上の水準にまで回復しています。
今後はJRE POINTとの連携が強化されるため、えきねっとアプリや関連するJRE POINTアプリの所持率はさらなる上昇が期待できるでしょう。
また、えきねっとアプリの性別年代比を見ると、男性は40代、女性は50代以上のユーザーが多いことがわかりました。40代の男性は出張目的、50代以上の女性は旅行目的でアプリを利用する機会が多いことが要因だと考えられます。
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